INTERVIEW インタビュー

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コンサルタントに必要な素養を
C&S事業部長・平田が語る

コンサルタントにはどのような人材が適しているのか。
C&S事業部長・平田が厳しくも愛のある言葉で語る。

実業に貢献したかった。

もともとは社会学の研究者になりたくて、アメリカの大学を卒業後は日本の大学院に進み、意思決定科学やゲーム理論などを学んでいました。しかし、私はそれらのなかでも実業に貢献できる研究をしたいと思っていたなかで、アカデミックな世界と一般社会との乖離を感じるようになったんです。なぜかと言うと、どの学問も前提条件が多すぎるから。「これほんとうに役に立つの」と思ってしまう。今になって考えると、AIは統計学の理論や意思決定科学を落とし込んだものなので、私も実業に貢献できたような気もしますが、当時は予想できませんでした。それに、そもそもビジネス経験のない人間に何ができるんだというジレンマにも陥りまして……。だから手っ取り早く世の中の多様な産業やビジネスを俯瞰できる職業に携わりたいと思った時に、コンサルタントがぴったりだったんです。

そして、ブーズ・アンド・カンパニー、現Strategy&という会社に入って新卒として6年半ほど働きました。そこで私は運良く同僚と比べてもかなり多岐に渡る経験を積むことができたんです。例えば事業計画策定から新規事業の立ち上げ支援、BDD、BPR、ベストプラクティス、ソーシングなど、多くの手法を学びました。また、医療や化学品、車や部品製造、エンタテインメント、小売りなど、幅広い業界に携わることができたことも併せて原体験となり、のちに所属するアーツアンドクラフツのコンサルティング部門・C&Sの方向性に繋がっていきました。

アーツアンドクラフツとコンサルティング業

コンサルタントになった当初は、実業の世界をある程度俯瞰したらまた研究に戻ろうと思っていたのですが、意外とこの仕事に向いていることに気がついて楽しくなってきました。しかし、さらに続けていくうちに新たな壁が出てきたんです。コンサルタントは自分の会社ではなくクライアント企業に「もっとこうしたほうがいいんじゃないですか」とか「ここはこう変えましょう」と、あれこれ偉そうなことを言う職業じゃないですか。しかし理論上はその方がいいと思っていてもその通りにはならなかった現実と直面することもあるわけです。そこで新卒上がりの実業経験がまったくない私からは、重みのある言葉が出なかった。まともに料理ができないのに料理人に口出しするみたいな感じで軽いんです。それで、もっと実業の根本にある料理で言うとパン作りから始めたいと思っていたところで、当時から友人だった社長の宮崎たちとの間で、会社を立ち上げようという話が持ち上がりました。それがアーツアンドクラフツです。

だから、その辺りの細かい経緯はおそらく宮崎が話していると思うので私は端折らせてもらいますが、創業した直後からコンサルビジネスを始めたわけではなく、いろんな事業を仕掛けたり失敗したりしたうえで、今に至っています。

コンサルタントは高校生の文化祭ではなく大人の文化祭

基本的にこの仕事は、クライアントと呼ばれる会社/組織が「現状を変えなければならない」と感じ、我々に依頼をして何かしらのプロジェクトが組成されるところから始まります。だから我々は相手を多少なりとも“否定”することになるわけです。それでも互いに手を取り合って現状を変えていくことで、その成果が一つの企業という単位を越えたビジネスのロールモデルになり、世の中に変革をもたらすこともあり得る。そこはコンサルタントの大きなやりがいの一つだと思います。

ただし、手を取り合うと言ってもこれは高校生の文化祭ではなく大人の文化祭です。真面目にビジネスをやってきた方々を部外者が否定するなんて失礼な話。で、相手を落胆させてしまうこともあれば、互いに意見がぶつかり激しい衝突が起こることもあります。「いろいろあるけどみんなハッピー!」みたいな文化祭とは違いますし、一見ハッピーだと大体失敗するんですよね。「あれ?どうしてあなた達に依頼したの?」という結果になる。問題を打破するためにクライアントは痛みに耐えなければならない。そして我々も苦しい。そういう瞬間も含めて“変えていく”ということは、とてもやりがいのあることです。

そしてコンサルタントはルーティーンワークではなくプロジェクトベースで生きていて、毎回対象となる業界もテーマも異なるから反復練習ができない。そうなると理論が一般化できなかったり対応力が磨かれなかったりするのでは?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではないんです。いろいろな角度から10個20個と問題を解いていくうちに共通項のようなものが見えてくる。とは言え数学の問題と違って一つの答えがないので、あくまでその共通項は“自分の解決スタイル”という言い方になりますが。なので、自分自身に全く知見のない未知の業界の課題に面したとしても、今までの経験を総動員して一生懸命やれば何かしらの解決はできる。そういったスキルが身に付くことは、この仕事のメリットだと思いますね。

コンサルタントに必要な条件その①。
学歴云々よりも成長意識と持続性

まずは継続的な成長意欲のある方ですね。それは言い換えると自分が商品だという認識すること。コンサルタントはメーカーや小売業とは違って自分以外に売り物を持たない職業。すなわちクライアントに不満を抱かせた場合、例えば車のセールスだったら他社の類似車に比べて明らかに性能が劣っていることも一因にはなるかもしれませんが、コンサルタントはほかの何かに責任転嫁できません。

つまり己の存在、拡大解釈すると己の人格や人生までを否定される危険性も孕んでいるわけです。しかしその一方で、クライアントに喜んでもらえたら、それは自分の存在価値を市場が評価してくれたということなので、とても誇らしいこと。だから、商品価値を高めるためには自分自身を研鑽し成長してくことがほかの職業よりも強くも求められます。

そんななかで、アーツアンドクラフツは未経験者を採用しています。彼らがコンサルタントとしてのスキルを最初から持っていることはあり得ない。そこはプロジェクトごとに複数人が組んで動くので、先輩やプロジェクトマネージャーによって、クライアントに対する価値やクオリティの担保はできているのですが、その環境に甘えていてはいつまでたっても一人前にはなれません。だからかなり早い段階で「君にはこのスキルが足りない、磨いていこう!」と常にはっぱをかけられます。それでも頑張っていける成長意識の高さと持続性が学歴云々よりも重要なポイントなんです。

コンサルタントに必要な条件その②。
プライド≒クオリティーラインを自ら持つ

コンサルタントは医師や弁護士のように国家資格が必要な仕事ではなく、定義が曖昧で誰でも明日から「私は〇〇コンサルです」と言い張れば、それが通ってしまう世界です。また、問題が見つかっているにもかかわらずクライアントから言ってこないから放置するとか、相手がわからないのをいいことに面倒くさいから適当なところで煙に巻くようなことができる、楽をしようと思えばできてしまう誘惑の多い仕事。その結果多種多様な、言い方を変えれば玉石混交なコンサルタントが跋扈してしまっている現状があります。

だから、倫理的に自分自身のなかでコンサルタントとしてのクオリティーラインを持たなければなりません。倫理というより矜持やプライドという言い方の方が良いかもしれません。面倒くさいからやらないとか、適当に済ませちゃうことって、シンプルにカッコ悪いじゃないですか。“プライド≒クオリティーライン”をしっかり持って臨んだ結果として、相手の「びっくりした」、「ここまでやってくれると思わなかった」といった言葉を導き出すことは、コンサルタントとしてとても重要な要素です。

コンサルタントに必要な条件その③。
能動的な課題取り組み姿勢

クオリティーラインと被ってくる話でもあるのですが、これもとても大切なこと。クライアントは自分たちでは解決できない問題をコンサルタントに投げる。そのなかで、数学の問題のような切り口ではなく、フワッとした課題を与えられることも多いですし、そもそも何が課題なのかわからないというケースも少なくない。

つまり、言われたことならしっかりこなす真面目さだけではやっていけません。ほかの職業よりもかなり能動的に動いてクライアントの課題を見つけ分解して「こういうスタンスでアプローチしていきましょう」といった具合にタスクを設計していく力、自分自身で仕事を生み出す力が必要になってきます。

コンサルタントに必要な条件その④。
手段を択ばない≒タスクを自分本位で設計せず、クライアント目線を保つ

“手段を選ばない”と言っても、結果のためには卑劣なことでも何でもしろという意味ではありません。“能動的な課題取り組み姿勢”にも通じるのですが、例えば必要な調査があったとして、「ググって調べました」みたいな人が最初はけっこう多かったりするんです。それは手段の一つであって、そこで完結してしまうならそれこそクライアントが自分たちでできることだから我々は必要ない。

方法はいくらでもあります。コンサルタントはやることが規定されていないなかで、自分で枠を決めちゃってそこから出ない、出られないと、自分本位という評価が下ります。クライアントがどういうことを求めていてどういう情報が欲しいのかを考え、簡単に出なくてもあらゆる手段を使って調べる。それでも駄目だったら「わかりませんでした」ではなく類似の例を提案する。そして解決のためにアクションを起こす。そこまでしっかりやる意欲があるならば、この仕事は向いていると思います。

人材を育成するポイント

アーツアンドクラフツは、ここまでに話したようなメンタリティと行動力を持って課題を解決できる人材を育てていくことを、大きなテーマとして掲げていることが特徴です。「自分自身が商品の仕事なら当たり前のことじゃないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかしここが変な話で、人材が商品のコンサル業ですが意外と育成手法の確立は業界的に弱かったように思います。

ではどのように優秀な人材は育ってきたのか。これがまさに野放しで、砂漠にたくさんの子羊を投げ入れて生き残ったら勝ちみたいな、アップオアアウト、バトルロワイヤル的な世界だったんです。生き残った人は確かに優秀なのですが、その周りには屍がゴロゴロ転がっているような状態。コンサルタントは責任重大な仕事でクライアント目線第一。だから育成はスーパーコンサルタントの出現待ち状態にして実務に力を注ぐことは効率的だとも言えるんですけど、それだといい人はすぐにほかのファームに行ってしまいますし、メンバーも疲弊してしまう。人材の流動性が激しすぎて会社としての品質担保や持続性という部分で問題を抱えることになり、結局クライアントのためにならないという状況も生まれてくるんですね。

そんな業界のなかで、私は幸運にも良い上司や先輩に恵まれたことでなんとか死なずに済みました。だから、いきなり完成形のコンサルを求めてバトルロワイヤルさせなくても、一歩一歩成長の道筋を作れるんじゃないかと思いました。それで、アーツアンドクラフツもクライアント第一と謳ってはいるんですけど人材育成にもそれと同等に重きを置くようになったんです。

原石を見つけたい

あとは、原石を見つけたいんですよね。この職業は職歴や学歴、学位などが重要だというイメージがありますが、うちは未経験者優遇なのでそこはあまり関係ない。そしていろんなタイプの方々を採用して、その人たちがどのように成長してきたか見守っています。その結果を踏まえ、レジュメに書く学歴や職歴、学力テストだけでは見えてこないポテンシャルをどのように測ることができるか、ノウハウを蓄積するようにしているんです。その結果、他社にはいないようなバラエティに富んだ人材が集まり差別化を図ることができています。

例えば前職が教員、自衛官、農業や研究者といった、コンサルタントとはかけ離れた未経験者のいる会社って探してもなかなかないと思うんですよ。これ、別に外を向いて話題性のある人を狙っていたわけではなくて、モニタリングを積み重ねて面白そうだと思った方を採用しただけなんです。ようするに原石は我々が思っている以上に、いろんな場所にいるということ。そして、そんな新人のスキルを上げていくことが、先輩やマネージャーの立場になった人たちのやりがいに繋がり彼らもまたスキルアップしていく。そのような循環は社会的にも意義のあることなのではないかと思います。

プロフィール

平田

平田 久郎

米国戦略系ファームBooz & Company(現PwCネットワークStrategy&)を経て2010年当社設立に参画。コンサルタントとしての経験と知見をもとに、当社のB2B領域における事業開発及び業務運営を一手に担う。独自の社会観と戦略眼に基づき、次世代型のコンサルタントとエンジニアの育成に従事。ペンシルバニア大学(米国)卒業、東京工業大学大学院修士課程修了。

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