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【実践事例】テレワーク時代のタイムマネジメント vol.4

 

このコラムは連載企画です

<前回コラムはこちら→>【実践事例】テレワーク時代のタイムマネジメント vol.3


前回コラムでは、タイムマネジメントの実践方法の第一弾として、自分の時間の使い方の可視化について述べさせて頂きました。本コラムでは、可視化された情報をもとに具体的にどのような視点で改善していくのか言及したいと思います。

実践②:テレワーク時代に併せた時間管理の改善とは

前回コラムの実践①で、一般的な時間管理の改善手法をご説明しましたが、この章では特にテレワーク時代における時間管理のTipsをご紹介していきたいと思います。このコラムの前段で、テレワーク時代の働き方の特徴として「物理的な距離の制約が無くなる」「作業風景が見えなくなる」「空気感を共有しづらい」「自宅が職場となる」を挙げさせていただきましたが、それぞれメリットとデメリットの両側面があります。ここでは、特にテレワークによって発生するデメリット面に対する対処施策を中心に述べていこうと思います。テレワークでは、従来のオフィス勤務時と比べて、働き方やコミュニケーションの取り方が大きな変化がもたらされます。その特徴をうまく活用することで、むしろオフィス勤務時よりか生産性の高い働き方が可能になります。

 

 

 「会議の頻度・負荷増大」への対処:

テレワークにより会議時の物理的距離の制約が無くなり、従来よりも多くの会議を一日にこなすことが可能になりました。一方、安易に会議に参加しやくなった反面、テレワーク前よりも会議の頻度・負荷が増えたという声がよく聞かれます。ここで大事なのでは、参加している会議を一つ一つ棚卸しを行い、「参加できるから、する」という思考ではなく「参加しなくても、目的からすればあまり影響のない会議には参加しない」と割り切る考え方です。このことはドラッガーの「成果の無い時間を削る」という格言が当て嵌まります。

この会議体の棚卸しするため、前回コラムであげた時間計測シートが役に立ちます。仮にその会議が、「プロジェクトの進捗状況の理解促進」というように個人の目的を充足していたとしても、そこで自身が何も発言や意見を求められる機会が無いのであれば、組織の目的としてはご自身の貢献は無いと言えます。そうであれば、今のテレワークのWeb会議ツール、ZoomGoogle Meetでは録音機能が常備されていますので、誰かに録音していただき、後日それを個人で聞く、もしくは会議後の議事録を見るだけで済ます、といった対処が可能です。特に、会議を録音しやすくなったのは、このテレワーク環境の利点の一つだと思います。積極的にそのようなツール機能を活用し、必ずしも自身の存在が必要のない会議体へのライブ参加を削る工夫はあってしかるべきでしょう。

また、これは特にテレワークでのWeb会議だけに限った話ではないですが、アジェンダをあらかじめ明確に設定しておくことも大事です。アジェンダが明確化されていない会議は、話の方向が拡散しがちで、俗にいう「与太話」に嵌る傾向があります。できればそのアジェンダは会議主催者である管理者側が用意し、事前に参加メンバーに投げておくことが望まれます。それにより会議前に各々発言内容を考える時間が生まれ、会議の生産性が飛躍的に向上します。逆にアジェンダが共有されていない会議体は、時間配分のペースが乱れ予定時刻超過の会議になり、時間の浪費の温床となります。

次に、対処法の一つとして「予定時刻超過の場合は途中退出する」という話をしたいと思います。テレワーク環境の利点の一つとして、Web会議における「退出のしやすさ」が挙げられるかと思います。リアルのFact to Face の会議体では、当初の予定時間を過ぎてしまっても、なかなか退出しづらいご経験をされた方も多いと思います。ですがWeb会議になると、途中退出の心理的ハードルが低くなりますので「別のミーティングが次にあるので失礼します」という言い方がしやすくなります。重要な論点は会議の前半に集中させ、あまり重要度の高くない議題で予定時刻を超過している場合は、割り切って途中退席してしまい、あとで議事録や他参加者から情報をもらうことで済ますことができれば、時間の浪費を抑えることに繋がります。

更に、これは裏技的な案になりますが、あまり自身が個人の目的および組織の目的からしても成果を挙げていない会議については、積極的に「内職」をするという手もあります。つまり、会議中に他の作業をしてしまうという事です。これはビジネスマナー上、あまりよろしくなく、むしろこのようなことをするなら最初から出席を断るのが望ましいですが、往々にして参加を余儀なくされるケースも存在します。そして、このテレワークによるWeb会議の普及により、聞き手が何をしているのか話し手は知覚できなくなり、格段に「内職」がしやすくなりました。あまり褒められた技ではありませんが、そのWeb会議の特性を活かし、あまり自身の存在価値の無い会議で他の業務を少しでも進めておくと、1日の生産性は向上します。

最後に、複数会議の予定の組み方について言及したいと思います。このトピックは、自身の都合で会議体の日時調整ができる、つまり組織上上層部の方が特に関係する話になります。特に管理職の立場になると、仕事のかなりの部分を会議が占めることになりますが、その配置を一日の中で分散させるのか、集中させるのか、という論点になります。これについては、自身が一人単独の時間で何かを考えたり作成する必要がある場合は、「会議を特定の時間帯に集中させる」ことをお勧めます。これは、ドラッガーの「時間をまとめる」という提言にも沿った考え方です。会議が一日の中に分散されていると、確かに休憩が合間に入るので楽にはなります。ただ、その会議の合間の短時間は、単に休息に使われるだけで、何も生み出していません。仮に何か創造的な作業に充てようとしても、細切れの短時間ではドラッガーの言う通り、生産性は低くならざるを得ません。ここで、このテレワーク環境に応じた思考の変革が求められます。従来のFace to Faceの会議では「移動時間」という強制的な合間の時間が設けられていましたが、Web会議ではそれを考慮する必要はありません。積極的に会議体は一定の時間枠に詰め込み、一人で作業できるまとまった時間帯を確保することをお勧めします。

  

「プロセスを追えない/サボっているか分からない」への対処:

テレワークにより、オフィスに皆勤務していた時は可能であった各社員の作業風景を眺めながらのマネジメントスタイルは通用しなくなりました。結果、よく聞かれるのが「社員の作業工程の途中で指示・修正を図りづらい」とか「途中で社員がサボっていても指摘できない」というマネージャー職の嘆きです。ただ、これもやり方によっては改善しうる事であり、この点だけを挙げてテレワーク≒悪とみなすのは聊か短絡的でもあります。このようなマネージャー職が挙げる負の側面は、むしろ管理手法をテレワークに合わせて従来のものから変革する、つまりニューノーマルとなる管理を新たに考えることによって、改善しうるものであると考えられます。

例えば、このテレワークによって、移動時間が無くなったことによる余剰時間を活用し、成果物チェックのサイクルを従来のオフィス勤務の時よりか短くする、といったアイデアが考えられます。確かにオフィス勤務のように隣で社員が何の作業をしているのか気軽に声をかけたりするのはテレワークでは難しいですが、その分、途中の進捗チェックや成果物の確認の頻度を増やすことは可能です。今までは2日に1回の正式なインターナルの進捗確認会議をしていたのを、例えば1日に2回とか行うという考え方です。その分、1回あたりの会議は30分くらいにすれば、使用する時間も大きくは増えません。テレワークにより、会議時間の設定・調整のフレキシビリティは格段に向上しました。その利点を活用するのです。テレワークだと、互いに今何をしているのか把握しづらい側面はありますが、オフィス勤務時のように不規則に声をかけるのではなく、毎日●時と●時に30分だけ進捗確認のWeb会議を開く、というように定期化してしまうことで不本意な修正作業や手戻りを減らすことができます。

このようにテレワーク環境に合わせて成果物をより細かい単位で管理していくには、マネージャー側が従来以上により細かくタスク整理・分解をしていく必要があります。マネジメント方法としてざっくりとした指示を行い作業途中で都度フィードバックをするようなスタイルを好む管理者にとっては苦手とする分野でしょう。ただ、このリモート環境により、プロセスでの管理よりもよりアウトプット思考をもった管理が望まれることになります。進捗確認のインターナルミーティング後には、より細かい成果物単位でのToDoリストをテキスト化して共有していく工夫が求められます。

次に、「途中で社員がサボっていても指摘できない」という点ですが、これは社員を性善説で見るか、性悪説で見るか、というマネジメントの永遠のテーマの一つでもあります。また、サボっているわけではないですが、新入社員の方々は作業効率が著しく低い状態にありますので、より事細かに質疑への対応、フォローアップが求められます。そのような特殊な条件下において、テレワーク環境を活用したリモート監視の打ち手があります。ZoomGoogle Meet、そしてSlackTeamsといったビジネス向けSNSWeb会議の機能が標準で付いていると思いますが、それを社員側に画面共有の状態にさせて、音声オフの状態にしてそのまま放置し監視するやり方です。画面共有されることで、その社員が今現在何をしているのか管理者側は一目瞭然であり、これはオフィス勤務の時に遠目で社員の画面を見て管理するやり方よりもはるかに精度が高く社員の一挙手一投足を把握できます。そこで、何か動作が止まっていたり、同じような作業を何回もしているようでしたら、音声をオンにしてマネージャーからアドバイスをしたり悩んでいる点を解きほぐしてあげたりできます。この打ち手は、やりすぎると囚人監視のような印象を与えてしまいますが、期間を限定して行えば、むしろマネージャーと社員双方にとって生産性が上がるやり方となります。


本コラムでは、タイムマネジメント実践編として、 「会議の頻度・負荷増大」と「プロセスを追えない/サボっているか分からない」への対処について述べさせていただきました。次コラムでは、残りの課題にについての対処方法について述べていきます。

<次回コラムはこちら→>【実践事例】テレワーク時代のタイムマネジメント vol.5

 

平田

平田久郎

米国戦略系ファームBooz & Company(現PwCネットワークStrategy&)を経て2010年当社設立に参画。コンサルタントとしての経験と知見をもとに、当社のB2B領域における事業開発及び業務運営を一手に担う。独自の社会観と戦略眼に基づき、次世代型のコンサルタントとエンジニアの育成に従事。ペンシルバニア大学(米国)卒業、東京工業大学大学院修士課程修了。

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