2018年、経済産業省が「DX推進ガイドライン」を発表して以来、「DX」、あるいは「Digital Transformation」という言葉が日本でとても熱くなっています。2021年9月に政府はデジタル庁を設立する予定となり、さらにDXが加速するでしょう。しかし、いまだになって、果たして「DX」とは何なのか?何をすれば「DX」といえるのか?これに対して完全に理解していない方もいるでしょう。本文ではDX、及び手軽にスタート可能なDXを紹介していきます。
経済産業省の「DX推進ガイドライン」によると、DXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。難しく記載しているが、ようやくすると、IT技術を活用し、ビジネス、生活、働き方などに変革をもたらすということになります。つまり、重要なのは「IT活用」以外、「変革」もあります。これを読むと、AIやビッグデータなど先進技術で社会を変革させるという難しいことをイメージする人は多いと思うが、実際より身近でもDXがたくさんあります。ここで「情報共有」、「ワークフローシステム」、「業務自動化」3つの観点から事例を紹介していきます
情報共有に置いて、今までメールや電話・FAXなどで行うことが多かったが、現代のビジネス社会に置いては効率よいとは言い難いでしょう。コロナの影響で在宅勤務・リモートワークが盛んで、遠隔で社内の高頻度コミュニケーションや共同作業の必要性が強まり、従来の方式だととても対応しきれないでしょう。そして、今回はGoogleが提供している「Google Workspace」というクラウドサービスを紹介します。
「Google Workspace」元々「Gsuite」と呼ばれて、複数のアプリケーションによって構成されているビジネス向けのクラウドサービスです。GmailやGoogle Chatなどの通信ツール、Googleカレンダーというタスク管理ツール、Google MeetというWebミーティングツール、Office機能を持つGoogleドキュメント/スプレッドシート/スライド、クラウドストレージのGoogleドライブなどなど、オフィスワークに必要とする機能は一通りそろっています。そして、Google Workspaceが従来のofficeツールとの違いとしては「クラウドベースで、各サービスが自由に連携可能」が挙げられます。
少し具体的な使い方を上げると、Googleカレンダーでミーティングをセットすると、Google Meetが自動的にセットされ、関係者のメールアドレスに届きます。そして、カレンダーにスプレッドシートなどの添付ファイルも添付可能のため、わざわざメールで関係者に会議資料送る必要もないです。会議中はGoogle Meetで画面共有など基礎的な機能はもちろん、「Jamboard」でホワイトボードを使って、対面のようなドラフト書きも簡単にできます。さらに、なにより便利なのは「スプレッドシート」の共同作業機能で、複数の人が同時に同じファイルを開き、編集することは可能です。下記イメージ図のように、誰がどこを操作しているかを異なる色で表示され、各自の操作結果お互いリアルタイムで確認できます。これによって、従来分担作業する際に各自自分のパーツをやって、その後マージすることが必要なく、効率が飛躍的にあがり、同じタスクの分担時重複作業防ぎもできます。つまり、スプレッドシートで共同作業することは、同時に作業分担、各自の進捗、結果共有など複数の情報共有を行っていることになりますので、働き方に小さくない変革をもたらすでしょう。
それ以外、Google Workspaceの活用方法もたくさんあるが、弊社の「【実践事例】GoogleWorkspaceで推進する中小企業のDX」シリーズをご参考ください:
【実践事例】GoogleWorkspaceで推進する中小企業のDX(1)|Brand&Tech-Human&DX-実践事例
【実践事例】GoogleWorkspaceで推進する中小企業のDX(2)/顧客接点での活用|Brand&Tech-Human&DX-オンライン接客-実践事例
【実践事例】GoogleWorkspaceで推進する中小企業のDX(3)/マーケティングへの活用|Brand&Tech-Human&DX-実践事例
以前「初心者向け:テレワークに備えて 何が必要?」という文章で「ワークフローシステム」を少し紹介したが、簡単にいうと「電子承認システム」です。会社の規模に関係なく、毎日様々な「承認」業務が行われています。例えば「立替経費申請」、「案件計上」、「振込申請」、「休暇申請」、「各種稟議」などがあります。従来のやり方だと、「申請書」あるいは「稟議書」を作成し、そして関係者が順番に印鑑を押して承認するとう形になるが、物理的制限により、効率は非常に悪いです。例えば以下の場合:
従来の承認だと多々あるでしょう。なおかつ、リモートワークの場合や、多拠点展開企業の場合、印鑑もらうだけのために長距離移動しないといけないことも発生します。これらを対応するには電子承認、つまり「ワークフローシステム」が最も有効です。PC以外、スマホなどからも承認できるので、物理的な制限なく、リアルタイムでどこからでも申請&承認が可能になります。そして履歴も全てシステム上にのこるので、管理もとてもしやすいでしょう。「ワークフローシステム」によって、従来のオフィスワークのペーパレス化が着実に一歩進むでしょう。
業務自動化において、近年一番熱くなっているツールとして、RPAが挙げられるでしょう。RPA、あるいはロボティック・プロセス・オートメーションは業務自動化開発ツールであり、種類により異なるが、基本的にはPC内に限定し、人間と類似する操作をマネして特定な業務を行う「ロボット」(プログラム)を開発することになります。金融業界から発達し、近年製造業、小売業、情報通信業など多種多様な業界の他業種に普及しはじめています。
RPAは人間の操作を模倣できるが、設定方法により基本的にPC内で完結できる業務ほぼ自動化できます。各種業務を「入力」、「加工」、「出力」という3つの段階に分けると、RPA化しやすい業務は下記の図ようになります:
上記図のような「定型」×「大量」な業務がRPA化に最適です。
RPAはどのように働き方に変革をもたらすのかに関して、経理でよく行う「請求書からの仕分け&振込入力」業務を例として説明します。仮に該当業務は「社員による申請」、「経理担当が請求書チェック」、「経理担当が会計システム内で仕訳」、「経理担当がネットバンキングで振込登録を行う」4つの大きいステップあるとしたら、RPAがない場合、特に経理担当者の作業量が多いです。また、会社の規模が大きいほど、同業務のボリュームも増えてしまい、経理担当に負荷かかり、これらの定型業務に時間をとられてしまいます。そこで、RPA導入するとなると、下記図の示すように、経理担当は最初の請求書チェックと振込前の最終チェックを行えばよく、作業量が大幅に減ります。
調査によると現在、日本の大企業(年商50億以上)の約4割がRPA導入済となり、今後中小企業にも浸透していくと予想されています。以前のブログ「今からRPA導入は遅くない:RPA今後の成長性について」には詳しく記載しています。
DXは世の中の大きい流れとして、今後様々な領域においても益々重要になっていくでしょう。今回紹介したものとしては最先端ではないが、導入ハードルが低く、効果がとてもよいものになります。DXが進むなか、少しても参考になれればと思います。
アーツアンドクラフツ Consulting & Solution事業部/マネージャー
2016年上智大学大学院経営学部卒業、大手量販店入社。2018年当社入社、Consulting & Solution事業部にて戦略コンサルティング案件、BRP、RPAを始めた業務改善に伴うITコンサルティングなど、豊富な実績を有する。社内効率化のために、最適なソリューションをご提案いたします。