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2020.07.31

スマートチェックインから始まる宿泊施設の新たな形

 

スマーチェックインは宿泊業を救う技術の一つ

新型コロナウイルスの流行に伴い訪日外国人数は激減し、外出自粛傾向にある中で国内の宿泊客も望めない今、宿泊業界は大きな窮地に立たされています。

そのような中、国内ではGo To キャンペーン(東京都を除く)が始まっており、人々の旅行を推進するこのキャンペーンは、宿泊業界にとって再び活気を取り戻す一つの足掛かりになるでしょう。現在もそうですが、afterコロナ時代も特にコロナ対策が必須となります。その時代の中で宿泊施設が生き残るために注目されている技術の一つがスマートチェックインです。本記事では宿泊業界におけるスマートチェックインの活用を中心に取り上げていきます。

 

フロント業務の無人化を実現するスマートチェックイン

「スマート化」というフレーズ自体は近年よく耳にする言葉ですが、そもそもこれ自体の意味を簡単に言うと”物に情報処理能力を付加する”ということです。スマートフォンやスマートウォッチを想像していただくとわかりやすいかもしれません。これらは電話や時計にそれ本来の機能以外の処理能力を付けることで、スマートを冠するようになっています。つまり、無人チェックイン、自動チェックインとも呼ばれるスマートチェックインというこの技術は、これまで対人で行っていたフロントでのチェックイン業務を人ではなく機械によって行うというものです。無人で行えるため、フロントでの3密防止などの観点から現在宿泊業界を中心に注目され始めています。チェックインに使用されるのはホテルに備え付けられたタブレットなどの端末で、宿泊客はそれを操作してホテルへのチェックインを行います

もともとこの技術を導入したことで有名だったのは大手リゾートである星野リゾートやほとんどすべての業務をロボットが担っていることで話題となった変なホテルのように大手が目立っていました。しかし、現在では旅館や民泊などにも広がりを見せています。今年4月にオープンしたばかりの徒然庵はコロナ禍にオープンということもあり最初からスマートチェックインを導入しており、また、京セラのホテル事業であるホテル京セラではコロナを機に新たにこれを導入しています。

https://tsurezure-an.jp/

 

コロナ対策だけでなく従来業務の改善にも有用

スマートチェックインが注目される背景には、コロナ禍における従来のチェックイン業務の課題を解決できるという側面と、従来業務の改善が図れるという側面があります。

<コロナ禍における課題解決>
これまでのチェックイン業務はフロントに人が立って行われていました。宿泊客の本人確認や必要事項の記入など対面で行う業務が発生します。そのためコロナ対策という観点から考えると、どうしてもここが注意すべき点であり、一つの課題であることがわかります。フロントに飛沫防止シートを設置しての対人の接客でも多少感染リスクを抑えることもできますが、そのフロント業務を無人化つまり端末を用いたチェックインにすることで人と人の接触をなくし飛沫による感染リスクもなくすことが可能となります。

<従来業務の改善>
コロナ対策だけではなく、従来行っていたフロント業務自体を改善することもできます。
例えば、入館時には必ず本人確認として個人情報を用紙に記入したり、パスポートのコピーをとったりとなにかと紙での管理が多いです。紙での管理は実物が目の前に見えるので安心感がありますが、紛失のリスクや探す手間、保管する手間がかかります。その点、情報をデータで取得管理することで様々な工程を省略することができ、クラウド管理のためデータの保管スペースもとりません。また、来年は東京五輪を控えており今後訪日外国人数が増加すると予測されます。そこで必要になってくるのは外国語に対応できる人材です。人材雇用や人材育成をすれば解決できそうな課題ですが、運良くそのような人材を確保できるか不明であり人材育成にもある程度の期間を要します。その点、端末であればタッチ操作だけで他の言語への切り替えが可能で、入館案内や施設説明などにも対応ができます。
ただし、都道府県によってはチェックインの際にはフロントにスタッフを常駐させないと宿泊業の運営条件を満たしたことにならないと定めている場合があります。そのため、システムを導入する場合は自身の都道府県の条例を確認することが必要です。

 

情緒的価値や機能的価値が損なわれることも考慮すべき

コロナ対策や従来業務の改善などができるスマートチェックインですが、導入することによるデメリットも存在します。情緒的価値と機能的価値の大きく2つの側面があると考えられます。

<情緒的価値>
宿泊業においてフロントというのはまず宿泊客が訪れる場所でもあり、その施設の顔と言えます。そのため、施設の中でも力を入れている一つのポイントと言えるでしょう。宿泊客はフロントでその施設の雰囲気を感じ、フロントスタッフと接することで温かみを感じ非日常空間に没入していきます。そのような施設の色が出るフロント業務を無人化させることはどこか寂しい印象を宿泊客に与えてしまうかもしれません。さらに、スマートチェックインの利用が各施設で進むとチェックインが便利になる分、それぞれの施設としての特色が伝わりづらくなり、どこのホテルも同じように感じさせてしまいます。これでは日本固有のおもてなしの心が伝わりづらくなってしまいます。

<機能的価値>
システムを導入することで利便性を生みますが、その一方で設定されたことしかできないという制約も付きます。もちろんシステムにもよりますが、多機能搭載のものであっても使用する宿泊者側がうまく利用できなければシステムは何も意味をなしません。例えば、泊まりに来た高齢の方がシステムをすんなり操作できるかと言ったら難しいと思います。そのため、フロント業務の無人化ではなく、サポートスタッフを配置することも一つ手だと思います。また、システム導入するにあたり当然導入費やランニングコストもかかります。初期費用は無料のところから数十万円と幅広く、施設として求める機能を明確にした上で選択することが重要です。

 

サービス提供会社紹介

ホテル向け業務管理とモバイルチェックインシステムを提供しているHOTEL SMARTでは以下のような利用イメージを提案しています。

https://renoful.jp/hotelsmart/

予約から本人確認、鍵の受け渡しといったチェックインまでの流れにおいてスマート化を実現しています。また、チェックアウトも同様にタブレット操作だけで完了できます。また、当社はSNSや決済機能との連携、売上管理などその他の豊富な機能を有していることも強みとしています。

 

スマートチェックインは宿泊施設を新たな形へ進化させる

コロナ禍の中で飛沫防止シートやマスク着用、消毒の徹底などの今を乗り切る対応も当然必要です。しかし、従来の業務改善や今後増加する外国人宿泊客の対応などを考えるとスマートチェックインは未来の新しい宿泊施設の形をみせてくれるのではないでしょうか。もちろん導入に際しておもてなしが薄れるなどのデメリットもありますが、ただ薄まるのではなくその分他のところで魅力を発揮できるような仕組みを作ることが重要なのだと思います。なにか新しい試みをしたらその分他でカバーできることはないか、相乗効果はないのかなどを繰り返し考えることでその施設特有の良さが生まれ、自然と他社との差別化が図れ、宿泊客から好まれる施設となるのではないでしょうか。現在スマートチェックインはコロナ対策として注目されていますが、進化の一つの可能性を持つ技術として今後普及していくと予想されます。

 

【参考】

 

熊谷菜海

アーツアンドクラフツConsulting & Solution事業部/プログラマー。得意分野はRPA

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