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【実践事例】GoogleWorkspaceで推進する中小企業のDX(3)/マーケティングへの活用

【実践事例】GoogleWorkspaceで推進する中小企業のDX(1)

【実践事例】GoogleWorkspaceで推進する中小企業のDX(2)/顧客接点での活用

GoogleWorkspaceを用いて低コストで推進する中小企業向けのDX(デジタルトランスフォーメーション)についてご紹介していますが、今回はマーケティング領域における当社の活用事例をいくつかお伝えします。

 

SpreadsheetによるKPI管理や情報管理

SPreadsheet(スプレッドシート)は、様々なデータや数値を管理するための表計算ソフトで、MicrosoftのExcel(エクセル)に相当するソフトと考えるとイメージがしやすいと思います。

Google スプレッドシート: ビジネス向けのオンライン スプレッドシート | Google W...
Google スプレッドシートを使用すると、プロジェクトの追跡、データの分析や計算が可能です。既存のスプレッドシートを Excel から読み込むこともできます。Google Workspace でスプレッドシートをご利用ください。

クラウド上にシートがあることから、時間や場所を問わずにアクセスさえできれば離れた場所からでも共同作業を行うことができ、よりタイムリーに情報共有が図れるというのが、シンプルかつ最大のメリットです。

 

変更と共有をタイムリーにできることがKPI管理に最適

ITがビジネスの基盤として浸透してくるにつれて、事業管理の手法としてKGI/KPI管理という方法が一般的になってきています。

【基礎から学ぶ】デジタルマーケティングにおけるKPIの設計方法

KGI/KPI管理を行う際に、多くの事業者の方が市販のソフトやシステム会社に制作してもらった自社システムのデータレポーティングシステムから吐き出したデータをさらにMicrosoftのExcelにインポートし帳票作成して、というような方法で実行されているのではないかと思いますが、スプレッドシートはKGI/KPI管理を効果的に実施するためにも非常に役立ちます。

KGI/KPIを使った数値ベースの事業運営手法には様々なものがありますが、自分たちのビジネスを取り巻く環境が、目まぐるしく変化する昨今、自分たちが中心的に管理してくべき数値項目も随時見直しながら変化させていく必要性があります。

従来のエクセル等でもデータ分析などで必要な見方を随時組み立てることはできましたが、スプレッドシートであれば複数の人間がリアルタイムで常にひとつのシートを共有しながら作業ができます。つまり複数人の知恵や知識を同時にすり合わせながら、項目の意味の検討や、シートのブラッシュアップができるわけです。

 

※ithで活用しているKPI管理用のスプレッドシート(一部モザイクをかけさせて頂いています。ご了承ください。)

 

 

地味なれど圧倒的に高まる組織の情報伝達効率

スプレッドシートは、KPIなどの数値管理のほかにも工夫の仕方によって様々なかたちで活用が可能です。

弊社でも全国11店舗の多拠点での毎週の週次レポートを管理や、生産で起きた特定の問題に対する解決策やその現場での遂行管理など、あらゆるケースで応用可能です。

特別な言語等も不要ですので、高度なOAスキルを持った人間だけでなく、一般的なレベルの知識を持った社員全体で活用できますから、他拠点間での情報共有や、アドホックな用途のためにさっとシートを作成し、必要な人間だけで共有し情報収拾をするといったこともできます。

実際に弊社でもSPreadsheetの活用が全社員に定着してくることで、企業全体の情報伝達効率が圧倒的に高くなってきています。

スプレッドシートには、シート内にチャット機能や、担当を割り振りしコメントを挿入し必要な人間に確認を促す機能など、複数の人間がバーチャルな環境下でコラボレーションできる機能が充実しています。

多くの人が、エクセルで作業したものをメールで送付し、ファイルを開いて確認し、またそれを送り直すという作業に慣れていることもあって、このリアルタイムでの共有のメリットにあまりピンとこない方もおられるかもしまれませんが、実際に体験してみると、そのメリットと効力はじわじわと、けれどもかなり大きく活きてくることが感じられると思います。

単なるクラウド版エクセルではない

一人の人間がメールでファイル添付し、少し挨拶の文章や解説を加えたりして送るという作業に、それぞれが5-15分ぐらいを費やしているとすれば、1日2−3ファイルをやりとりするだけでも実は30分や1時間程度の時間が費やしていることになります。

たいした意味をもたらさないその時間が積もり積もって、企業全体にどれくらいの無駄な時間を生んでいることか。

最近話題になっている「ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論」という本の中でサービス業や情報労働者の領域で自分の仕事が無価値だと感じやすい傾向があると述べられていますが、仕事内容自体において意義があるかどうかということの他に、仮にその仕事が有意義であってもその仕事の周辺に少しづつ潜むデジタルならではの無駄や手順が、自分たちの仕事を面倒でつまらないもののように感じさせているという側面もあるように思います。

「オフィスのクラウド版だろ」という先入観を捨てて、GoogleWorkspaceならではの機能の活用方法を深く考え直してみると実に多くの発見があります。

大規模なシステム開発や先端的な技術を導入するというだけでなく、多くの経営者、管理者がこのような目線をもって自分たちの仕事を見直していくことがDXの第一歩でもあるのです。

 

 

吉田貞信

アーツアンドクラフツ取締役/ブランド事業部長。NTTデータ、フロンティアインターナショナルにて、IT、広告・マーケティング領域を中心に、B2B/B2Cを問わず新市場の開拓、新規事業の立ち上げなど多数のプロジェクトに従事。