KNOWLEDGE & INSIGHTS

2020.10.06

ゼロから始まる:RPAについての基本とケーススタディ

今回は、RPAという言葉にあまり馴染みのない方に向けて、RPAについての簡単な説明と、国内外のRPAに関するケーススタディをいくつかご紹介します。

 

RPAとは?

RPA(Robotic Process Automation)は、

ソフトウェアロボット(専用のコンピュータプログラム)を使用して、繰り返し可能なビジネスプロセスを標準化および自動化する汎用ツールです。

RPAは、人が手で行っていた反復的で時間のかかる作業を、指示どおりに処理してくれる仮想アシスタントのようなものです。

 

仮装知的労働者(Digital Labor)とも呼ばれます。

 

しかし、RPAで全ての業務が自動化できる訳ではなく、人の判断が必要となる複雑な判断フローや、フォーマットがバラバラな「非構造化データ」の読取といった、非定型業務は苦手としています。

RPAは繰り返し作業、データの抽出や転記、Webシステムの操作といった定型業務、

大量のデータ収集・分析が得意です。専用業務アプリケーションを購入したり開発するには費用対効果が合わないが為に、我慢して行っていたような業務が向いています。

 

RPAは次のような利点を組織にもたらすと言われています。

 

 

  • 精度

人的エラーとそれに関連するコストを最小限に抑える

 

  • コンプライアンス

監査証跡を作成し、規制ルールに正確に従う

 

  • 速度

タスクを45倍速く完了し、効率を向上させる

 

  • 信頼性

ロボットは常に利用可能であり、24時間稼働し、遅延を最小限に抑える

 

  • 従業員のモチベーションの向上

従業員は反復的なタスクから解放され、処理ではなく生産性に集中できる

 

RPAAIの違い

 

RPAは、人間の行動を模倣するソフトウェアロボットであり、

AI(人工知能)は、機械による人間の知能のシミュレーションに関係しています。

IEEE規格協会(IEEE SA)では、両者についてこう定義されています。

“RPAは、ビジネスルールと事前定義されたアクティビティの振り付けを使用して、

プロセス、アクティビティ、トランザクション、およびタスクの組み合わせの自律的な実行を完了し、関連のない1つ以上のソフトウェアシステムで配信する「事前設定されたソフトウェアインスタンス」の使用を指します。人的な例外管理による結果、またはサービスである」

「そしてAIは、認知的自動化、機械学習(ML)、推論、仮説の生成と分析、自然言語処理、および人間の能力以上の洞察と分析を生み出す意図的なアルゴリズムの突然変異の組み合わせである」

(インテリジェントプロセスオートメーションの用語と概念のためのIEEEガイドより)“

RPAは「実行」に関連し、AIと機械学習(ML)はそれぞれ「思考」と「学習」に関連してると言えます。

AIに関する詳しい説明は、今回割愛しますが、RPAが自然言語処理やコンピュータービジョンなどのAI分野とペアになると、効果的な自動化の可能性が大幅に高まるとされています。

 

RPAツールについて

 

RPAシステムを構築するために必要なものがRPAツールです。

国内外のRPAツールを表にまとめてみましたが、ここに書ききれない数のRPAツールが存在し、新しいツールも次々と誕生しています。

参考として、世界的シェアの高いものには、BluePrismUiPathAutomation Anywhereが挙げられます。

日本国内ですと、UiPath、WinActorなどが多く採用されています。 

Vendor

無料版

ドラッグ& ドロップ

マクロ記録

コードRPAなし

主な使用地域

UiPath

UiPath Community Edition

利用可能

利用可能

Global

Automation Anywhere

利用可能

利用可能

Global

Argos Labs

14日間の

無料トライアル

利用可能

利用可能

利用可能

Global

Blueprism

利用可能

なし

Global

Softomotive WinAutomation

30日間の

無料トライアル

利用可能

利用可能

Global

Nissho Electronics Bizrobo! Basic

Japan


 
RPAに関するケーススタディ

PPAが実際にどのように使用されているのか、いくつかの事例をまとめてみました。

 

会社

RPAツール

事例

結果

医療メーカー

USA

Automation Anywhere

Excelから電子カルテ(EMR)への

データの移行

130,000ドルの利益、

628%の費用対効果

電気機器メーカー

USA,

India

Automation Anywhere

請求プロセス、更新見積生成を含む

様々なプロセス

年間200万ドルの節約

電力会社

Australia

Automation Anywhere

トランザクション課金プロセス

年間230万ドル相当のコスト削減

自動車メーカー

India

Option3 JiffyRPA

請求書処理の自動化

作業時間を85%削減、

作業時間を10倍改善、

エラーを削減

協同組合銀行グループ

UK

Blue Prism

不十分な資金の処理方法の

決定プロセス

労力を80%削減

大学病院

UK

Blue Prism

患者のセルフチェックイン

労力が50%削減

電話会社

Japan

Blue Prism

自動化されたメンテナンスプロセス

詳細なログファイルにより、

78%の労力削減IT監査品質が向上

電気機器メーカー

Brazil

UiPath

自動化された請求書税の会計と

報告のサブプロセス

作業時間を85%削減し、

10万ドルのコスト削減を実現

地方自治体

Japan

UiPath

入力業務の自動化および

その他のプロセス

労力を50%削減、エラーを削減

データの移行、請求書処理、基幹システムへの入力作業といった定型業務を、RPAで自動化し、その結果、大幅な労力削減や品質向上に繋がっていることが確認できます。ここに挙げただけでも、健康管理、テック、エネルギー、製造、金融、テレコム、公務、保険、ロジスティクスといった様々な業界でRPAが使用されています。

こちらのサイトで、これまでに紹介してきたRPA導入事例も併せて御覧ください。

https://rpa-biz.com/?cat=44

https://rpa-biz.com/?cat=45

 

今回はRPAについて、事例を交えて簡単に紹介させていただきました。

少しでも参考になれた箇所があったなら幸いです。

 

<参考>

https://blog.aimultiple.com/

https://medium.com/

https://winactor.com/case/

https://rpa-technologies.com/case/

王 立云

アーツアンドクラフツ Consulting & Solution事業部/マネージャー
2016年上智大学大学院経営学部卒業、大手量販店入社。2018年当社入社、Consulting & Solution事業部にて戦略コンサルティング案件、BRP、RPAを始めた業務改善に伴うITコンサルティングなど、豊富な実績を有する。社内効率化のために、最適なソリューションをご提案いたします。