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銀行員からの転職~コンサルに活かせるスキル~

他業界からの転職「銀行員からコンサルへ転職した際に活かせる能力」

本記事では他業界からコンサルへ転職した際、前職で経験した・培ったスキルがどのように活きてくるのか・活かすことができるのかといったことを、筆者の体験談を交えて紹介していきます。

筆者は大学卒業後、銀行員として働いていましたが転職し、現在はアーツアンドクラフツのコンサルタントとして多種多様な業界・案件の元、直接クライアントと接しながら数多くのプロジェクトに参画しています。

コンサル業界への転職を考えていたり、興味を持たれている方たちの中にも「他業界からコンサルに転職するのってできるの?」「前職でやってきたこととコンサルで求められているスキルは全然違うのではないか?」と思われる方はいらっしゃるかと思います。(なぜなら筆者もそうだったから)
この記事を通して「他業界からでもコンサルに挑戦できるんだ!」ということを感じて頂ければ幸いです。

他業界からコンサルタントへの転職~教員編~

 

本編に入る前に筆者は一体何者なのか、銀行員からコンサルへと転職に至った背景は何なのかについて説明します。

筆者は大学卒業後、地元の地方銀行に入行し支店配属で勤務していました。預金や融資といった支店業務全般を経験しながら、既存顧客への取引拡大や新規顧客開拓のための営業活動や、窓口での顧客対応をしていました。しかし、筆者は大学時代の就活の時からコンサル業界への興味を持っていました。興味を持った経緯としては、世の中には様々な業種・業態・規模の会社がたくさん存在しており、それらがどういった事業活動をしているのか知りたいということを常々思っていました。こういったことを実践して学ぶことができるのはどんな職業なのかと考えたときに第一に思いついたのがコンサルでした。また、就活の際に銀行の方からコンサルとはアプローチは違うものの、同様にいろいろな企業とのかかわりはあるとの説明を受け、地元に戻ろうかという思いもあり銀行に就職しました。しかし、実際働いてみての銀行では企業の財務情報を見ることは頻繁にあるものの、事業について詳細に知る機会というのは私が想像していたよりも少ないと感じたのと、コンサルへの思いを捨てきれなかったことから、転職を決めました。

アーツアンドクラフツにコンサルタントとして入社した後初めに経験したのはデータ分析の案件でした。主に顧客の営業拠点と販売数のデータを分析しエリア別、事業所形態別に販売数の推移や営業拠点集約施策の効果を可視化する案件であり、その後はデスクリサーチや電話でのヒアリングを用いた「市場調査」や「デューデリジェンス支援」、顧客の業務分析からヒアリングを行った「業務改善」、新規顧客獲得に向けた「戦略策定」、「事業計画策定支援」等の幅広いテーマかつ、クライアントも製造業からITベンダー、物流といった多様な業種のプロジェクトに参画いたしました。プロジェクトは23ヶ月のものや、1年間に渡って行うものもある中、弊社に入社して2年ほど経ちましたが多くの経験をすることができました。

参考までに筆者が参画したプロジェクトを下記にまとめております。

  • 国内大手ヘルスケア製品販売事業会社におけるデータ活用事業の市場ニーズ調査
  • 国内大手新聞社におけるBPR支援
  • 国内大手ITベンダーにおける組織構造改革/BPR支援
  • 国内大手タイヤメーカーにおけるSCM構築にむけた戦略策定支援ならびに工場の原価逓減に向けた機会抽出
    • 国内大手タイヤメーカーにおける販売拠点集約のためのデータ分析
    • 製造過程における工程異常のデータ分析
  • 国内大手コンサル会社におけるリード戦略策定支援
  • 国内大手ITベンダーにおける物流MaaSプラットフォーム事業計画策定支援
  • 国内大手ITベンダーにおける事業ニーズ探索のためのメガトレンド調査(データの自由化、グリーン化、ニューノーマル)
  • 国内大手医療機器メーカーにおけるAgritech事業戦略策定支援
  • 国内大手継手・バルブメーカにおけるデューデリジェンス支援

 

以下より本題に入りますが、銀行員からコンサルへ転職した筆者の実体験を基に「異業種からコンサルへ転職される方」向けにコンサルタントに求められる能力を解説していきます。

そもそもコンサルとはどのような職業か

本章ではそもそもコンサルとはどんな仕事を行っているのか?という観点からコンサルの業務内容を説明します。(一部弊社過去記事引用)

コンサルは、クライアント企業の経営や人事、システムといった観点の課題を明らかにし、課題解決に向けた情報収集やデータ分析を元に戦略を立案・提言することによって企業の成長や業績改善を支援する仕事です。昨今では戦略の提言に留まらず立案した戦略に基づいて顧客とともに事業を行う実行支援まで行うケースが増えています。多くのコンサルタントはコンサルティングファームというコンサルタントの集団からなる企業に属しており、ファームごとに戦略系、業務・IT系、シンクタンク系、組織・人事系、FAS系、事業再生・ハンズオン型支援など領域やテーマに専門性を持って支援を行っています。アーツアンドクラフツは戦略系・IT系を中心にコンサルティングサービスをクライアント企業へ提供しています。

 上のカオスマップは弊社にて作成した最新版のコンサルティング業界をマッピングしたカオスマップですが、記載している企業の他にも国内だけでも規模の小さいファームや個人でのコンサルと拡大している業界です。

 

コンサルタントの語源は「consult=「相談する」にあります。

コンサルタントは具体的な製品・サービスを売るのではなく、コンサルティングそのものを商品として対価を受け取る職業です。つまり、コンサルタントである自分自身が商品となる職業です。
相談を受けたクライアントの課題とは何かを見つけ、その解決策を提案すること。ひいてはその実行を支援することがコンサルタントの提供する価値となり、商品になります。

コンサルタントに仕事を頼むクライアントとしては、その領域に関する知見のある人物の力を一時的に借りることで、コストを抑えつつより良い解決策を見出したいという考えがあります。そのため、限られた期間の中でクライアントが望む以上の、つまり報酬以上の、高いアウトプットを出すことが求められる職業です。ゆえに、求められる能力は多岐に渡り、いずれも高いレベルであることが求められます。

弊社コンサル事業部の運営方針

コンサルへ転職するにあたり「そもそもコンサルには高学歴が必要になるのではないか」「転職するにしても、未経験でコンサル業界に中途入社するのは敷居が高いのではないか」と考えている方は多いと思います。実際、筆者の就職・転職活動からは大手コンサルファーム等では、高学歴の人がより多く採用されていたり、中途採用でもコンサルの経験が必要であったり、専門的な業務経験が5年ほど必要などといった条件を見かけることもありました。しかし、その点は心配ありません。アーツアンドクラフツに入社しているメンバーは全員コンサル未経験であり、そんな人たちでも業務を通してコンサルのノウハウやスキルを学んでいくことのできる土台や制度が整っています。
弊社の評価制度も明確で、「スキルシート」と呼ばれるシートを活用し、「スキル(6種)×自身の達成したレベル(3段階)」で客観的に評価されます。この6種のスキルを段階的に高めていくことでコンサルタントとして独り立ちできる能力が身に付きます。

これらのスキルは筆者の経験上銀行員だけではなくどんな職種でもさしては社会人として求められる共通の能力だと実感しています。ここで一度、弊社で設定しているコンサルタントに求められる6種のスキルの概要を簡単に紹介します。

 

[コンサルタント6種のスキル]

Ownership/Task Management

 与えられたタスクを、PJ全体の目的に紐づけて理解し、自らのミッションとして方向性を示し遂行する能力

 問題の要因を同定し自発的に解決案を提案するなど、改善アイデアを能動的に発信する能力

Presentation/Facilitation

 インターナルMTGで、現状の問題や自分の主張をまとめて簡潔に分かりやすく伝える能力

 クライアント前で資料を使って納得感のある発表を行う能力

Hearing/1on1 communication

 -PJの目的を理解し、クライアントやステークホルダーに対してあらゆる手段を用いて適切に意思疎通する能力

Research/Fact finding

 記事検索などの定性情報を資料化できる能力

Analysis/Modeling

 -PJで使用する分析ツールを使いこなす能力 (Excel関数、PivotAccess)自らExcel等で分析モデルを設計、運用できる能力(DDのプロジェクションモデルなど)

Visualization/Slide Creation

-視覚的に伝わりやすい資料を作成する能力。 メッセージを意識したバーティカルなコンテンツを作成する能力 ・ストーリーラインに乗せたホライゾンタルな資料を作成する能力

 さらに、弊社では入社してからコンサルに必要なスキルにフォーカスした研修制度も用意されています。中途入社の場合入社後1週間用いて行う研修プログラムですので、入社後いきなり案件にアサインされることもなく、土台形成を行うことができます。この研修を受講することで全てのスキルが網羅されるということはありませんが、コンサルタントに必要な議事録作成のスキルやExcelにて関数を用いた分析手法、パワーポイントでの資料作成における基礎が盛り込まれていますので、前職にて経験したことないものでも、学ぶことが可能です。
以下は弊社にて行っている研修の一覧です。

  

先にも申しましたが、筆者は前職で銀行員をしていましたが、議事録の作成はもちろんパワーポイントを用いた資料の作成やExcelで一から関数を用いて分析するといったことの経験がありませんでした。一概に銀行員がこれらの経験がないとは言い切れませんが、銀行では既存のフォーマットや本部からの資料が送られてくるのが多く実際に経験する場は少なかった印象です。

以下の記事にスキルシートの詳細が整理されていますので、よろしければご覧ください。

併せて、弊社事業部紹介の過去記事もまとめておきますので、弊社に興味を持った方はぜひご覧ください。

 

銀行員の主な業務とコンサルとして生かせるポイント

本章では銀行員の主な業務とその業務での経験がコンサルとしてどう活きるのかという点を整理していきます。当時は当たり前のようにこなし、この業務でどんなスキルがあるのかと考えもしなかったですが、改めて振り返ることでコンサルにも活かせるスキルがあるのかと筆者自身考えさせられました。是非とも読者の方にも銀行員をされている方のみではなく、他業種に勤めている方へも、コンサルに活かせる業務(スキル)について気づきを得ていただければ嬉しいです。

銀行の業務は主に「預金」「為替」「融資」「金融商品販売」といった4つに大きく分けることができます。

「預金」業務は、個人や法人の顧客からお金を預かる業務です。銀行の業務の中でも特に身近に感じることができる業務かと思います。

「為替」業務は銀行口座を保有する顧客の依頼に応じて、振込や送金を行う業務のことです。身近なものでは、公共料金や給料の口座振替などがあります。為替業務は、現金で直接やりとりをせずに決済が完了されるのが特徴です。

「融資」業務は、預金業務で預かった資金を用いて、住宅ローンや開業資金などのお金を貸し付ける業務を意味します。融資の返済において、貸し付けた金額に付与されるのが利息です。銀行は、その利息から利益を確保しています。

「金融商品販売」業務は個人の資産内容や収入に見合った資産運用や保全のアドバイスをしながら、金融商品を販売することです。

このように銀行業務は分けることが可能ですが、相手にするのが法人なのか個人なのか、国内のみの取引ではなく国外も関係するのかといった風にさらに分解していけると思います。

 

その中でもコンサルにも活かせるスキルについてピックアップしてみました。
業務を行う中で必要となる、磨かれていくスキルの中でもコンサルと共通するものはいくつかあり、実際筆者も現状実感をしております。

 

 

 

 

このように銀行員としての業務経験はコンサルでも多分に活用できることが実感できます。個人や企業の経理担当、たまに役員クラスと携わることは多々ありましたが、コンサルではより役員クラスや部長クラスといった人に変わっただけであり、根本的な業務の進め方や考え方は銀行員とコンサルではそう大きくは変わらない事を実感しています。                    

 

おわりに

本記事では、銀行員からコンサルに転職した際に活かせる能力について筆者の経験を基にご紹介しました。

銀行の業務とコンサルの業務は融資という観点では企業にアプローチする点で似ていることもあり、他業界であるものの能力の面で関連してくるところは実はあり、経験を活かせる業務もあるということに気づいていただけましたでしょうか。

銀行員だけではなく、他の業界に勤めている方もご自身の業務経験がコンサルに生きる部分は少なからずあると思います。本記事を通して、転職を考えている皆様がコンサルに挑戦してみようかな」と少しでも思って頂けましたら大変うれしいです。

過去の記事にて「教員からコンサルへの転職」を綴った記事を掲載しておりますので、ご参考として拝読いただけるとより他業界からの転職のイメージをすることができるかと思います。

その他にも、「こんな情報を紹介してほしい」「こういった視点の記事を読んでみたい」などの要望がありましたら、弊社問い合わせフォームよりリクエストを頂ければ幸いです。

 

福田 裕基

アーツアンドクラフツConsulting & Solution事業部/アナリスト