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2020.11.12

なぜ重要?RPA導入するための環境構築

初めに

未経験者がRPA導入にいて考える際に、「どんな業務をRPA化すればよいか」、「どのRPAツールを選ぶか」や「どういうふうに開発するか」などRPA対象について考えることが多い。仮にこれらの問題がすでに決まっていれば、次にくるのは「何で開発、何でRPAを運用するか」という問題になるだろう。今回はRPA導入する際の「環境構築」について簡単に紹介をする。

必要な環境

 RPAの「環境」はまずRPA開発及び運用するための「パソコン」と操作対象の「システム(ソフトウェア)」、二種類あり、それぞれまた「開発環境」、「ステージング環境」、「本番環境」に大きく分けられる。

開発環境

選定した対象業務をRPA化するには、もちろんRPA開発しないといけない。この開発環境こそがRPA開発をメインとする環境となる。すなわち「ロボットを組み立てる」環境となる。RPAツールにより、開発用と運用用のソフトが異なる場合があるが、開発環境にはもちろん開発用のRPAソフトをインストールすることとなる。また、開発以前の話、そもそも選定された対象業務が開発可能かの検証も必要なので、基本開発環境で技術検証を行うことが多い。

検証や開発はエラーやイレギュラーが伴うため、「いくらいじっても本番業務に影響がない」というのが原則です。すなわち、開発用のパソコンにしても、操作対象のシステムやソフトウェアにしても、本番で運用しているものと切り離しているのが原則。

ステージング環境

 開発環境で技術検証、開発が終わったら、すぐ本番運用ではなく、一度テストや動作確認を行うのがほとんどです。もちろん、開発段階でもテストを行うが、開発環境のPCは基本本番運用PCのスペックやインストールされているソフトウェアが異なる場合がほとんど。また、操作対象システムも開発段階では基本開発環境を使用するが、100%本番環境と一致するとは限らない(例えばUIが微妙に異なるなど)。そのため、本番限りなく近い環境でテストすることが一番だ。こと環境を「ステージング環境」という。

 基本ステージング環境用のPCは本番と100%一致するスペックとなるのは分かりやすいが、操作対象のシステムはいくつかのパターンがある。本番環境と100%一致する開発や検証用環境がない場合、例えば本番環境で実行して、「失敗しても影響が大きくない」業務に対して、システムの本番環境がステージング環境になる場合もある。そもそも開発環境が存在しないものにたいして(例えばネットバンキングなど)、結局本番環境でテストするしかないが、その場合開発者とエンドユーザーが立会し、RPAの動作想定仕様と異なる場合いつでも止められる体制が整った上でテストを行う。ケースバイケースになってしまうが、原則としては、本番運用時と同じか限りなく近い条件でテストする環境が「ステージング環境」という。

本番環境

 本番環境は文字通りの意味で、開発完了のRPAが実際行っている業務を実行する環境となる。操作対象システムは当然普段業務に使用されている本番のシステムを使う。PCは求めているスペックに満たして、必要なソフトウェアがインストールしていれば特に問題ないが、その管理に注意する点がある。本番実行のPCが複数のシステムにアクセスすることが可能のため、誰でもアクセスできたらセキュリティー上はよくないだろう。ただこれらの問題は運用時の問題になるため、ここでは詳しく説明しない。

開発・運用端末の種類

 ここまで開発・運用端末の話をする際に、ずっとPCを例として話していたが、実際端末は2種類ある。通常人間が使っている実機のPCと仮想マシンとなる。

実機PC

 実機のPCは一番分かりやすく、設置も簡単にできます。開発、ステージング、実行にそれぞれ分けて、RPAツールをインストールすれば開発運用が可能になります。PCに詳しくないエンドユーザーでも簡単になれるだろう。ただし、実機PCの管理問題がある。10台以内の場合までできるが、台数が多くなると、まず格納場所を確保しないといけない。したがって、セキュリティー問題、ハードウェアのメンテナンスなどの問題があります。

仮想マシン

 1台のサーバー内で複数の仮想マシンを作って、それぞれを独立したPCと同等にRPAを運用することは可能です。メリットそしては、サーバーを1台から数台管理すればよいので、管理やメンテナンスはしやすい。スペック許容範囲内であれば、仮想マシンを追加することも可能また、AWSAZUREなどのクラウドサービスを利用すれば、サーバーそのものの管理も必要なくなるので、とても便利だろう。だたし、通常のPCと違って、仮想マシンを使うにはインフラ関係知識が必要となる。また、AWSAZUREを利用する場合、さらにそれぞれの専門知識があるため、専門家ではないと少々困難だろう。それ以外、RPAツールの種類により、特定の種類の仮想マシンで一部の機能が動作しないか、特別な設定が必要な場合もあるので、すべて検証し、動作することを確認する必要はある。

終わりに 

ここで様々な環境を紹介したが、いずれの環境が必要か、あるいはどのように端末と組み合わせるかは導入予定の規模、組み立てられる運用体制、コストなどを考えながら決めないといけない。本分でまとめたもので環境構築する際に少しでも参考になれれば幸いだ。

王 立云

アーツアンドクラフツ Consulting & Solution事業部/マネージャー
2016年上智大学大学院経営学部卒業、大手量販店入社。2018年当社入社、Consulting & Solution事業部にて戦略コンサルティング案件、BRP、RPAを始めた業務改善に伴うITコンサルティングなど、豊富な実績を有する。社内効率化のために、最適なソリューションをご提案いたします。