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今日、デジタルマーケティングによって自社でメディアを持ち、世の中とコミュニケーションできるようになりました。メディア化とはつまり「メディアになる」という事です。自社自身がメディアを持ち、メディアになる事を「事業のメディア化」と言います。グラフにある通り、デジタルマーケティングの市場はコロナ前の情報でさえ、2018年から2024年にかけて約2.5倍となる予測でした。コロナの影響で人が外に出にくくなり、PCやスマートフォンでの購買をする機会が増え、デジタルマーケティングの重要性はより高まると考えられるため、このグラフよりさらに伸びることが予測されます。(デジタルマーケティングの1例としてDMP/MAの市場推移を記載)
コロナの影響で、東京都心のオフィスビルの空室率が5月は3カ月連続で小幅上昇しており、募集賃料が下落に転じました。解約も増え始め、人が外に出る機会が少なくなるのは現実の物となっています。
以上の事から、事業のメディア化が必要になってくることがわかります。
デジタルマーケティングとはデジタルを活用したマーケティング手法の1つです。ここでいうデジタルとはwebやSNSなどの事を指します。反対に、従来まで行われていたDMやセミナー、新聞の折り込みチラシなどはアナログマーケティングと呼びます。それをまとめたものが以下のとおりです。
これらの手法を上手に活用していくためにデジタルマーケターがいます。デジタルマーケターは様々なチャネルを組み合わせ、KPI(重要業績評価指標)の達成を図ります。デジタルマーケターはそれぞれ専門分野があり、いくつかのスペシャリスト別に分かれています。それをまとめたものが以下の通りです。
BtoBにおけるマーケティングの目的はリードジェネレーション(見込み顧客の獲得)を中心として行われることが多いです。つまり、営業部への問い合わせの増加です。なので、デジタルチャネルの中から潜在顧客を見つけ出し、見込み顧客にするためのアプローチが必要となります。
BtoCでは主に顧客にウェブサイトを訪れていただき、購入までこぎつけるのが目標です。したがって、BtoBで出てきたリードジェネレーションより顧客がウェブサイトに訪れてから購入するまでのプロセスが出来るだけ早くなるようなカスタマージャーニー(顧客が商品やサービスを認知し、購買するまでの行動・思考・感情)を考える事が大切になります。
また、昨今ではAI(人口知能)を活用したデジタルマーケティングが注目を集めています。AIが広告をどのタイミングでどのように行うか判断出来るようになるのです。そこで将来重要となってくるのがマーケターです。そのAI技術が一般化されたとき、マーケターがいかに広告の目的を明確にさせ、その目的に沿ったマーケティングを行えるかが鍵となってきそうです。
今まで事業のメディア化はデジタルマーケティングを実施することだと記述してきましたが、本当の意味で事業のメディア化を成功させるためには従来のアナログマーケティングを組み込んでいくことが求められます。その理由を分かりやすく、かつ端的に説明すると、「顧客はデジタルだけ、アナログだけで生きているわけではなく、それらを跨いで、行き来しながら生活しているから」です。
特にBtoBの市場において、その傾向が顕著に表れます。複雑な商品を扱うことの多いBtoBにおいて、デジタルマーケティングを行えば認知は伸びるでしょう。しかしながら、深く理解できていない商品・サービスをその後すぐ購入という流れにはなりません。したがって、より濃くコミュニケーションをとることが出来るアナログの手法がここで必要となってくるのです。
BtoCにおけるアナログの手法として、店舗のメディア化が注目されています。実際にリアル店舗を「認知」の場とし、実体験による感動を活かして消費者を集め、「購入」はECに流すといった手法を用いている店舗が存在しています。
※店舗のメディア化に関しては「未来を見据える店舗経営者が意識する「店舗のメディア化」」を参照ください
これらの事から、デジタルとアナログの融合が重要になっていくのは必然といえるでしょう。さらには、マーケティング界の第一人者と呼ばれているフィリップ・コトラーが2020年4月に出版した「コトラーのマーケティング4.0 デジタルトランスフォーメーション時代の10の法則」では、「ここ20年間のすさまじい変化によって、伝統的マーケティングとデジタル・マーケティングの相互補完が可能となる新しいモデルが必要になっている」と実際に明記されています。
デジタル・アナログでそれぞれ強み・弱みが存在しその強み弱みを理解したうえで活用することが求められます。
また、デジタル、アナログを有効活用するために、マーケティングを行う上での目的を明確にさせ、その目的に沿った使い分けが必要となってきます。
2017年、トッパン・フォームズ株式会社が、株式会社AOKIが展開するORIHICAの協力のもと、デジタルとアナログマーケティングの融合による販促効果を実地検証した事例があります。具体的な方法としてはEメールとDM(ダイレクトメール)を活用し分析を行っています。調査では、EC会員を3つのセグメント(デジタルのみ・アナログのみ・デジタル)に分けて販売キャンペーンを行い、各セグメントの販売件数・売上額を測定、それぞれの販促効果を分析しています。この調査では大きく3つの結果を得られたようです。
「事業のメディア化」は自社・事業自体が「メディアになる」という事です。自社がメディアとなる為にはデジタルマーケティングの活用が必須なため、デジタル広告の深い理解が求められます。それだけではなく、昨今ではデジタルマーケティングとアナログマーケティングの融合が求められており、それぞれの特性を活かした手法が必要です。実際にデジタルとアナログの融合により効果が上がった事例もあります。コロナの影響でデジタルの需要が高まる中、未だデジタルに取り組んでいない方はアナログマーケティングの強みを残しつつ、デジタルマーケティングを取り入れる、つまり「事業のメディア化」に取り組む必要がありそうです。
【参考】
アーツアンドクラフツConsulting & Solution事業部/アナリスト。