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2020.10.05

【第一回】「モバイルオーダー」は飲食店を救うサービスとなるか

飲食店の新たなサービス「モバイルオーダー」

コロナにより多くの飲食店が感染拡大防止のため座席数の減少や営業時間の短縮などによって苦境に立たされている中、新たなサービスが注目されつつあります。主にマクドナルドスターバックスのようなファストフード、テイクアウトがすでに主流となっている店舗で導入が進んでいる「モバイルオーダー」と呼ばれるサービスです。外食産業はいまだ厳しい状況が続いていますが、マクドナルドが業績の下降を食い止められているのは元々のテイクアウトに加えてこれを導入したことも理由として考えられます。

では、いったいこのモバイルオーダーがどのような機能を持っていて、それによってどういったメリットがあるのか、また何に注意する必要があるのかを二回に渡って書いていきます。今回は、モバイルオーダーとは何かとその機能、そして導入されている理由についてを説明していきます。

 

モバイルオーダーの認知度と需要

新しい技術というだけあり、日本でのモバイルオーダーの認知度はさほど高くはありません。MMD研究所の調査によると、「全く知らない」がほぼ半数に上り、「使用したことがある」は全体の15%ほどしかいません。しかし、名前の認知度は40%ほどとこれから認知が高まっていく伸びしろが存在しているとも考えられます。
一方アメリカでは、全米レストラン協会(NRA)とテクノミックの協働研究データによると消費者の43%がモバイルオーダーを利用したいという調査結果が出ているが、18%しかNRA加盟店のない状況であり、需要と供給が釣り合わないという現象が起こっています。
日本国内では利用経験者と利用を検討している割合を合算しても20%に満たない程度ですが、今後アメリカのように需要が高まっていく可能性を考えると飲食店側もモバイルオーダーについての理解を深めておく必要があると言えるのではないでしょうか。

 

店舗に行くのは商品受取の時だけで済むモバイルオーダーの仕組み

まず、モバイルオーダーはどういった仕組みになっているのかを説明していきます。“モバイル”という名が表しているように、必要となるのはスマホなどの携帯端末です。スマートフォンなどのモバイル端末から店舗に注文を送信するのでモバイルオーダーと呼ばれています。モバイル端末で操作する都合上、支払いまでアプリ上で完結できるようになっているのも特徴です。このアプリに関しては、サービス会社の提供しているものを使用する場合と自社で開発する場合とのどちらかが可能です。

それでは利用の流れを説明していきます。オーダーの前に、利用者はスマートフォンでモバイルオーダー用の店舗アプリをインストールし、会員登録を行います。そのアプリを開き、GPS機能(現在地から利用したい店舗を選びたい場合)や検索機能(地名や駅名などから店舗を選択する場合)によって利用したい店舗を選択します。店舗を選択したら利用できるメニューが表示されるので食べたいものを選択します。また、店舗によっては通常のテイクアウトのほかに席での受け取りを選択でき、オーダーした商品を店内で受け取りそこでそのまま食べることも可能となっています。その場合は席を確保したのちにモバイルオーダーで注文することが必要となります。また、ドライブスルーに対応している店舗もあり、好きな方法を選択することができます。メニューと受け取り方法を選び終えたら注文は完了です。利用者の注文情報が選択された店舗に届き、店舗はその時点で注文された商品を作り始めます。それが出来上がり次第通知が利用者に届くようになっています。通知が届いたら店舗に行き、注文番号を照らし合わせて確認したら出来上がった商品を受け取ることができます。

つまり、これまで店頭で必要としていた時間のほとんどを自宅など店舗以外の場所から行えて、店舗に行くのは商品を受け取るときだけで済むようになる、というのがモバイルオーダーの簡単な流れです。支払い方法は各飲食店によって異なりますが、現金払いも選べる店舗、カード決済や各キャッシュレス決済サービスしか選べない店舗など様々です。

 

モバイルオーダーが必要とされる理由

使用の流れがわかったところで、なぜ現在モバイルオーダーの利用が進んでいるかという点に触れていきましょう。
下の図はモバイルオーダーの利用者に利用する理由をアンケートした結果ですが、「待ち時間を減らしたい」「列に並びたくない」という理由が多く見られます。この結果を見ると利用者の利便性に直結しているのがよくわかりますが、コロナ対策としても有効だと考えられます。現に、モバイルオーダーの満足度調査ではそこに触れて満足と回答している利用者もいるようです。

利用する理由の第一位として挙げられている「待ち時間」ですが、客が店内にいる時間は、大きく分けて四つに分けられるでしょう。第一に、注文するため列に並ぶ時間、第二に、注文を店員に伝える時間、第三に出来上がりを待つ時間、そして最後に実際に飲食する時間です。列に並ぶ前に何を注文するかメニューを選んだり、飲食するために空いている席を探したりといった時間などもまたかかってくるでしょう。
モバイルオーダーを利用した場合、第一から第三までの時間を全て自宅など店内ではない場所で使うことができ、店内の人数の減少や接触頻度の減少につなげることが可能です。更に、第三の出来上がりを待つ時間は顧客にとって最も手持ち無沙汰な時間と言えます。それを削減できるのであれば、顧客にとっても利便性を感じられるでしょう。

コロナ対策としては人との接触を避ける、ということが現在最も大きなポイントとして挙げられます。飲食店は注文、支払い、配膳、と多くの対人接触が発生する場所でもあり、更に座席で注文するのではなくレジに並んで注文するようなファストフードの場合は待っている他の客とも近距離で接する可能性があります。利用者も複数人で利用することが多く、店員と客という一対一以外の接触が発生するでしょう。たとえマスクやフェイスカバーをしていても、同じ空間に多くの人間が存在しているのは避けたいところではないでしょうか。更に、店舗側もスタッフが多くの客と接する機会をなるべく減らせるように様々な工夫を凝らさなくてはなりません。第二位として挙げられている「列に並びたくない」も、待ち時間や後ろに人が並んでいることによって焦ってしまう心理のほかに、コロナ対策としての理由もあるのではないかと現在の状況下では考えられます。その場に大勢の人が留まらなければ、客同士だけではなく、客とスタッフ間での感染も予防できる可能性が高まります。

 

コロナ対策という以外ではキャッシュレス決済の普及も一つ挙げられます。モバイルオーダーを利用する人の殆どがクレジットカードやQRコードなどを利用した決済サービスを利用しています。現金対応しているモバイルオーダーサービスがないわけではありませんが、どちらも現金を使用する人の割合より倍以上いることをこの調査結果は示しており、国内でもキャッシュレス化という新しい潮流が浸透してきているのかもしれません。

店頭で各種決済サービスを利用するのが現在の主流ではありますが、アプリ内でカードやキャッシュレスサービスでの決済まで完結できればより利用するのに敷居が低くなり、利用人数も増えるでしょう。スマートフォンが普及している現在だからこその注文手段としても広まっています。キャッシュレス決済に関してはこちらの記事をご参照ください。

基礎から学ぶキャッシュレス決済 メリット・デメリットから導入方法まで

 

次回の内容

この記事でモバイルオーダーの使用の流れと導入が進む理由を解説しました。アプリから店舗、メニューを選択して受け取る際だけ店舗に寄る、それが時間と接触頻度の削減として広まっている、というのが簡単なこの記事のまとめです。
次回はメリットとデメリットや注意点、そして導入事例やサービス事例を紹介していきます。

 

【参考】

熊谷菜海

アーツアンドクラフツConsulting & Solution事業部/プログラマー。得意分野はRPA

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