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2021.07.17

【インタビューvol.7】夢から逆算したキャリアの歩み方 -会社勤めから独立までを、ひとつの道に-

アーツアンドクラフツが始動した、新たなプロジェクト。それは「好き」を諦めない、夢に向かって頑張る女性たちを応援する取り組みです。2021年夏に発行予定の絵本は、このプロジェクトの一環としてスタートし、ウーマンクリエイターズカレッジの代表・松本えつをさんとオーダーメイドの結婚指輪工房『ith』代表・高橋亜結の共同制作で進められています。

「好き」を諦めない。夢に向かって頑張る女性たちを応援する絵本プロジェクト

ジュエリーデザイナー 兼 職人   竹内 真梨子

長野県軽井沢にある「MaRy Jewelry(マリージュエリー)」は、ジュエリーデザイナー兼職人の竹内真梨子さんとご主人の涼さんが営む、オーダーメイドのブライダルジュエリーショップです。ここで作られるのは、お客様の思いを形にした世界でたった一つのオリジナルのブライダルジュエリー。それはithでつくり手として経験を積んだ竹内さんが思い描いた夢の形でした。

竹内さんがithに在籍したのは2015〜2020年。竹内さんが在籍した6年間は、ithがブライダルジュエリーブランドとしての礎を築き、さらなる発展を遂げようと全国に出店が相次いだ時期でした。2015年当時はithの事業がようやく軌道に乗りはじめ、代表の高橋だけでは制作も接客も追い付かなくなった頃でした。そこで、新たなスタッフを募集したところ、ジュエリー制作や接客の経験のある竹内さんが応募してきたのです。
(vol.1から順に読む)

 

 

自分で経験しながら
模索する日々

 

今でこそ、全国にアトリエを構えるithですが、竹内さんが入社した当時はアトリエも吉祥寺のみ。お客様との打ち合わせが集中する週末は吉祥寺のアトリエで接客し、平日は空いた時間を使って御徒町の問屋街に行き、貴金属メーカーや資材会社を周ることもあったと竹内さんはいいます。

 

竹内さん(以下、竹内)

当時のithは今ほど先進的ではなくて、どちらかというと叩き上げのイメージでした(笑)。まだ業界内の繋がりも乏しかったので、少しでもithを知ってもらい、ネットワークを広げていくことも大切な仕事でした。その当時に知り合った業者の方たちとは、独立した今もお付き合いさせていただいて、とても助かっています。

 

竹内さんがジュエリーの世界に入ったきっかけを尋ねると、短大で彫金を専攻したことが始まりだったそうです。美術系の短大に進学した竹内さんは、2年生で専攻を選ぶことに。彫金・ガラス・織の3つに絞り込んだ竹内さんは、最終的に最もしっくりきたという彫金を選びました。手の中で金属がキラキラと輝いていく過程に心弾んだ竹内さんは、次第に金属に関わる仕事がしたいと思うようになり、そこで最初に思い浮かんだのがジュエリーでした。

 

 

竹内

彫金の指導をしてくれた短大の先生が、山梨のジュエリーの専門学校の先生と知り合いだったことから紹介してくれて、いいかも!と思って入学しました。そこではデザインや商品企画の授業もとても面白かったのですが、やっぱり制作に関わる授業が一番楽しかったですね。それも金属加工の授業ではなく、その前の段階、金属を指輪の形にに仕立てる原型制作の過程がとても面白くて。

 

こうしてジュエリーの専門学校で知識と技術を身に付けた竹内さんは、卒業後はジュエリー業界で働きたいと就職活動を開始。しかし、当時は彫金の求人は少なく、選べるほどありませんでした。そこで、竹内さんは制作だけにこだわらず、デザイナー・販売と職種を広げて応募。ようやくブライダルリングを手がけるジュエリーブランドの制作部に入社しました。

 

竹内

でも、そこでは受注されたものをひたすら作るだけで……。次第にお客様の存在が希薄になり、作っている指輪がただの金属の塊に見えてきてしまいました。もっとお客様に寄り添って結婚指輪に関わっていきたいと思うようになり、インポートのジュエリーブランドの販売職へと転職しました。

 

 

ithの先に見つけた夢に向けて、
目の前の仕事から全てを吸収する日々

 

販売職に就いてみると、今度は制作側の顔が見えず、なにかが違うと悶々とする日々。そんな中、専門学校の先生から面白い求人があると連絡が。その求人元がithだったのです。

初めてithの名を聞いた竹内さんは、早速、ホームページをチェックしてみると、そこには竹内さんが漠然と描いていた理想の仕事がありました。

 

竹内

私がやりたいと思っていたことはこれだ!と思ったんです。それで、そのノウハウを学びたくて入社しました。実際に働いてみると、デザインに辿り着くまでの大変さを実感しましたし、お客様と対面しながらヒアリングしていくことの難しさがよく分かりました。

 

 

そんな中で私が心がけたのは、お客様の小さな要望も聞き漏らさないようにすることでした。お客様の中には事前にご要望を伝えてくださる方もいらっしゃいますが、そういう方にも最初は定番のサンプルリングから着けてもらうんです。すると微妙に最初の要望と好みが変わってくる方もいて。お客様も意識していないことを自然な会話の中から探り出していく。そうすることで、お客様が本当に望む指輪をお作りすることができると思っています。

 

ithのつくり手としての人生が順調にスタートした一方で、竹内さんは「いずれは独立したい」という思いも抱いていました。そのころには、身近な友人たちにジュエリーを制作し販売するなど、個人としての創作活動もしていましたが、ithで働くことで独立の夢が具体性を帯びてきたのです。

入社早々から、独立を口にしていたと話す竹内さん。しかし、気づけば5年もの間、竹内さんはithの仕事に全力で向き合っていました。

竹内さんは、代表・高橋とともに新たに入社したつくり手たちの指導はもちろん、次々と誕生するアトリエでつくり手としての実績を重ねていったのです。加えて在職中に、最初の会社の同僚であり、同じくジュエリー職人である涼さんと結婚しました。

 

 

竹内

彼も以前から独立したいと話していて、お店を開くなら地元近くの軽井沢がいいといっていました。お店の名前は結婚したタイミングで付けたんです。その後、軽井沢に念願の工房兼ショップをオープンすることになり、私は平日ithで仕事をし、週末は「MaRy Jewelry」のお客様と打ち合わせするようになりました。軽井沢と東京と行き来するため、1年近く、新幹線で通っていました。

本当はもっと早く辞めるタイミングはあったのかもしれませんが、単純にithで働くことが楽しかったんです。それに得るものがまだまだたくさんあったから。接客のスキルはもちろんですが、最後は生産管理部門で指輪を作るための細かな過程を学ぶことができました。その経験は独立した今、すごく役に立っています。

 

すでにオープンしていた「MaRy Jewelry」が軌道に乗り始めた2020年秋、涼さんとともに「MaRy Jewelry」に専念するため、竹内さんはithを退職しました。

 

 

自分の頑張りで、
チャンスを掴み現実に変える

 

竹内さん曰く、「ithでの経験がそのまま独立の事前準備に繋がったといっても過言ではない」というように、「MaRy Jewelry」はほぼithのスタイルを踏襲しています。というのも、ithでじっくりと経験を積んだ竹内さんが、お客様にとって最もよいシステムだと自信を持っているからです。今ではSNSや紹介を通じて訪れるお客様も多く、近県だけではなく、東京や愛知から足を運ぶ人もいるといいます。

 

竹内

おかげさまで独立後も順調です。集客の難しさはありますが、ithでやってきたことの1から10まで、そのすべてに携わって力を注げることに幸せを感じています。今は規模を広げることは全く考えておらず、自分たちの目の届く範囲に幸せを届けていけたらいいなと思っています。

 

独立後は家族と一緒にいられる時間が圧倒的に増えたと喜ぶ竹内さん。涼さんとは互いに制作に携わることから、最初のころはオーダーされたジュエリーの完成度について意見をすり合わせることもあったそうですが、今はお互いの認識がほぼ同じレベルになってきたと嬉しそうに話します。

 

竹内

どっちも頑固なんですよ()。でも、私が独立することができたのは、彼の存在が非常に大きいと思います。彼がいなければ「MaRy Jewelry」はやっていないですし、逆に、彼も私がいなければ独立できていなかったと思う。お互いに支え支えられつつ、こうして続けることができたんだろうなと思います。だから、今はここをしっかりと守っていきたい。そして、近いうちに夫婦で個展を開いてみたいなという目標もあります。ブライダルジュエリーはお客様ありきのお仕事なので、それとはまた別に自分たちの作りたいものを表現する場があっても素敵かなと思っています。

 

独立した今、その仕事ぶりをうかがうと、ithにいたころと何ら変わっていないことが分かります。それは常にお客様に寄り添い続けること、そして、なにげない会話からお客様の個性を最大限に引き出し、お客様の理想を叶えていることです。唯一の違いは、涼さんという最も信頼できるパートナーが近くにいることでしょう。

 

 

竹内

私は人に恵まれていると思います。もともと肩肘を張って頑張らなきゃという気負いはないのですが、よいタイミングで縁とチャンスを掴むことができたと思います。でも、きっかけが縁やチャンスだったとしても、それを活かす準備やその先の発展は、自分の頑張り次第だと思うんです。私は今までも頑張ってきたなって思うし、これからも頑張っていきたい。

 

ご主人との二人三脚で始まった竹内さんの夢。今は現状に満足しつつも、これを高めていくことを目標に仕事に邁進していきたいといいます。ときには、仕事とプライベートが混同してしまうこともあるそうですが、それも今は苦ではなく、むしろ涼さんと制作について話しているときが一番楽しいそう。

 

竹内

もし、今、やりたいことがある人は、その先の目標を見つけるといいかもしれません。私もお店を開く、独立するというビジョンが遠くにあったから、今、経験していることはいっときのことだという気持ちはありました。目標に向かう、今はその通過点と思うと気持ちもラクになるはず。

そして、やりたいことは口に出したほうがいいと思います。ただ思っているだけではだめです。世に知らしめないと。そうすれば自然と縁も繋がってくると思いますよ。

 

<竹内 真梨子プロフィール>

美術短大にて彫金と出会い、山梨のジュエリー専門学校にてジュエリーの制作を学ぶ。卒業後は職人・販売・生産管理と、多岐に亘りジュエリー制作に関わる就業経験を積む。ithを退職後、公私のパートナーである竹内涼氏とともに、軽井沢にてオーダーメイドジュエリー工房 MaRy Jewelryを営む。ジュエリーと猫が大好き。
MaRy Jewelry WEBサイト:https://mary-jewelry.com/
Instagramアカウント:https://www.instagram.com/karuizawa_mary_jewelry/

 

【インタビューはこちら
vol.01  “好き”を天職にする
vol.02  活躍の道は、ひとつじゃない
vol.03  挑戦する女性を、サポートしたい
vol.04  会社員として働きながら、目の前のチャンスを掴む
vol.05  “何がしたいのか”を、見極める
vol.06 思いを込めて“ものづくり”する人でありたい

 


「好き」を諦めない。夢に向かって頑張る女性たちを応援する絵本プロジェクト
> Makuakeプロジェクトページはこちら  2021年7月26日(月)まで

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