11/19より9店舗目の出店になりますith新宿アトリエがオープンしました。
前日の18日に関係者を中心に私たちの取り組みをご紹介させて頂くレセプションイベントを実施しましたが、それにあわせて私たちが取り組んでいるものづくり、理想とする顧客とつくり手の関係性についてお伝えするための動画を制作しました。
タイトルは、
結婚指輪というお客様にとって一生に一度の特別な商品づくりに対し、つくる側の人間がどういう心持ちで、何を励みとしながら仕事に取り組んでいるのか、私たちのものづくりに関わる社内外のスタッフへのインタビューをまとめた映像です。
私たちアーツアンドクラフツが、約10年の歳月をかけてたどり着いたものづくりのカタチでもあります。
「たくさんよりも、ひとつをたいせつに」
この言葉を、お客様への価値、そして自分たち自身が常に立ち返る原点として掲げながら、ひとつひとつの指輪作りを続けるなかで様々な経験をしてきました。
お客様それぞれの思いをカタチにするオーダーメイドの指輪。そこから生まれるかけがえのない喜び。
一つ一つ思いもカタチも違う特別な指輪をつくるための技術的な難しさや日々の努力、時に感じる心理的なプレッシャー。
日々の苦労を乗り越えながらお客様から頂く感謝や達成感。
お客様のおもいと制作に関わる人間の様々なおもいが交差しながら、一つ一つの指輪がかたちづくられていっていること。
お客様とつくり手が近くにいるからこそ感じられる価値の循環が、概念だけでなく実現できることを表現したいと考え、この映像を企画しました。
インタビューのなかでも語られているとおり、現在の世の中でものづくりの現場にいる多くの人間にとって実は顧客というのは遠い存在です。ウイリアム・モリスが警鐘を鳴らしたように、やりがいや働く喜びを損なわせる大量生産・大量消費という仕組みがもたらした負の側面でもあります。
そんなあり方への課題認識を持ちながら、ただ古き良き過去の方法論に回帰するのでなく、原点と理想を結びつけものづくりのあり方を前に進めていきたいというが私たちが目指すところでもあり、近年D2C(Direct to Consumer)という言葉がバズワードのように盛り上がるなかで、その言葉の本質を考え導いた私たちなりの実践的回答でもあります。
各方面でDXが叫ばれているように、過去を乗り越えアップデートしていくためには顧客接点やものづくりのなかに様々なテクノロジーを積極的に取り入れていく姿勢が欠かせません。
私たち自身、ジュエリーという極めて情緒的価値が重視され、生産面でも手仕事の幅が大きい商品を取り扱いながらも、機能性や効率性を高めるIT活用についてかなり積極的に取り組んでいます。
今回のコロナ禍を通じ、顧客と企業の間の顧客接点におけるIT活用は急速に進みつつあるように思いますが、一部の先端的製造業を除き、製造の現場、とくに手仕事が重要な価値を生み出すようなものづくりの現場においては圧倒的にIT化が遅れている様に思います。
顧客接点に止まらず、生産製造の現場までをITで結び、消費者とものづくりを結びつけていくことがD2Cの実践的なネクストステップに繋がっていくと見ています。
このようにDXを推進しながらも、最終的に私たちが本当に大切にしたいこと。
それは前述のとおりものとものづくりを通じてもたらされる血の通った喜びの循環です。利便性や効率性を高めながらも、同時につながっていない価値やニーズを結びつけものづくりの魅力をいかに増幅させていくか、そのためにITという手段をうまくいこなすという感覚が大切だと考えています。
手段に踊らずにこの観点を見失わないこと。そのうえで軋轢を恐れずDXを進めていこうとすること。その両方をうまく調和させていく感覚が、未来を切り拓こうとする多くの企業にとって極めて大事なことでないかと考えています。
ブランドとデジタルの力で、日本のものづくりをアップデートする。アーツアンドクラフツの実践的ノウハウを余すところなく紹介した一冊です。
アーツアンドクラフツ取締役/ブランド事業部長。NTTデータ、フロンティアインターナショナルにて、IT、広告・マーケティング領域を中心に、イノベーション・プロデューサーとしてB2B/B2Cを問わず新市場の開拓、新規事業の立ち上げなど多数のプロジェクトに従事。