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インターネットの普及や昨今のコロナ禍に伴うニューノーマルへの対応のため、リモートワークや電子契約などといった、ビジネスのデジタル化・オンライン化が急激に加速している。それに伴い、企業のマーケティングや営業活動においても、従来の努力・根性の営業から、デジタルを用いたスマートな営業への転換が求められている。
ここ10年のうちに、インターネット上で飛び交うデータ量が増加し、全ての人が即座に、かつ多種多様な情報を取得できるようになった。それに伴い、企業の広告などといった情報発信の場も、インターネットで行われることが増えている。
さらに、昨今のコロナ禍によってデジタルトランスフォーメーション(DX)化が注目されており、ビジネスの場がよりオンラインへと移行している。2020年6月に開催された、「世界デジタルサミット2020」においては、NECの新野隆社長や富士通の時田隆仁社長をはじめとする多くのデジタルの有識者がDXの加速化を予想している。事実、多くの企業がwithコロナへの取り組みとして、社内外のコミュニケーションをオンライン化するなどのDXを活用している。
そして、世界的に見ても、BtoBビジネスのデジタル化を積極的に進める企業の方がより高い収益性を発揮している。マッキンゼーの調査によると、デジタルマーケティング施策を進める企業の収益成長率はそうでない企業の約5倍である等、収益面において大きな差が開いていることが判明した。このことから、ビジネスのデジタル化は単に昨今の情勢から必要になったものである以上に、従来のビジネスを発展・進化させたものであると言える。
このような、ニューノーマルやビジネスの在り方の進化に対応するべく、ビジネスのデジタル化は全ての企業にとっての課題となりつつある。その中で今回は、前述のとおりデジタル化による収益性の向上の見込みが高い、BtoBのデジタルマーケティングとそれに付随した営業戦略がどのようなものかを紹介していく。
そもそもなぜBtoBのデジタルマーケティングを行うことで収益性の向上が見込まれるのかは、従来の営業戦略と近年のマーケティング戦略を比較することで判明する。
このような営業方法を「アウトバウンド(プッシュ)型」と呼び、この手法では企業分析からクロージングまでの全行程を営業担当者のみが対応する。
この様な営業方法を「インバウンド(プル)型」と呼び、この手法では、オンラインコンテンツの発信から見込み顧客の選別はマーケティング部門が、提案からクロージングまでは営業部門が担当する。
上記の通り、従来の営業と近年のマーケティングの手法はそれぞれ「プッシュ型」と「プル型」に分類される。そしてこの二つにおいて大きく違うのが、情報収集後から提案までの行程である。それぞれの該当する行程を比較すると以下の通りになる。
この様にプッシュ型は、情報から見込みがあると思われる顧客全てに対して、売る側の企業がアプローチをするのに対し、プル型では自社サービスの情報をインターネットに発信することで、見込み顧客が自発的に売る側の企業へアプローチするようになる。つまり、プッシュ型の営業は見込み度の高低に関わらず顧客にアプローチをしなくてはならなかったが、プル型の営業であれば見込み度の高い顧客のみアプローチすれば良くなるため、見込み顧客獲得の効率が向上する。
その他にも、企業分析やニーズの把握も営業管理ツールを用いることで効率化できる上に、営業担当者の業務を提案とクロージングのみに絞り、見込み顧客獲得までの業務をマーケティング担当者に割り振ることで、業務負担を軽減させることができ属人性を軽減させることができる。
つまり、近年のマーケティング戦略は従来の営業戦略よりも業務効率を向上させることができ、見込み顧客との成約率の向上や営業業務の負担軽減が可能である。その結果、前述の調査の通りデジタルマーケティングに積極的な企業の方がより高い収益性を発揮できていると推測される。
デジタルマーケティングの役割は、マーケティング部門が担当する業務(上記図のうち黄色の矢羽根)にあたる。なぜなら、デジタルマーケティングの目的は、見込み度の高い顧客を選定し、彼らを営業部門の担当者に紹介することで、成約率と営業部門の業務の効率性を高めるためだからだ。
ここでは、マーケティング部門が行う業務が具体的にどのようなものなのか、またどのようなツールを用いるのかを、業務の段階ごとに紹介する。
自社のサービスがどのようなターゲットのニーズに応えられるかの分析を行う。そのためにはターゲット企業リストや導入企業リスト等を外部企業データと連携させ、見込み顧客がどれほどいるのかを把握する必要がある。自社でリスト等を保有していない場合は、パブリックDMPをもとに自社サイト来訪者のデータを取得し、それを外部データと連携することで業種や事業者等の企業情報を特定することもできる。
また他にも自社サービスの対象としている市場のプレイヤーを、売上や資本金等をもとにセグメント化し、占有率や顧客単価の高さ等が高いセグメントを抽出することで確度の高い顧客を選定することもある。
企業分析で把握したターゲットに対し、どの媒体で、どの様な情報を発信すれば問合せにつながるかを考え、コンテンツを作成する。情報発信は、まず自社サービスの専用サイトを立ち上げることから始まり、さらにブログ記事やダウンロード資料を展開することで、ターゲット層にサービスについての理解を深めてもらう。
コンテンツ作成した後、見込み顧客からの問い合わせにつなげるためには、作成したコンテンツをターゲット層に閲覧してもらわなくてはならない。その問合せを増やす施策として主に用いられるのが、オンライン広告とSEOである。
オンライン広告は、Google広告やニュースサイト、各種SNS等多種多様な媒体で発信することができる。そのため、ターゲットに合わせて最適な媒体を選ぶことで、効率的に問合せを受けることができる。また、SEOを用いれば、ニーズや課題の解決を図るために検索エンジンでリサーチをしている見込み顧客に対して、自社のサービスサイトやブログ記事、ダウンロード資料を優先的に閲覧してもらえるようになるため、結果的に問合せ数の向上につながる
関心度の高い顧客(ホットリード)を営業部門の提案へ引き渡しを行う。そのために企業は、問い合わせをした見込み顧客に対して電話での状況ヒアリングによるインサイドセールや、MAツールを用いた定期的なメールマガジン配信やセミナーの紹介を行うことによって、自社サービスに対する関心や購買意欲を高めてもらう。
以上の4段階のうち、最初の3段階で行っていた見込み顧客を獲得することをリードジェネレーションと呼ぶ。一方4段階目で行っていた、見込み顧客に対し情報発信することで、サービスへの意欲関心を成長させることをリードナーチャリングと呼ぶ。
【参考】
アーツアンドクラフツConsulting & Solution事業部/アナリスト。