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2021.06.24

【対談インタビューvol.6】互いへの信頼から生まれるクリエイション2 -思いを込めて“ものづくり”する人でありたい-

アーツアンドクラフツが、この春、始動した新たなプロジェクト。それは「好き」を諦めない、夢に向かって頑張る女性たちを応援する取り組みです。2021年夏に発行を予定している絵本は、このプロジェクトの一環としてスタートし、ウーマンクリエイターズカレッジの代表・松本えつをさんとオーダーメイドの結婚指輪工房『ith』代表・高橋亜結の共同制作で進められています。

「好き」を諦めない。夢に向かって頑張る女性たちを応援する絵本プロジェクト

フォトグラファー 鳥巣佑有子 × ith代表 高橋亜結

ithのメインビジュアルを始め、ブランドの世界観を表現する撮影を手掛ける鳥巣佑有子さんは、ith代表の高橋が「結婚指輪・婚約指輪に宿る夢や幸せを、ithらしい価値観で表現してもらえる」と絶大な信頼を寄せるフォトグラファーの一人です。

第2回目は、クリエイションを通じて信頼関係を築く2人に、仕事を通じて得た気づきや大切にしている思いを語ってもらいました。(第1回目:vol.5はこちら)

 

複数の拠点がもたらす、
クリエイティビティへの刺激

 

2016年より、鳥巣さんは千葉県一宮市に仕事の拠点を増やし、ご主人と暮らす東京のご自宅を行き来する2拠点生活をしています。自然豊かな環境に拠点を構えることは、鳥巣さんが昔から追いかける夢のひとつでもありました。海の近くで暮らし、花を育てたり、野菜を作ったり。それこそが究極のクリエイションだと、鳥巣さんは強く憧れていたのです。さらに当時は、不眠症や片頭痛といった体調面の不安も抱えていました。そんなときにたまたま仕事で訪れた一宮の環境に惹かれた鳥巣さんは、「ここに住みたい!」とその場で不動産会社を訪ねました。

 

鳥巣 

そのときは原宿に構えていた事務所の引っ越しも考えていたので、ちょうどいいタイミングだったんです。不動産会社で紹介された物件のうちのひとつを即決しました。それはもう、周囲の人もびっくりするくらい()、あっという間でしたね。一宮は移住者も多く、町全体がサーフタウンなんです。私もまたサーフィンを再開したのですが、海で波を待つリズムが写真を撮る上でもヒントになったりするし、波とタイミングが合ったときは本当に気持ちがいいんです。それに目の前に広がる太平洋を望む景色が、自分の中にあった大自然のイメージにも近く、それだけで心が満たされる。

気持ちが落ち着くと自然と体にも変化が生まれて、それまで悩んでいた体調不良もなくなりました。東京で仕事がなければ、今はずっと一宮でもいいと思っているのですが、東京の自宅には主人もいますし、一宮に3泊以上はしないようにと決めています。外から見ると私たち夫婦は少し変わっていると思われるかもしれませんが、これが私たちにとってはちょうどいい距離感なんですよね。

 

高橋 

私もこれまでは一つの拠点の一つの小さなスペースでずっと作業することしか、自分にはできないと思っていましたが、意外とそうでもないんだなって気づきました()。全国のアトリエには定期的に行くのですが、気分転換にもなりますし、その場所で何かしらの発見があります。今はいろいろと動くことはいいことなのかもしれないって思います。

 

現在、ithのアトリエは国内に11カ所あります。新しい土地にアトリエを構えるときには、高橋は自ら新入社員を指導したり、ときには付きっ切りでロールプレイングを行ったりと、体力的にも精神的にも負担を感じる時期もあったそう。しかし、今はそのときに思いを伝えたスタッフたちが成長し、後輩たちへその思いを繋げる役目を担うようになり、高橋の気持ちにも余裕が生まれてきました。そしてさらに成長を続けるithのブランドとしての在り方に心を寄せています。

 

高橋

将来的には今よりもアトリエの数は増えると思うんです。でも、どこの地域にアトリエを作っても、吉祥寺で始まったithのよさは維持していきたい。ブランドが大きくなると要となるコンセプトが薄まることがあると思うのですが、それがないようにこれからもお客様に寄り添い、頼りにしてもらえる存在でありたいですね。

 

鳥巣

私もものづくりをできる人になりたいなって、ずっと思っているんですよ。今も変わらず海外に行きたいという思いもあるけど、一方で畑を作ったり、家を作ったりできたらいいなと思っています。以前、カナダのある島に行ったのですが、そこは島民たちが自給自足で暮らしていて、家や家具も自分たちで作るんです。それがとても素敵で……。島民の方に「自分がものを作ることによって、ものを作る人の気持ちがわかるようになるし、それが相乗効果によって生活がすごく楽しくなるよ」といわれました。実際に私もものづくりをしている人たちと仕事をするとすごく楽しいし、いい写真が撮れる。だから、自分もものを作る人でありたいなと思います。

 

出し惜しまないことで生まれる、
成長と循環

 

鳥巣さんは、ひとつひとつの仕事を自分にとってのターニングポイントだと思って、毎回取り組むといいます。なぜなら、どの仕事も同じものはなく、そこに新しい発見や勉強が必ず見つかるから。鳥巣さんは、その都度、仕事から影響を受け、次の仕事へとつなげてきたのです。ときに何かを犠牲にしながらも、夢を叶えた手応えを実感しています。

 

鳥巣

途中から仕事の正解の難易度が高すぎて、100点のものを出してもだめになったときのしんどさがあったんですよね。それでも、私が仕事を続けられたのは、人生をかけて行ってきた趣味の結果が何かひとつでも仕事になったら、それはやってきたことが無駄じゃなかったと証明できると思ったから。ただの趣味で終わらせるには、時間もかけすぎているし、無茶もしすぎているから、お金を払う価値のある写真が撮れる環境にもっていかないと、もう引き下がれない状況になっていたんです。幸いにも証明できるくらいにキャリアを積むことができたので、結婚を機に仕事をセーブしようとしたけれど、夫はそれを望んでいなかったという()

 

高橋

続けていただけてよかったです(笑)。好きなこと、やりたいことがあるなら続けることですね。そのためにはまず行動に移さなくてはいけない。私は鳥巣さんほど自発的ではありませんが、やるべきタイミングが来たらすぐに行動していた方だと思います。そのおかげで今があるともいえますね。

 

鳥巣 

私は今も写真が大好きで、投資を惜しまず120点を出す仕事を心がけています。そうすることで次につながったり、120点を目指せる環境が整い、自分に還ってくる。ただ言われたことを仕事にしている人の中で仕事をするのと、クリエイティブにものを作っている人たちの集団で仕事をするのでは、全く違っていて。作った人と受け手の心が通うようなものを作りたいし、そういう人生にしていきたいです。

 

<高橋亜結プロフィール>

自身のアトリエから生まれたオーダーメイドの結婚指輪工房「ith」のブランド代表。15歳から金属工芸全般(彫金・鋳金・鍛金)を学ぶ。山梨県立宝石美術専門学校卒業後、宝飾メーカーの工房で8年半修業を経て独立、吉祥寺にアトリエを開く。高橋自らデザインし、試作を重ねた結婚指輪のコレクションは、シンプルなものから個性的なものまでバリエーションは幅広く、その数は70種を超える。ブランドコンセプトである「たくさんよりも、ひとつをたいせつに」という想いをもとに、これまで手掛けた婚約・結婚指輪の数は1000組以上にも上る。現在は、新作の商品開発の他、新たに加わったつくり手たちの指導にも関わるなど、ブランドの顔として社内外に向けた活動している。

 

<鳥巣佑有子プロフィール>

1972年生まれ、京都出身。フォトグラファー。夫と住む東京の自宅と一宮との二地域居住。日本大学藝術学部映画学科卒業後、京都の映画撮影所でスチールカメラマンとして活動。映画・時代劇・Vシネ・TVドラマ・演劇・舞台・ドキュメンタリー等々、数々の宣伝用スチール撮影の仕事と平行してニューヨーク・ロンドンに通い、スタジオマンやカメラマンアシスタントしながら、写真について学ぶ。2000年、拠点を東京に移し土井浩一郎氏に師事を経て、2001年よりフリーカメラマンとして独立。
WEBサイトはこちら
Instagramアカウント:@torisuyuko

 

【インタビューはこちら
vol.01  “好き”を天職にする
vol.02  活躍の道は、ひとつじゃない
vol.03  挑戦する女性を、サポートしたい
vol.04  会社員として働きながら、目の前のチャンスを掴む
vol.05  “何がしたいのか”を、見極める

 


「好き」を諦めない。夢に向かって頑張る女性たちを応援する絵本プロジェクト
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