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【コンサル事業部紹介★第5弾!】新卒が主役になる育成制度!「登竜門プロジェクト」のご紹介

新卒育成の仕組み「登竜門プロジェクト」とは?

本記事では、アーツアンドクラフツ独自の新卒育成施策である「登竜門プロジェクト」について、ご紹介します。

筆者は川上 雄也(かわかみ ゆうや)と申します。マネージャーとして、特に後輩の育成に注力して日々邁進しており、本稿で紹介する「登竜門プロジェクト」についても、育成施策のひとつとして提案し実現しました。

 

登竜門プロジェクトとは、毎年春頃、入社から約1年が経過した新卒社員のみで構成されたチームを発足し、新卒自らアーツアンドクラフツ社内の業務改善や新規事業の立ち上げプロジェクト等を企画、推進、支援する取り組みです。

普段はマネージャーや先輩に教わりながらクライアントのため、自身の成長のために努力している新卒社員がプロジェクトの主役となり責任を負い、クライアントの前に立ち、同期同士の絆を深めながら、汗と涙の青春の数か月間を過ごします

新卒が1年間学び成長した成果を発揮する力試しと、高い視座を得る経験をしてもらう。そんな他社では経験できない独自の取り組みについて、実際の立ち上げ時のエピソードを辿りながら、ご紹介します。

 

登竜門プロジェクト発足の経緯と目的

まず前提として、コンサルタントとしての新卒の育成には難しさがあります。

コンサルタントは、クライアント企業のみでは実現できない姿を一緒に実現させていくことが使命です。求められる思考・行動や必要な能力が高い分、非常に高単価です。また、クライアントと対面するコンサルタントは自社の顔となり、その担当者によってクライアント企業から見た自社の価値・評価が決まると言っても過言ではありません。

それに対し新卒社員とは、コンサル経験は当然、ましてや社会経験も無い人財。しかしなぜコンサル企業が積極的に新卒採用を行うかというと、その若さゆえのポテンシャルに期待しているから。だからこそ、まずは先輩の後ろについてもらって、少しずつ業務に慣れてもらい、「自社の顔としてクライアントの前に出てもらっても問題ない」と判断してから、クライアントの前に出ていきます。それには、数年かかることもざらです。

 

私たちアーツアンドクラフツでは、中途社員であっても未経験で採用するほど、人財育成に力を注いでいます。と同時に、BP(ビジネスプロフェッショナル)(参考:「【コンサル事業部紹介★第3弾!】アーツアンドクラフツが目指すコンサルタント像をご紹介!」)の育成をミッションとして、ミッション実現へのスピード感も高めたいと考えています。

そんな背景から、新卒社員に早いうちから高い役割を経験してもらって視座を上げ、成長速度を早めるための施策を立ち上げることになりました。

施策の詳細を詰める際に注目したのは、弊社のブランド×コンサルというユニークな事業体系です。全く異なる強みを持つ二つの事業を回していることを活かし、新卒が1年間培ったコンサル能力をブランド事業に還元する取り組みを新卒に主導してもらうことで、新卒はダイナミックな経験を得ることができ、またブランド事業部は事業の成長に繋げる、ブランドとコンサル双方にメリットの出る施策として立ち上げました。

↑企画提案時の資料一部抜粋

 

実際に新卒に稼働してもらう期間は4月~6月の3か月間としました。

ちょうど2年目に差し掛かり、後輩を受け入れることになる新卒の皆の力試しになる場であることから、この取り組みを「登竜門プロジェクト」と名付けました。

もちろん一過性の企画で終わらせるつもりはなく、アーツアンドクラフツにおける毎年の恒例行事として根付かせ、コンサル事業部の新卒育成としての価値とだけでなく、アーツアンドクラフツ全体のボトムアップのための価値を出す企画として定着させることを目指しました。

 

登竜門プロジェクトの実例-2021年入社新卒社員-

テーマの検討

筆者らは、ブランド事業部の方々にも相談を持ち掛け、とある業務の品質向上に向けて取り組むことで、役員陣とも合意しました。

ここから、新卒の皆にバトンタッチしてプロジェクトを推進してもらいます。新卒の皆にとっての、大いなるチャレンジの始まりです。

 

新卒チームの組成と初めてのプロジェクト計画策定

2021年4月に入社し、登竜門プロジェクトにチャレンジする新卒社員は5名。この5名で、チームを組み、プロジェクトを推進します。

筆者らから皆にプロジェクトの主旨やテーマ等を伝えたところ、新卒の若さ溢れる勢いそのままに、「ぜひやりたいです!」「楽しみです!」と声を揃えて言ってくれました。

まずは4月いっぱいかけて、プロジェクト計画の策定と、5月頭に予定するキックオフの準備を新卒の皆さんに考えてもらいました。

 

初めてのクライアント向けプレゼンテーション

5月頭、策定したプロジェクト計画を持って、キックオフのため新卒たちはクライアント先(正確にはクライアント役のブランド事業部の方々)の元へ赴きます。弊社のブランド事業の出発点である吉祥寺オフィスです。粗相があってはいけないので、念のため筆者も同席。

初めて自分たちがメインスピーカーになり、クライアントに対面でプレゼンする機会です。特にコロナ禍以降、オンラインミーティングも増えたことから、オフラインの機会はめっきり減っており、メインスピーカーでなくとも対面での会議は経験が浅い状況でした。

事前に5人でプレゼンの予行演習を繰り返し、発表箇所の役割分担も抜かりなく、入念に準備してきました。

しかし・・・実際にやってみると、皆の手と声は震え、背筋は丸く、伏し目がちで、長机ひとつ挟んだ距離に座るクライアントに届くかどうかわからない小さな声・・・。筆者がなんとかフォローを入れつつ、その場はなんとか計画には合意いただき、終了。失敗とは言わないまでも、課題が多く残る結果となりました。

その帰り道、新卒の皆はとりあえずこの場をやり切った達成感もありつつも、各々が反省を口にしていました。

しかし、筆者はプレゼンと帰り道の反省会を見て、このプロジェクトを立ち上げて良かったと、初めて実感しました。皆が本気でこのプロジェクトに向き合い、当事者意識を持って臨んでいる証拠。残りの2か月で大きく成長するぞ!と、わくわくしていました。

 

新卒チームだからこその落とし穴と打破するマインド

週に3回、新卒チーム内での進捗会議が行われていました。筆者も同席していたところ、大きな問題を発見しました。

同期だけで行う会議だからか、明確なアジェンダを作らず、会議のゴールを明確にせずに行われている・・・。緊張感がまるで無い。会議を通じて何が生まれているのかもよくわからない。

普段は温厚な筆者ですが、このとき珍しく叱咤しました。慣れ合いではないんだぞ、困っているクライアントがいるんだぞ、限られた時間で成果を出さなきゃいけないんだぞ、入社してから1年、何を学んできたんだ、と。

1年間学んできたはずのコンサルとしての本質的な役割やあるべき姿を忘れかけていることと、登竜門プロジェクトの建付けが裏目に出ている現状に危機感を強く覚えたためです。

 

しかし、これをきっかけに、彼らの意識は激変しました。

進捗会議ではゴールを設定し、全体計画から見たときにどこまでの進捗であるべきなのかを考え、今後とるべき施策やアクションの意見は活発に交わされ、全員で合意するところまで確実に到達させる。

時には、オンサイトでオフィスに集まり、夜遅くまで皆でああでもないこうでもないとホワイボードを使いながら議論し、アウトプットの質をどんどん上げていきました。そういった行動もあり、同期同士の連携もプロジェクト開始当初からは見違えるほどに深化していました。

クライアントとも積極的にコミュニケーションをとり情報収集しつつ、必要に応じて意見を交わす。そして雑談ができるまでの関係性も築いていきました。

どう進めていいかわからない、判断できないときは筆者や他マネージャーにスピード感もって相談することも忘れません。

コンサルとしての本質に立ち返り、自分たちに出来る限界まで成果を出したいという想いが、全員に宿っていました。

そして、最終的な施策案をまとめきりました。

たった一つのきっかけで意識変容を起こし、行動まで変えることができるという一人ひとりの気持ちの強さとチームの団結力に、筆者は驚きと共に感動も覚えました。

↑実際に新卒チームが遅くまで会議室で議論していた際に撮影したホワイトボード

 

いよいよ最終報告

キックオフと同じく、吉祥寺オフィスに赴き、クライアントに対し、いよいよ対面で施策案の提案および最終報告を行います。

2か月前にキックオフで見た彼らとは別人のようでした。背筋は伸び、相手の目を見ながら、ハキハキと大きな声で、自信たっぷりにプレゼンしていました。

クライアントからは感謝の言葉をいただき、今後この施策により、ブランド事業部が変わっていく事に期待を抱いてくれました。

↑最終報告に臨む、新卒たち

↑新卒が検討、作成した最終報告資料の一部

 

プロジェクト終了後の7月、弊社コンサル事業部で3か月に一度催されるWrapUpParty(参考:「【コンサル事業部紹介★第4弾!】社内イベント[Wrap Up Party]についてのご紹介)にクライアントにも参加いただき、感動のフィナーレを迎えることが出来ました。

新卒の皆のやり切った表情は今でも忘れられません。彼らは登竜門を乗り越え、新卒を迎え育てる側の先輩となりました。

↑WrapUpPartyにて、新卒たちとクライアント(ブランド事業部の方々)が登竜門プロジェクトを完遂したことを全社向けに報告している一幕

 

登竜門プロジェクトを通して得られたモノは?

その後、筆者らと新卒チームの皆で振り返り会を行いました。

今後改善していきたい様々な課題も見えた一方で、得られたことは何か、筆者から問いました。

コンサルとして、若くして自分たちがマネージャーのような立ち位置も含めてクライアントに直接価値を出していくという大きな経験が得られたこと、そこから様々な学びを得たことはもちろんですが、ブランド事業も含めたアーツアンドクラフツ全体のことを知り、有機的に関わったことでより自社のことが好きになったし、もっと貢献したくなったと言ってくれました。素晴らしい成果です。

中でも、全員が口を揃えて言っていて、筆者が特に印象に残っていることがあります。それは「かけがえのない同期という仲間を持つことができた」ということです。

 

普段は別々のプロジェクトで活躍している同期。同期だから、飲み会はたまに開催して、親睦は図っている。趣味は知っているし、どんな業務をしているのかもなんとなく知っている。

けれど、どれくらいのレベルにまで成長しているのか、よく知らない。なんだかただの友達のような関係だった同期が、登竜門プロジェクトを通して、戦友となり、切磋琢磨し合える大切な仲間に変わったと。

「今後、もしアーツアンドクラフツを離れたとしても、一生仲間でいられる自信がある」とまで言いきっていました。

登竜門プロジェクトの発足当初は想定していなかった、人生における大きな財産を得ることになり、この登竜門プロジェクトの意義と、翌年以降も恒例行事として遂行する必要性を改めて感じました。

 

2023年以降の登竜門プロジェクト

2023年も、2022年入社の新卒社員を中心に、登竜門プロジェクトを遂行しました。

テーマは、アーツアンドクラフツの持つジュエリーブランド「ith」の海外展開を加速化させていくための支援です。

詳細は割愛しますが、無事に成果を出す事ができ、2024年以降もまた新たなテーマでの実施を予定しています。

 

登竜門プロジェクトを振り返り感じるアーツアンドクラフツの魅力

登竜門プロジェクトには、新卒ならではのドラマが詰まっています。

学生では経験することのできない、社会人同期と描く「青春」だと思っています。

こんなことが実現できるのも、アーツアンドクラフツのユニークな組織体系や風通しの良い風土があってこそであり、弊社の魅力を詰め込んだような企画だと感じています。

 

風土という点を掘り下げると、登竜門プロジェクトは、まだマネージャーに着任したばかりの筆者ともう一人のマネージャーの思い付きから始まった企画です。そんな立場でもこのような会社全体を巻き込んだ大規模な企画が実現できるし、さらにマネージャー未満のメンバーの意見から立ち上がった企画も実は他にも多数あります。

こういった風通しの良さから、社員一人ひとりの力で会社を変えることのできるチャンスがいくらでも転がっているのも、アーツアンドクラフツの魅力だと思っています。

 

最後に

本稿では、登竜門プロジェクトについて、実際の取り組みを実例を基にご紹介しました。

興味を持っていただけましたら、幸いです。

その他にも、「こんな情報を紹介してほしい」「こういった視点の記事を読んでみたい」などの要望がありましたら、弊社問い合わせフォームよりリクエストください。

 

川上 雄也

アーツアンドクラフツConsulting & Solution事業部/マネージャー。

ネットワーク監視・保守の実務及びプロジェクトマネジメント業務を5年間経験した後、人材派遣会社の企画職を経て当社へ参画。主にITコンサルティング、業務コンサルティング分野にて、PMOとして実績多数。