目次
ITリテラシーとは、インターネットやセキュリティなど、IT(情報通信技術)を適切に扱うために必要とされる、情報の扱いを理解する能力、操作する能力という意味です。
現在、生産活動においてITを活用していない企業はないと言っても過言ではありません。
ITを活用した、企業/業務の生産性向上やビジネスチャンスの創出、拡大を実現するため、企業が従業員あるいは人材に求める能力として、ITリテラシーやITスキルが挙げられるようになりました。
ITリテラシーの不足によって、IT化やDX推進に消極的になる場合があり、どのように従業員に教育し、理解を浸透させたらよいか悩んでいる企業も多いと推察します。
ITリテラシーは、大きく分けて下記の3つに分類することができます。
1.情報基礎リテラシー
2.コンピューターリテラシー
3.ネットワークリテラシー
それぞれのリテラシーを理解し、適切な行動あるいは教育を行うことで、ITリテラシーの向上に繋がります。
情報基礎リテラシーとは、正しい情報を扱うために取捨選択する能力を意味します。
近年、インターネットの普及によって様々な情報を得られるようになった一方で、偽造や虚偽の情報が錯綜し、正しい情報を得ることが難しくなっています。
膨大な情報の中にある必要な情報が、本当に正しい情報かを判断する力が重要です。
公的機関の情報等の信頼できる媒体を把握し、正しい情報の判断基準を社員に教育することは大切です。
コンピューターリテラシーとは、コンピューターを操作する技術あるいは知識を意味します。
業務においてパソコンを使用する機会は多くなっており、企業の採用活動ではキーボードやマウスの基本的な操作をはじめ、Office(Word、Excel、PowerPoint等)の基礎スキルを求めることもあります。
業種、職種によっては、プログラミング等の専門的な知識が必要となる場合もあります。
自身が身を置く環境で必要となるコンピューターリテラシーを知り、知識や理解を深めることが重要です。
ネットワークリテラシーとは、インターネットやSNSのモラルやルールに関する能力を意味します。
誤った情報を発信する、モラルに欠ける発言をするなど、情報を受け取る側の信用を失くす言動を発端とし、ネットの炎上が度々起こっています。
個人はもちろん、企業でSNS等を運用して情報発信をしている場合は、より一層インターネットリテラシーを意識しなければなりません。
また、個人情報や企業の機密情報の保護、セキュリティ対策の徹底など、個人レベルでも企業レベルでも当たり前にできていることが求められる取り組みに対して、手厚い教育を実施する必要があります。
ITリテラシーの低さが引き起こすリスクの一つ目は、情報漏洩です。
安全性の低いサイトへのアクセスや、送り主が不明なメールの開封など、リスクを回避するための明確な判断基準がないことが多く存在します。
意識的に防衛策を講じていないと、誰でも簡単に引っかかる可能性が高く、徹底した教育を行う必要があります。
企業においては、個人レベルでのITリテラシーの遵守を意識付け、従業員がプライベート使用しているSNS等からの情報漏洩が発生しないよう、教育方法の熟考が求められます。
ITリテラシーの低さが引き起こすリスクの二つ目は、IT化の遅滞です。
業務効率化や企業価値の向上のため、IT化ないしはDXを推進する企業が増えていますが、社内のITリテラシーの低さが弊害となっているケースがあります。
IT技術の活用を前提としてIT化を進めることができるため、IT化が従業員にもたらすメリットや今後の展望を共有し、組織全体でITリテラシーを高める意識づくりが重要となります。
ITリテラシーの低さが引き起こすリスクの三つ目は、業務効率の低下です。
前述したとおり、業務においてパソコンを使用する機会は多くなっており、新たなIT技術やデジタル機器も数多く登場しています。
従業員が最低限のITリテラシーを持っていないと、業務効率化が滞ってしまうとともに、ITの知識がない従業員をサポートするために割く時間が発生するため、組織全体の生産性の低下にも繋がります。
IT技術やデジタル機器に苦手意識を持つ人にもIT化の重要性を伝え、業務効率化の弊害となる考え方や行動を徐々に軌道修正する工程を大切にすることが重要です。
SNS等の炎上は、取引先や顧客からの信用を失うこととなり、大きなイメージダウンとなります。また、インターネットに一度載せた写真や文章は半永久的に残るものであるため、たった一度の炎上でも影響力は大きいものです。近年では、完全に消すことが難しい身体に入れる入れ墨に例えた表現として「デジタルタトゥー」とも呼ばれます。
ITツールの正しい使い方や、ITに関するリスクを理解できていないと、不適切な情報の発信や、個人情報の漏洩等の重大な過失をもたらすことに繋がりかねません。
従業員数の多い大企業ほど、ITリテラシーに関する教育を徹底することは困難になりますが、皆が陥り得るリスクを共有し、企業価値の維持または向上を目指すことが重要です。
ITリテラシーを高めるためには、どのような取り組みを行えばいいのでしょうか?
ここからは、ITリテラシーを向上させる方法をご紹介します。
ITリテラシーは、組織全体への浸透をもって効力を発揮するため、一部の従業員ではなく、全体に対して研修、教育を実施することが重要となります。
ITリテラシーの低い人がいることで前述したようなリスクが高まり、長い年月をかけて積み重ねた信用や信頼が一瞬で失われてしまうこともあるため、個々のレベルに沿う研修を設計して浸透を図ることが望ましいです。
ITリテラシーがなぜ必要なのか、なぜ能力が求められるのかを伝えることが大切です。ITリテラシーの欠如による過失やトラブルについて共有する際に、企業レベルの事例だけでなく、個人レベルで身近に発生している事例を取り上げることで、当事者意識を持ってもらうことができます。
また、浸透には継続的な情報発信や共有が不可欠です。定期的にITリテラシーに関する情報や事例を組織内で共有し、全員が常にインプットすることで、リスク回避に繋がります。
また、システム導入やデジタル機器の導入の際には、細やかな説明や研修を実施し、従業員のITリテラシーを考慮した対応を行うと良いです。オンラインセミナー等の、柔軟な研修方法の検討も必要となります。
従業員の資格取得を支援し、ITリテラシーの向上を図ることも重要です。資格取得にかかる費用等を企業が負担することで、スキルアップを目指す従業員が増え、組織全体の能力向上に寄与できます。
ITリテラシーに関する資格には、以下のようなものがあります。
1.ITパスポート試験
2.インターネット検定
3.P検定
4.IC3
多くの従業員が意欲を持ってITリテラシーの向上に努めるよう、試験や検定の目的やゴールを周知することが重要です。
最適なITリテラシー教育を実施することで、企業価値の創出や信用に繋がることが分かりました。ITリテラシー向上に向けた取り組みを検討している企業の参考になれば幸いです。
アーツアンドクラフツConsulting & Solution事業部/アナリスト