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2020.09.10

初心者向け:テレワークに備えて 何が必要?

背景

テレワークとは「Tele = 離れた」と「Work = 働く」を合わせた造語であり、特に欧米では盛んでいます。「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務」を主な目的として、「組織全体の生産性の向上」、「コスト削減」、「多様な人材の確保」等々のメリットがあるといわれています。日本では1990年代ごろから出始めてから、導入率が緩く増えてきており、2019年には約20%となりました(総務省「令和元年情報通信利用調査」)。

2020年に入ってから、コロナ禍の影響を受けて、政府が強く呼びかけることをきっかけに、テレワークの需要が爆発的に増え始めた。一方、伝統的な日本企業の多くはそもそもテレワークに向けた仕組みがなく、いざテレワーク切り替えようとしても、何から始めたほうがよいですらわからず、導入に難航してしまいます。本文ではテレワークに備えて、必要最低限のものを紹介します。ただし、本文ではあくまでもオフィスワークを中心とした業界向けなので、飲食など現場作業から離れない業界は触れません。

ハードウェア

 テレワークをするにはまずハードウェアがないといけません。社内のPCを持ち出しため、きちんと請求書などを記入した上で管理を適正しないといけません。ここまでは常識の範囲ですが、ネットワーク環境が良く盲点になりがちです。

 PCで完結できる作業であれば、PCあればある意味十分ですが、社内システムに接続のため、オープンネットワークのセキュリティー性に心配するでしょう。特に社内の機密情報がたくさん入っている人事システムや会計システムなど、そもそも外部からアクセスできないようになっているところがよくみられます。外部からアクセスできるかつセキュリティー高いネットワーク環境がVPNになります。Virtual Private Networkの略称であり、VPNはオープンネットワークの中の専用トンネルのように、外部から社内ネットワークに直通しており、セキュリティー高くかつ社内と同等なネットワーク環境にアクセス可能になります。 もちろん初期の構築などが必要ですが、専門ベンダーに相談するとよいでしょう。

ソフトウェア

 ソフトウェアは勤務に必要なツール以外「Web会議システム」、「ビジネスチャットツール」、「タスク管理ツール」等があげられます。

 「Web会議システム」は名前通りのものとなり、Web上で複数人同時に会議を行うためのツールです。代表的なものとして、Zoom(米Zoom Video Communications社)、Teams(米Microsoft社)、GoogleMeet(米Google社)、WebEX(米Cisco社)などがあります。選ぶ際に、会議最大人数、録画機能有無、リモート機能有無などの機能面以外、自社システムとの親和性も重要です。例えばGoogleMeetGoogleカレンダーとの相性がとてもよく、TeamsOffice365との相性が良いです。

 Web会議システム以外、「ビジネスチャットツール」も重要なものです。グループチャットや社外との協業、ファイル伝送などはメールより遥かに効率よくでき、音声通話やビデオ通話の機能もほとんどついている。代表的なものはSlack(米Slack社)、Teams(米Microsoft社)、Line WorksLINE株式会社)などがあります。機能面ではさほど変わらず、利用アカウント数と金額に合わせてプランを選べばよいでしょう。また、Slackを例として、無料でも使えるものですが、ファイル伝送、履歴保存期間に制限があるというところです。

 「タスク管理ツール」はいわゆる各社員やメンバーそれぞれのタスク、スケジュールを確認するものとなります。現在とても流行っているものとしてはGoogle Calendarがあります。スケジュール設定、メンバーとの会議予約、カレンダー共有などの機能以外、カレンダー入れる自動的にGoogleMeetリンクが生成されるので、とても便利でしょう。それ以外、無料で使えるTrelloTrello Inc.)もあり、ただしTrelloはタスクにより重視し、カレンダー機能として使うものではないのです。

業務フローの見直し&「ワークフローシステム」

 ソフトウェアの部分では、主にコミュニケーションツールを中心に紹介しましたが、リモートワークにとってとても重要なものとして、「ワークフローシステム」を単独に説明しなければなりません。多くの企業の各種申請や稟議は紙ベースのため、リモートワークでは対応できない部分です。また、最近よくニュースで出ているリモートワーク実施会社の社員が「印鑑押すためだけに出社する」こともあります。それを解決するために「ワークフローシステム」がもっとも有効です。

 そもそも「ワークフローシステム」とは何かを一言でいうと「電子承認システム」です。電子化された申請書や通知書をあらかじめ決められた作業手順に従い、集配信する、決裁処理を行うことが可能で、場所に制限されず、PCやスマホで簡単に稟議などを申請し、承認することができます。すると、「印鑑押すためだけに出社する」ということがなくなり、リモートワークでも稟議承認ができるほか、効率も大幅に向上します。

 日本で代表的なものとして、「ジョブカン」(株式会社Donuts)、「楽々Workflow」(住友電工情報システム株式会社)、「X-point Cloud」(株式会社エイトレッド)などがありますが、導入にあたって注意しないといけないのは、「Web会議システム」や「ビジネスチャットツール」など入れればすぐ使えるのもとは違い、ワークフローシステムは設定する必要があります。多くワークフローシステムにさいしょから「立替経費申請」、「案件計上」、「振込申請」などのテンプレートがありますが、基本カスタマイズしないと効率よく使うことは難しいでしょう。また、場合により、現行の業務フローを見直ししなければならなりません。現行業務フローを全て洗い出した上での最適化、承認ルートの設定、申請フォームの設定、各社員の権限設定など、全て設定するのは大変でしょう。ITに弱い会社の場合尚更です。よりスムーズ導入するには、にワークフローシステム導入支援及びBPRBusiness Process Re-engineering)のできるプロのベンダーに相談するのもよい選択でしょう。

終わりに

 今回はゼロからリモートワーク導入するには有効なITツールを紹介しました。少しでもご参考に慣れれば幸いです。今後は「ワークフローシステム」を中心に導入事例を紹介してまいります。

 

 

【参考】

王 立云

アーツアンドクラフツ Consulting & Solution事業部/マネージャー
2016年上智大学大学院経営学部卒業、大手量販店入社。2018年当社入社、Consulting & Solution事業部にて戦略コンサルティング案件、BRP、RPAを始めた業務改善に伴うITコンサルティングなど、豊富な実績を有する。社内効率化のために、最適なソリューションをご提案いたします。