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介護職から畑違いのコンサルタントへ転身

介護職からコンサルタントへの異色のチャレンジ

 本記事では、アーツアンドクラフツ株式会社(以下「弊社」)に中途入社した社員がどのようなきっかけ・思いで入社し、その後どのように働いているのか、実際の社員の経験談を通して、就活中の皆さんにお伝えしていきたいと思います。

 今回は、2023年に弊社に中途入社した松田からご紹介させていただきます。筆者は元々介護職に従事しており、そこからコンサルタントに転身するという、人生最大のチャレンジとして、アーツアンドクラフツに入社しました。入社してちょうど1年が経過しましたが、その中で、電力業界、通信業界、建設業界、旅行業界など多岐にわたる業界のさまざまな案件を計8件担当してきました。このように、業界の垣根を超えてさまざまな案件を担当できることが弊社の特徴の一つであり、詳細は後述しますが筆者にとってこの特徴が非常に大きな魅力でした。
 本記事では、異色なチャレンジを決めた当時の考え、なぜコンサルティング業界を志したのか、その中でなぜ弊社に入社したのか、入社後どのように感じたか、について述べていきます。この記事がコンサルティング業界への転職を希望する方々の参考になると幸いです。

実家の介護施設への貢献を目指して

 まず筆者が介護職から全く畑違いのコンサルタントを志した理由について、結論から言えば「新しいビジネスモデルを構築できるようなビジネススキルを会得したい」と考えたからです。このことを具体的に説明するために、少し長くなりますが筆者の経歴を記載します。

 筆者は大学では物理学を専攻していました。応用物理学を専攻していた理由に深い理由はなく、他の教科よりも理数系科目に得意意識があったためです。そのように進路選択をそこまで真剣に考えていなかったため、就職活動を期にどのような職業につくべきかについて、真剣に考える必要に迫られました。
 そこで筆者が導いた答えが「介護業界への貢献」でした。実家が介護事業を営んでおり、幼少期から介護施設が自宅同然であったため、幼少期から介護の現場の実情を目にする機会が多く、介護事業の価値・課題の両方の大きさを自分なりに体感していたことが根っこにあったのだろうと思います。なので、このような幼少期から感じていた介護事業の課題・価値に対して、学生時代に培ったテクノロジーへの知見を活用していきたいと考えていました。筆者は物理の中でもイメージング技術が専門であったため、介護現場の省人化を実現できる見守りカメラを開発したいと思い、新卒では総合電機メーカーに入社し、希望していたネットワークカメラ開発部門に配属されました。

 新卒の会社は若手にも多くの機会を与えてくれる非常に恵まれた職場で、その中でネットワークカメラの開発に従事していましたが、セキュリティカメラ、ペットカメラなどの開発が主であり、肝心の介護用見守りカメラの開発はなかなか始動しませんでした。そんな中でも、介護用途の商品開発に携われるタイミングが来ることを待ちながらネットワークカメラの開発に従事していましたが、入社して3年が経つ頃にはネットワークカメラ開発部門の収益性が悪いことから、縮小事業の対象となってしまいました。
 ネットワークカメラ部門の人員の別部門への異動も囁かれているちょうどそのとき、新型コロナウイルスの蔓延により実家の介護施設では対応に追われており、手を貸してほしいとの知らせを受けました。キャリアにおける大きな転換点だったため選択にはかなり悩みましたが、テクノロジーをあくまで一つの手段とし、より多角的なアプローチで介護業界の課題解決に取り組んでいこうという考えに切り替え、実家事業へ転職することに決めました。

 

介護業界に転職して目の当たりにした業界概況と課題

 そのような経緯で介護施設に転職しましたが、実際に職員として関わった介護現場からは、幼少期から感じていた印象を遥かに超える課題を感じました。新型コロナウイルスが蔓延している、という状況により現場は壮絶を極めていましたが、それを抜きにしても職員の人数が少なく業務の負担が多くなっており、利用者へのケアの時間が減り、ケアにかかる時間の減少により入所者の事故が発生し、その事故の発生予防の対策業務が新たに追加されるなど、負の循環が続いていました。
 このような負の循環は、介護事業が介護保険制度に準拠していることが要因として大きく、制度によって必要な人員配置や現場業務、記録などの書類作成業務などが決まっているため、人材配置や業務を大幅に変更できず、状況の改善が難しいことを筆者も肌で感じました。
 そのため介護現場では、介護保険制度の改定を求め、人材配置の適正化や介護報酬の増加などを求める声が相次いでいますが、介護保険制度自体も存続が危惧されている状況でした。実際、介護保険料は40歳以上から徴収されますが、介護保険料だけでは既存の介護保険事業の運営に必要な給付費を賄うことができておらず、保険制度と言いながら実際にはその半分を国民の税金から賄っているのが現状です。そのため、介護給付のさらなる拡大を求める現場の声への対応は難しく、対応するためには介護保険料の増額または別年代の人々からの徴収などが必要です。極めつけには、日本は高齢化率が世界で最も高い国のひとつであり、高齢者の増加にともなって高齢介護事業が増加すれば、労働人口が減少していく中で介護事業にかかる税はさらに増えてしまいます。
 以上の課題はあくまで介護業界を取り巻く課題のほんの一部であり、その他にも人手不足なども介護業界における大きな問題の一つであると言われていますが、介護業界は介護保険制度を前提とした事業構造、日本の少子高齢化など年代構造の変化などにより解決が難しいジレンマに陥っていると言えます。これらの課題を克服し、利用者・職員の双方の状況が良くするような事業を行うためには、介護保険制度の中で高度に事業をやりくりするか、介護保険制度を利用せず介護報酬なしで事業経営をするなど、極めて高いビジネス感覚が求められると感じました。

 実際に筆者も転職後、このような介護業界におけるジレンマ・大き過ぎる課題に常にぶつかっていました。しかし、日々介護業務に携わる中では、介護の仕事への思いは消えるばかりか、日々その価値の大きさ、ポテンシャルを感じていました。
 筆者は予防型の通所介護事業(デイサービス)を中心に従事していましたが、サービスの提供の結果、多くの高齢者が心身ともに活力を取り戻し、笑顔も増え、新たなことに再び挑戦しようとする姿も多く見られ、利用者に貢献できていることを肌で感じることができました。また、多くの利用者から筆者らが提供するサービスに対して喜んでいただき、口コミ効果から利用者数もコロナ禍にも関わらず大きく増加していました。このように介護事業の価値や事業としてのポテンシャルを大きく実感していましたが、一方で職員側・介護を提供する側の負担はあまりにも大きく、現場職員の高いスキル・専門性を必要とするとともに、休憩時間をほとんど取れず残業時間も長くなってしまうなど、持続可能なサービス提供体制には程遠いことも痛感しました。
 このことからも、職員の負担と利用者へのサービスの質向上の双方を両立するためには、高いビジネス感覚をもとに新たな事業モデルの構築が必要であると現場で肌で感じました。また、それが実現できれば、事業を通じて利用者や職員によりよい環境を提供できるのみならず、事業モデルの横展開により多くの介護事業の改善に寄与できるのではないかと考えました。このような考えから、ビジネス感覚を高い水準で養いたいと考え、筆者はコンサルタントを志しました。

  

 以上の経緯で筆者は介護職からコンサルタントへ異色のチャレンジを決意しましたが、転職活動当初は、コンサルティング業界の中でも介護福祉を専門としたコンサルティング会社、転職会社から勧められたアーツアンドクラフツの2社を候補に考えていました。アーツアンドクラフツと介護福祉専門のコンサルティング会社の二社を比較した際に、介護福祉事業におけるコンサルタントとして専門性を高めることを目的とする場合は、圧倒的に介護福祉専門コンサルティング会社が適していると思いました。
 しかし、先述した通り介護業界の課題を高いビジネス感覚をもって解決するためには、より多くの種類のビジネスに業務レベルで触れ、業界標準の考え方にとらわれない多角的な視点から事業を開発・推進することが必要であると感じていました。
 そして弊社について調べ、また面接での印象を通じて、アーツアンドクラフツで働くことで「業界の垣根を超えて多種多様な案件に関わることができる」、「自社のブランドを通じてコンサル以外の自社事業も行っていることから、絵に描いた餅ではなく実業に即したコンサルティングのスキルを会得できる」、「(ホームページ内の社員によるブログから)ナレッジ共有に積極的であり成長できそう」などの印象を持ち、筆者が求めている経験を積めるのはこの会社だと感じたため、入社を決定しました。

 

アーツアンドクラフツは他業種からのチャレンジでも成長できる環境だった

 そのような経緯で弊社に入社しましたが、介護業界からコンサル業界と変化が激しかったため、入社当初はついていくのに必死でした。特にコミュニケーション面では、前職の介護施設における職場でのコミュニケーションと比べると、対峙する人の属性や、コミュニケーションをする内容、その方法などがあまりに多く異なっており、コンサルの流儀の一つと言える抽象的な概念の整理・構造化などについていくのに非常に苦労しました。しかし、当社の特徴として社員全員がコンサル未経験であり、未経験人財を1から育てる文化だったことから、数多くのメンバーに支えていただき、対応できる業務範囲も1年間で大きく広がったなと感じています。 
 実際に、当社にはスキルレベルの成長を可視化できるスキル評価制度が導入されており、「タスクマネジメント」、「プレゼンテーション」「リサーチ」など計6項目で白帯、茶帯、黒帯とスキルレベルが認定される制度なのですが、筆者は1年間でチーム内でもっとも多くスキルを獲得したとして表彰を受けることができました。
 このようなスキルの獲得が可視化される制度が存在するため、仕事をするうえで大きなやりがいにも繋がりますし、今後どのような項目を伸ばすべきかが明確にわかります。特に筆者は介護業界とコンサル業界から大きくかけ離れた業界から来たため、どのようなスキルの会得が必要なのか、入社当初は検討もつかなかったので、このような制度に基づいて自分自身の各項目のスキル項目が可視化され、各項目に対するフィードバックを受けられるのは、成長しやすい制度だなと感じています。
 また、「業界の垣根を超えて多種多様な案件に係ることができる」という点については、入社前に感じていた印象に違わず、入社して1年多くの案件に関わることができました。エネルギー業界における戦略立案から、AIやロボットなどの今後の進化に関する調査、企業の営業戦略立案支援、暗号通貨を用いたビジネスモデルの構築など、関わった案件の数は1年で8つにも上ります。これまでの1年間は、多種多様な案件をこなすことに精一杯でしたが、これからは介護業界でどのような戦略立案・業務改善が必要であるかについて、多種多様のコンサルティング業務に携わる中で考えていきたいと思います。

 

最後に

 長くなりましたが、以上にて筆者がアーツアンドクラフツに入社した理由、実際に働いて感じたこと、今後実現したいことについて述べました。
 最後に筆者が感じる弊社の魅力をまとめると「業界の垣根を超えて多くの案件に係ることができること」、「コンサル未経験人財を1から育成する文化があること」、「スキルレベルが可視化された評価制度の存在」の3点が特に大きいと感じています。これらの点にご興味を持った方は、ぜひ一緒に弊社で働けることを心よりお待ちしております。

 

【参考】

筆者以外の他業界出身の社員も、同様の記事を執筆していますので、宜しければご覧ください。

 

 その他にも、「こんな情報を紹介してほしい」「こういった視点の記事を読んでみたい」などの要望がありましたら、弊社問い合わせフォームよりリクエストを頂ければ幸いです。

 

松田 拓也

アーツアンドクラフツConsulting & Solution事業部/コンサルタント