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2020.06.05

予約管理システムはコロナ対策だけでなく日常生活をリッチにする

予約管理システムは3密防止に有効で今後注目されるシステムの1つ

100年に1度と言われる新型コロナウイルスの衝撃により、全ての企業が対コロナを最優先に考えながら今後の事業戦略を練ることとなるでしょう。その中でも、3密防止は現在も騒がれており、実店舗を持つ企業としては今後この点に注力しなければならないでしょう。そこで、今回は実店舗への来店客数管理や入場制限により3密防止を可能とする「予約管理システム」についてご紹介します。

 

顧客の予約情報を一元管理することで店舗業務の効率化を図る

予約管理システムとは、顧客がインターネット上でサービスの予約を行い、店舗側が予約状況を確認・一括管理できるシステムのことを言います。その中でも、予約者が好きな時間から申し込むタイプ(自由受付タイプ)と、店舗が事前に設定した予約枠から申し込むタイプ(事前設定タイプ)の2つに大きく分けられます。

予約管理システムは店舗業務効率化や予約者利便性向上にも寄与する

ここでは予約管理システムを導入することでの主なメリットについて紹介します。

  • 予約管理にかかる人員や手間を削減することが可能
     これまで電話などで受けていた予約を予約台帳に記入、管理していた店舗にとっては余計な工程を省略することができます。
  • 顧客の利便性が向上
     顧客はお店の営業時間に縛られず、スマートフォンやインターネットの環境さえあれば、どこからでも都合の良い時間に予約ができるようになります
  • 実店舗での3密防止に役立つ
     一度に来店できる人数を制限することで密集を防ぐこととなります。その結果、よりパーソナルに濃い接客ができるということにも繋がります。

一方で、予約管理システムを導入・運用するにあたり考慮しなくてはいけないことがあります。それは導入コストや運用する上での人材、システム理解はもちろんですが、売り上げに影響するということです。事業スタイルが予約管理に向いている業種(例えば整骨院や美容室など)は1人ひとりに対してのサービス提供となるため管理しやすいです。しかし、今まで予約管理・入店管理をする必要がなかった業種(例えば、スーパーやドラッグストアなど)が予約管理システムを導入すると、1日の合計来店人数は減少します。すなわちこれまでより購買機会が少なくなり売り上げ減少に繋がることが危惧されます。

 

自社の現状、社会の今後を見据えたシステム選定が必要

現在様々な予約管理システムのサービスが提供されており選択肢が多くなっています。このようなシステムを導入する際には自社に必要な機能や導入コストを検討する必要があり、自社に最適なシステムを導入すべきです。今回は大きく3つ「多言語」「小規模店舗」「予約アプリ」に特化したツールをご紹介したいと思います。

SuperSaaS

SuperSaaSは多業種、多言語対応可能なオンライン予約管理システムです。予約画面では33言語に変換可能であり業界内でもトップクラスを誇ります。料金については無料プランと有料プランがありますが、無料プランは非商用利用の方のみに対するプランであり、ビジネス用途の方は利用できません。導入に際しては、自社で設定管理するセルフラーニング式により導入費用や維持費用を大幅削減することもできます。

https://www.supersaas.jp/

Goope(グーペ)

Goope(グーペ)は予約管理機能が付いているホームページを一から制作・運営まで可能とするツールです。カフェ、サロン、保育園、マッサージ、レストランなど様々な業種に対応可能で、少人数で運営している実店舗に特化しています。Goope公式ホームページによると、ユーザーの9割が従業員5人以下の小規模事業者で、その中で実店舗をお持ちの方は約7割だそうです。料金については有料プランのみの提供で、最低月額利用料1,000円からとなっています。

https://goope.jp/

GMOおみせアプリ

GMOおみせアプリは予約管理機能が付いているスマホアプリ作成ツールです。美容系サロン、飲食店、雑貨・衣料品ショップ、スポーツスクールなど幅広い業種に対応でき、集客と販促に強いのが特長です。情報発信はもちろんユーザーデータ集計などの機能によりパーソナライズされた情報を提供することができます。また、afterコロナ/withコロナ時代に必要となるEC機能や決済機能なども多数オプションとして備えています。料金については有料プランのみの提供で、最低月額利用料20,000円からとなっています。

https://gmo-app.jp/

 

顧客行動の把握、かつ、信頼と安心を与えるツールとなりうる

ここでは予約管理システムを導入することで顧客や店舗に対してどのような影響があるのかについて考えてみたいと思います。メリットでも紹介しましたが、顧客には利便性を、店舗には業務の効率化という良い影響を与えています。また、今日の新型コロナウイルスによりソーシャルディスタンスの重要性が問われています。その観点から考えると予約管理システムは顧客に信頼と安心を与えるツールとなるのではないでしょうか。どうしても店舗内は動ける範囲が限られてしまいます。この時間帯は少人数であるという認識があれば気持ち的にも実店舗へ行きやすくなりますし、より買い物の時間をリッチに感じることができるのではないでしょうか。店舗側も予約管理の手間が省けるのはもちろんそれらのデータを分析・活用することで顧客の購買傾向や来店頻度などを可視化することができ、さらなる販促活動につなげることができると考えられます。

 

事例紹介

店舗側が予約管理システムを導入・活用している事例

YOGA studio niima (ヨガスタジオニーマ)では、新型コロナウイルスの影響で休業を余儀なくされましたが、顧客にサービスを提供し続けるためYouTubeで無料ヨガレッスン動画を配信しました。しかし、その後すぐ外出自粛が要請され、スタジオでヨガレッスン動画の撮影さえできなくなりました。そこで取り組んだのがオンラインレッスンです。ツールとして導入したのは、オンラインレッスンサービスも提供している予約管理システムCoubic(クービック)です。CoubicはWeb会議ツールのZoomと連携していて、顧客がCoubicで予約完了すると、Zoom のミーティング ID/URLが挿入されているメールが配信されます。予約した時間にメール中のURLをクリックするとZoomに接続され、レッスンに参加するという流れです。ただし、オンラインレッスンを参加する前に顧客はZoomのダウンロードが必要となります。

コロナをきっかけに各レッスンもオンライン化が進んでいます。今後予約管理システムで顧客の予約状況を管理し、オンラインでレッスンするという事業モデルが増えていくと推察できます。そのため、予約管理システムの需要、導入企業の数は増加するのではないでしょうか。

サービス提供側が新たな予約管理サービスをリリースした事例

株式会社PKBソリューション「事前入店応募型入場制限システム Relot(リロット)」をリリースしました。新型コロナウイルス感染拡大を防止する為に、3密防止が強く報じられている中、スーパーやドラックストアなど向けにリリースした形となります。このシステムを活用することで顧客がスマホで入店時間を予約して店舗に入店することができ、店舗内の混雑防止やレジなど行列緩和することが可能となります。利用シーンとしては他にも美術館や博物館、イベント会場などにも活用できます。そもそも、スーパーやドラックストアのような業種の店舗には、予約管理システムを導入しているところはないと思います。しかし、今回のコロナの影響で、そのような不特定多数の顧客向けで営業している店舗にも、3密防止のための入場制限をしなくてはいけない可能性が出現しました。afterコロナ/withコロナ時代において、このような予約システムを必要とする業種が増えていくと推察でき、それに応じて新たなサービスも増えていくと予測されます。

 

予約という行為がより日常的になる日が近い

これまで述べてきたように市場には様々な予約管理システムがあり、予約管理システムの導入についは自社に必要な機能やコスト、導入後の売上予測の検討が最重要です。それらをしっかり検討した上で最適なツールを選定することでより導入期待効果が得られやすくなるのではないかと考えられます。また、コロナ対策を意識したサービスの提供が出現し始めていることから、今後、afterコロナ/withコロナ時代において、そもそも予約管理が必要なかった業種にも予約管理システムの活用が拡大していくのではないでしょうか。それにより、何事も行動する前にまずは予約をするといった日常が近いうちに訪れ、今まで日常的に行ってきた買い物ですらもよりリッチな時間として過ごせる日がくるのではないでしょうか。

 

【参考】

李慧

アーツアンドクラフツConsulting & Solution事業部/アナリスト。