第4回目は、ithの社員インタビューについてです。
代表の高橋を中心に、ithを創り上げてきた人たちが、ithとの出会いや仕事への向き合い方などについて語る座談会形式のインタビュー記事となっています。
#1/ithの始まりを支えた三人が語る、“お客様に寄り添うものづくり”とは
#2/10年の歩みを受け継いだ職人とつくり手が感じたものづくりへの思い
#3/バックオフィスから支える三人が語る、それぞれの立場から生み出すithの価値
#4/異業種からの転職で感じる一生ものの指輪づくりの責任と魅力
#5/産休・育休経験者が語る、仕事復帰と育児の両立で見つけた大切なこと
立場や役割は様々ですが、それぞれが「たくさんよりも ひとつをたいせつに」を大事にしながらお客様の思いをカタチにするということを、心の真ん中に持って仕事に取り組んでいるということを改めて認識しました。
ひとつの目的や大事にする価値観を軸に仕事をしていくということは、会社やブランドとして至極当然のことかもしれませんが、それを皆が当たり前のように理解し、忠実に仕事に取り組んでいるということは実はなかなか難しいことでもあります。
それぞれが様々な苦労を重ねながら、ithの価値観を紡いできた地道な努力の毎日があってこそと思います。
今回のインタビュー全体を通して見た時に見えてきた共通項として感じるものがあります。
それはithで働く人たちにとって、「働く」ということと「暮らす」ということが、ひとつの価値観のもとにつながっているのではないかということです。
今回インタビューには、もともとお客様としてithに関わり、その後社員として入社してきた人たちが登場します。
彼らの言葉からは、お客様として感じた感動や素晴らしさに、自分も働き手として自分も関わってみたいという気持ちで仕事をしていることが伝わります。
またそれとは逆に社員として働くなかで、自分自身も結婚しithで指輪をつくることで、その意味や価値を再認識したというエピソードも出てきました。
これは自分自身が商品やサービスの担い手であると同時にお客様でもあり、どちらの側面からも同じ価値観に共感し、大事に思っているからこそ成り立つことだと思います。
お客様も、社員も、立場は違えど皆同じ絵を見ている。
同じように「いいね」と思える価値観を大事にして集まっている。
志を同じくする仲間、共犯者のような関係性。
また結婚出産ののち職場復帰をしている社員たちのインタビューには、いろいろと苦労はあるけれども、仕事と出産・子育てという両軸を両立していくことにポジティブに向き合おうとする気持ちが表れています。
「働く」と「暮らす」。
それぞれがとても大切なことだけれども、時間の使い方や向き合い方という面では対立する部分もあります。その両立を図ろうとするからこそ生まれる矛盾や葛藤もあります。
けれども仕事と家庭を両立させるために、それぞれの人が色々な工夫や努力をしていること。そして家族や子供の存在があるからこそ、改めて自分自身の仕事の意味や価値を再認識しているというエピソードが出てきました。
これは仕事と生活というものを切り離さずに、仕事のなかに、美しさや喜びを見出そうとしたウイリアム・モリスのアーツアンドクラフツ運動にも通ずるものでもあります。
私たちアーツアンドクラフツが創業のときに理想としたあり方が、ithのスタッフの働き方や暮らし方の一部として具現化されているということだと思います。
アーツアンドクラフツ全体の事業を語る際に、ブランドとコンサルティングという性質の異なる二つの事業が並び立つことを称して「二刀流の経営」という言葉を使ったりしていますが、こうしてみるとithという事業のなかでも、消費者でもあり生産者でもある、「働く」と「暮らす」を両方を大切にしようとする二軸の関係性があることに気づきます。
二軸があることで時に矛盾を及ぼしたり、ひとつにフォーカスして何かやるということより大きな苦労や負担を生み出したりすることもあります。率直に言って簡単ではないことのほうが多い。
けれどもそれを超えて、自分たちが良いと思う何かを目指すして、対立や矛盾を超えていくために努力や工夫を重ね、チャレンジをしていくこと。
インタビューを通じて10年を振り返っても、そういうことの積み重ねが、ithの社員の皆が大切にしながらお客様や様々な取引先方々と一緒に創り上げてきたことの中身であり、私たちを前に推し進めてきた大きな原動力なのではないかとも思うのです。
アーツアンドクラフツ取締役/ブランド事業部長。NTTデータ、フロンティアインターナショナルにて、IT、広告・マーケティング領域を中心に、イノベーション・プロデューサーとしてB2B/B2Cを問わず新市場の開拓、新規事業の立ち上げなど多数のプロジェクトに従事。
著書『ふるくてあたらしいものづくりの未来– ポストコロナ時代を切り拓くブランディング ✕ デジタル戦略』クロスメディアパブリッシング