本記事ではコンサルへ転職した際、前職のスキルがどのように生きるのか、筆者の体験談を交えて紹介します。
筆者は大学卒業後、教員として働いていましたが転職し、現在はアーツアンドクラフツのコンサルタントとして直接クライアントと相対し数多くのプロジェクトに参画しています。
「他業界からコンサルに転職できるの?」「前職で求められる力とコンサルは全然違うのではないか?」と思っている皆様にも、「他業界からでもコンサルに挑戦できるんだ!」ということをこの記事を通して感じて頂ければ幸いです。
本編に入る前に「筆者が何者なのか」、「転職に至った背景は何なのか」について説明します。
筆者は大学卒業後、小学校で教員として勤務しており、子どもたちの成長を間近で見ることのできる教員という仕事に対してはやりがいを感じていました。しかし、教育業界以外の社会に対する無知さも同時に感じており、「そもそも会社はどのように運営されているのだろう」「世の中にはどのような業界があり、そこで働いている人たちはどのようなことを考えて仕事をしているのだろ」といった学校の外への興味が強くなり、思い切って転職を決めました。
アーツアンドクラフツにコンサルタントとして入社した後はデスクリサーチや電話でのヒアリングを用いた「市場調査」から始まり、「新規事業策定」、「中期経営計画の策定」等幅広くプロジェクトに参画いたしました。基本的には2~3ヶ月に1件のペースでプロジェクトが入れ替わるため、短期間で多くの経験をすることができました。(もちろん長期的な案件をじっくり行う場合もありますので「長期的な案件に参画したい」という方もご安心ください)
参考までに筆者が参画したプロジェクトを下記にまとめております。
・国内大手メーカーによるバイオ領域(培養)における事業戦略立案
・脱炭素領域における海外事業戦略立案
・国内大手エネルギー事業者の事業戦略立案
・国内大手金属加工メーカーにおける新規事業立案
・金属加工装置部品企業のビジネスデューデリジェンス
・木材製造企業のビジネスデューデリジェンス
・半導体企業のビジネスデューデリジェンス
・マテハン機器メーカーのビジネスデューデリジェンス
・国内大手メーカーの自社CO2排出量算定支援
・国内大手鉄鋼メーカーにおける研修プログラムの実施
・国内大手鉄鋼メーカーの中期経営計画策定
以降は教員からコンサルへ転職した筆者の実体験を基に「異業種からコンサルへ転職される方」向けにコンサルタントに求められる能力を解説していきます。
本章では「コンサルとはそもそもどんな仕事を行っているのか?」という観点からコンサルの業務内容を説明します。
コンサルは、クライアント企業の経営課題を明らかにし、課題解決のための戦略を立案・提言することによって企業の成長や業績改善を支援する仕事です。昨今では戦略の提言に留まらず実行支援まで行うケースが増えています。多くのコンサルタントはコンサルティングファームというコンサルタントの集団からなる企業に属しており、ファームごとに戦略系、業務・IT系、シンクタンク系、組織・人事系、FAS系、事業再生・ハンズオン型支援など領域やテーマに専門性を持って支援を行っています。アーツアンドクラフツは戦略系・IT系を中心にコンサルティングサービスをクライアント企業へ提供しています。
コンサルタントの語源は「consult」=「相談する」にあります。
コンサルタントは具体的な製品・サービスを売るのではなく、コンサルティングそのものを商品として対価を受け取る職業です。つまり、相談を受けたクライアントの課題とは何かを見つけ、その解決策を提案すること。ひいてはその実行を支援することがコンサルタントの提供する価値となり、商品になります。
コンサルタントに仕事を頼むクライアントとしては、その領域に関する知見のある人物の力を一時的に借りることで、コストを抑えつつより良い解決策を見出したいという考えがあります。そのため、限られた期間の中でクライアントが望む以上の、つまり報酬以上の、高いアウトプットを出すことが求められる職業です。ゆえに、求められる能力は多岐に渡り、いずれも高いレベルであることが求められます。
コンサルへ転職するにあたり「高いレベルが求められる仕事であるコンサルで自分はやっていけるのか?」、「幅広い知見は持っていないため不安だ」と考えている方は多いと思います。しかしその点は心配ありません。アーツアンドクラフツに入社頂く方々は全員未経験であり、業務を通して学んでいくことのできる土台や制度が整っています。評価制度も明確で、「スキルシート」と呼ばれるシートを活用し、「スキル(6種)×自身の位置するレベル(3段階)」で客観的に評価されます。この6種のスキルを高めることでコンサルタントとして独り立ちできる能力が身に付きます。
そして、実はコンサルタント6種のスキルは教員として求められる能力と重なっている部分が非常に多くなっています。「コンサルで活かせる教員としての業務経験」については次章で詳しく解説いたしますのでここでは割愛しますが、コンサルタント6種のスキルの概要を簡単に紹介します。
[コンサルタント6種のスキル]
・Ownership/Task Management
–与えられたタスクを、PJ全体の目的に紐づけて理解し、自らのミッションとして方向性を示し遂行する能力
–問題の要因を同定し自発的に解決案を提案するなど、改善アイデアを能動的に発信する能力
・Presentation/Facilitation
–インターナルMTGで、現状の問題や自分の主張をまとめて簡潔に分かりやすく伝える能力
–クライアント前で資料を使って納得感のある発表を行う能力
・Hearing/1on1 communication
-PJの目的を理解し、クライアントやステークホルダーに対してあらゆる手段を用いて適切に意思疎通する能力
・Research/Fact finding
–記事検索などの定性情報を資料化できる能力
・Analysis/Modeling
-PJで使用する分析ツールを使いこなす能力 (Excel関数、Pivot、Access等)自らExcel等で分析モデルを設計、運用できる能力(DDのプロジェクションモデルなど)
・Visualization/Slide Creation
–視覚的に伝わりやすい資料を作成する能力。 メッセージを意識したバーティカルなコンテンツを作成する能力 ・ストーリーラインに乗せたホライゾンタルな資料を作成する能力
以下の記事にスキルシートの詳細が整理されていますので、よろしければご覧ください。
併せて、弊社事業部紹介の過去記事もまとめておきますので、弊社に興味を持った方はぜひご覧ください。
本章では教員の主な業務とその業務での経験がコンサルとしてどう生きるのかという点を整理していきたいと思います。「何気なくこなしていた業務で実はこんな力が付いていたのか!」といった気づきを得ていただければ嬉しいです。
文部科学省が整理した教員の主な業務(必ずしも教員が行わなくても良い業務を含む)は以下となっています。こうして実際に文字に起こしてみると教員の業務は多岐に渡っている事がよくわかります。
その中で「コンサルで生かすことのできる教員としての業務経験」として特に重要だと思われる6つの業務を赤字でピックアップしました。
ピックアップした各業務に対して「教員として求められる能力」と「コンサルの業務に当てはめた場合求められる能力」を筆者の経験を基にそれぞれ整理しました。
このように教員としての業務経験はコンサルでも多分に活用できることが分かります。筆者自身もコンサルタントとして仕事をする中で、サービスを提供する相手が「生徒・保護者」から「クライアント」に変わっただけで根本的な業務の進め方や考え方は教員とコンサルではそう大きくは変わらない事を実感しています。
本記事では、教員からコンサルに転職した際に行かせる能力について筆者の経験を基にご紹介しました。
教員の業務とコンサルの業務は一見関係なさそうに思えますが、実は経験を活かせる業務もあるということに気づいていただけましたでしょうか。
教員だけではなく、他の業界に勤めている方もご自身の業務経験がコンサルに生きる部分は少なからずあると思います。本記事を通して、「転職を考えている皆様がコンサルに挑戦してみようかな」と少しでも思って頂けましたら大変うれしいです。
その他にも、「こんな情報を紹介してほしい」「こういった視点の記事を読んでみたい」などの要望がありましたら、弊社問い合わせフォームよりリクエストを頂ければ幸いです。
【参考】
アーツアンドクラフツConsulting & Solution事業部/アナリスト