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【事例解説】BtoBデジタルマーケティングの活用事例について

近年、インターネットの普及やテクノロジーの発展とともに、電子契約といったビジネスのデジタル化・オンライン化の発展が加速している。それに伴い、企業のBtoBマーケティング活動においても、デジタル化の必要性が問われている。特に、コロナ禍によって、ビジネスがオンラインで行われる可能性が大きくなり、企業は早急にBtoBマーケティングのデジタル化を発展させざるを得ない。

BtoBデジタルマーケティングの活用術を研究するには、成功企業の事例を確認することが一番効率的である。

本文章は企業のBtoBデジタルマーケティングにおける試みの中で、成功した2事例を選出し、BtoBデジタルマーケティングを成功するためにキーワードはどれになるかを検討していきたいと思う。

BtoBマーケティングとBtoBデジタルマーケティングの位置づけ

BtoBマーケティングとは何か?流れとしてはどういった活動・プロセスが必要であるかを図解化してみた。

上記の図解のように、BtoBマーケティングを8つに分解している。実際にBtoBマーケティングではどのようなことをするのか、1つ1つその活動の概要をご紹介しておきたい。

この中で、Webやメール、アプリ、動画などを活用したBtoBデジタルマーケティングが「見込み顧客(リード)を獲得する(リードジェネレーション)」や「見込み顧客(リード)を育成する(リードナーチャリング)」で活用されるケースが非常に多い。

データ管理一元化×コンテンツ拡充(富士通マーケティング)

富士通マーケティングが抱えた課題について

マーケティング支援会社のシャノンが調査した「国内BtoBマーケティングの現状と課題レポート2017」では、「コンテンツの企画制作が難しい」が担当者の抱える課題のトップになっている。富士通マーケティングの担当者によると、富士通マーケティングも同様の課題に悩んできた。

さらに、デジタルマーケティングでは「コンテンツパーソナライズド」、すなわち個別の「One to Oneマーケティング」が重要視されているので、見込み客データの管理が重要されている。また、見込み客のデータを常に最新の状態に保つため工夫が必要である。

これらの課題に対して、富士通マーケティングの施策について

・見込み客データを集約、一元管理する仕組みづくりを実現

2011年からデジタルマーケティング活動をスタートし、デジタルマーケティングの専門組織を立ち上げた。最初に行ったのが個々の営業やセミナー、展示会等でオフライン営業が集めたデータを一元管理することである。「DMP」と呼ばれたデータベースにすべての見込み客データを集約し、そこに様々な情報を入れて、更新をしていく体制を整えた。

ただし、最初から全てのデータを一つのシステムで統合できたわけではない。現在も外部の企業が提供する様々なサービスを複数導入し、それらをつなげて運用しているのが実態である。

・マーケティングの基盤づくり後はコンテンツ拡充、そして営業スタイルの革新へ

2015年からデータベースを活用した本格的なデジタルマーケティングコンテンツの拡充に最も力を入れた。年間約300本の記事をサイトにアップし、それによって訪問者が前年(201412,000人)の2.5倍の3万人に増えた。さらに自社開催のWebセミナーや公共展示会の出展にも力を入れ、見込み客とのリアルな接点の拡大にも注力した。

2016年に、オーガニック検索から当社のサイトを訪れた人向けのコンテンツを作った。コンテンツ作りにおいても、より現場とお客様とのつながりを意識し、お客様との関係性強化につながるような内容を作成した。さらに、サイト閲覧のデータから、お客様の関心度合いを変数化してスコアリングする分析も開始し、データを活用した営業へとつなげている。このように、リスティング広告からの誘導を中心に集客していたのに対し、年間300万のうち8割以上のページビューがオーガニック検索とメール経由という理想的な状態を作ることができ、低コストで見込み客を集客できるしくみが構築できた。

インタラクティブコンテンツを活用したBtoB新規リード獲得(ログリー)

ログリーはネイティブ広告サービスのLOGLY liftを提供している。LOGLY liftは市場の伸びにふさわしいマーケティング活動が今まで行われていなかった。競合他社に負けない競争力を付けるために危機感を感じマーケティング活動を始め、なおかつ新型コロナウィルスの感染拡大を受け、展示会などオフラインでのリード獲得手段が減少したことによって、オンラインにおけるリードの新規獲得への注目度が増えている。それで、クロストレックス社が開発したインタラクティブコンテンツ配信ツール「OPTIO」を導入した。

インタラクティブコンテンツとは何かというと、EBOOKやクイズや診断などユーザーのアクションに応じて情報を提供する「双方向」コミュニケーション型のWebコンテンツである。従来の企業一方的な情報提供と異なり、相手の動作に対して企業が適切な情報を提供でき、新規リード獲得の確率を挙げようとしている。

2020年4月21~23日(アメリカ時間)に行われた「MarTech」では、「Marketing Technology Landscape」が発表され、その中でインタラクティブコンテンツ(Interactive content)という領域も発表された。以下の図のように、インタラクティブコンテンツのプレイヤーが多数網羅されて、海外ですでに認知度があがってきて注目を集めている。

https://note.com/optio/n/nfc131f485dcb

しかし、日本国内ではインタラクティブコンテンツに関する情報も少なく提供サービスも少ないのが現状である。

ログリーが導入した「OPTIO」の機能について

ログリーが導入した「OPTIO」は動画とEBOOK2つタイプを表示しているが、主にEBOOKを活用してLOGLY liftのサービス資料をスライド化させてサイト上で表示させる。スライドは閲覧者のクリック等の反応並びに閲覧者の企業規模や業種に応じて表示内容を変えたりしている。さらに、相手の途中離脱を減らすために、スライドの中に問合せフォームを設置しフォーム入力までの導線を短くするなど、様々な機能でリードを獲得する。

(実際に配信しているEBOOKのコンテンツ。全画面表示のコンテンツを各ページ11回配信されるように設定している。)

https://x-opt.io/case/340

ログリーのEBOOKにおいて、ホップアップ内容を別のページに遷移せず、そのページ上でスライドが閲覧できる。また、相手がトピックスや資料の概要がすぐに見てわかるように、EBOOK2ページ程度で説明することを心がけている。

今後問合せフォームからフォーム入力までの導線を短くするために、「最新」、「メディアガイドはこちら」「媒体社向け」などを分け、誰に向けたどんな資料かを明確にしていく。

OPTIO」を導入した成果について

広告主1向け:0.66%(一般のポップアップツール)→1.18%OPTIO

媒体2向け:2.35%(一般のポップアップツール)→4.3%OPTIO

どちらも約2倍近くリード獲得数が改善してきた。

(※1、※2:ログリーはネイティブアドプラットフォームを提供しているため、広告主と媒体はクライアント企業と想定される。)

まとめ:成功している事例のデジタルマーケティングに共通の特徴

上記の2事例に限らず、成功している企業のデジタルマーケティングの事例を見ていくと、ある程度共通している要素が見えてきた。

富士通マーケティングのように、ペイドメディアからオウンドメディアに変換するためのコンテンツ制作に力を入れること

まだ多く使われていないが今後期待されているインタラクティブコンテンツを活用したログリーはコンテンツの提供方法を変え、一方的な情報提供より双方向のコミュニケーションを通じて、クライアント企業の行動を把握できるようになった。

要するに、BtoBデジタルマーケティングの施策を行うにあたって、大事なのはいかにペイドメディアの配分を減らし、オウンドメディアに移行させていくかが一つ重要なポイントであると考えられる。それを実現するためには、潜在顧客のニーズに沿ったコンテンツを制作する必要があり、さらに、コンテンツをいかに見込み客につなげるかが大事になってくるだろう。

【参考】

富士通マーケティングHP資料「受注に貢献するBtoBデジタルマーケティングとは 富士通マーケティング社内実践事例から読み解く~デジタル時代を勝ち抜く「売れるしくみ」をつくるための課題とその対策~」

日経BPコンサルティング「デジタルマーケティングとコンテンツマーケティング」

ALUHABtoBマーケティングとは?基本編『BtoCとの違い、8つの活動と20の手法、始め方・進め方』」

arccDigital Marketing Discovery ~BtoBマーケの成功事例が集結~」

クロストレックスHP資料「OPTIO導入事例_001:サイト来訪者が求める情報を瞬時に届けることで月間リード獲得数2倍を実現 [ログリー株式会社]」

ログリーHP資料「クロストレックス社 新規リード獲得を支援するBtoBマーケティング特化型SaaSOPTIO(オプティオ)』の提供を開始」

note「インタラクティブコンテンツを活用したBtoB新規リード獲得ツール『OPTIO(オプティオ)』が出来るまで」

馬麗芳

アーツアンドクラフツConsulting & Solution事業部/アナリスト。


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