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SNSマーケティングの戦略設計における手引き

SNSマーケティングとは

SNSマーケティングとはInstagramX(旧Twitter)、LINEYouTubeなどSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を活用し、自社製品・サービスの宣伝を行うマーケティング手法です。SNSマーケティングの最大の特長は拡散力の高さです。SNSの利用者数は全世界で46億人、国内でも8,720万人(2023年)を超え、1日の平均利用時間は4分(2022年)と年々増加しており、拡散力に拍車をかけています。このように拡散力のあるSNSをマーケティングの媒体として活用するメリットとして大きく以下の4つがあります。

 

①コミュニティの形成ができる

企業のブランド(製品・サービス)などに興味を持つ消費者間で形成されるコミュニティにて情報発信を行うことで、既存顧客との接点機会が増加します。また、既存顧客による口コミの発信により新規顧客の獲得にも期待することができます。

②ブランドへの信愛増加

上記のような消費者間のコミュニティ内での発信により、企業・ブランドの情報が日常的に目に入るようになることで、新規顧客の獲得につながるだけでなく、既存顧客のブランドへの「好き」という気持ちも深まっていき、「ブランドに興味がある」から「ブランドのファン」へと変わっていきます。

③多種多様な情報を発信できる

SNSにて発信できるのは商品・サービスだけではありません。キャンペーン告知やオフライン/オンラインイベント案内、企業自体の情報など、多種多様なコンテンツを発信することが可能です。また、昨今では採用活動をSNSで行う「ソーシャルリクルーティング」をしている企業も増えています。

④リードやコンバージョンなど問い合わせ増加に貢献

SNSのチャネルによって特長や利用目的、利用者の属性が全く異なります。そのため、複数のSNSチャネルで使い分けて発信していくことで機会損失の回避が可能となり、消費者の認知・興味向上につなげることができる可能性が高くなります(各チャネルの特長については後段にて説明いたします)。


多くのユーザーをターゲットに、自社製品・サービスの認知~購入までの導線を描くことができるSNSマーケティングは、昨今のWebマーケティングの中でも注力すべき手法の1つです。そこで本稿では、SNSマーケティングにおける戦略策定のポイントをご紹介いたします。

 

SNSマーケティングにおける戦略策定ガイドライン

以降では、SNSマーケティングを展開していくにあたっての注意点や考え方についてご紹介いたします。

コンテンツ作成時の注意点

SNSマーケティングを行う際、コンテンツ(情報)を用いて販促活動などを行っていきますが、実際にコンテンツを作成する際の注意点としては、「顧客の本当に求めているものは何か」を把握できるか、という点です。どのようなコンテンツを発信していくかを考える際には目的やターゲット(ペルソナ)を明確にする必要があり、この部分を怠ってコンテンツ作成にとりかかってしまうと期待する効果が出にくくなってしまいます。また、これらが明確であった場合でも、自社製品・サービスの売り込み・アピールの主張が強すぎて消費者に寄り添っていないコンテンツを作成してしまうと、途中で脱線してしまう可能性が高くなります。

そのような事態を回避してマーケティングの成果を最大限にあげるためには「ユースケースの設計」が欠かせません。ユースケースとは、消費者のペインやニーズごとにペルソナを設計し、どのタイプのペルソナがどのような商品・サービスを求めているかを、ストーリーを組み立ててシーンごとに整理する手法を指します。この設計を行うことで、消費者(ターゲット)に対してどのようなコンテンツを提供すべきかの把握が容易となります。このようなユースケースを設計することで、消費者が本当に求めているものを明確にすることができ、認知から購入までスムーズに顧客を誘導できる可能性が高くなります。

ユースケースの設計方法については、弊社が過去に執筆した記事「コンテンツマーケティングの最適な実践方法」をご覧ください。

SNS運用を行う際の注意点

SNS運用にてマーケティングをしていくにあたり重要となるのが「チャネルごとにマーケティングのシナリオ(流れ)を設計しない」ことです。言い換えると「チャネル決定⇒マーケティングシナリオ設計」の順番ではなく、「全体のマーケティングシナリオ設計⇒最適なチャネル決定」の順番で行う必要があります。はじめに全体でどのようなマーケティングをどのように行っていくか、どのようなシナリオでプロモーションしていくかを考えていく必要があります。

チャネルごとにシナリオを決めてしまうと、元々の目的やターゲットにばらつき、もしくは無駄な重複が生じて統一感のないマーケティングとなってしまい、マーケティングの効果が薄れてしまう恐れがあります。そのため「どのチャネルで、どのようなコンテンツを、どのようなターゲットに向けて、どのように表現するのか」といった、チャネルごとに予め目的や役割を持たせ、全体で統一感をもって連携させる必要があります。そのためにも全体観を俯瞰したマーケティング展開を行うことが重要となってきます。

SNSマーケティングの成果を上げる設計手順

では、上記のような全体を俯瞰したマーケティングを設計するにはどうすればよいのでしょうか。マーケティングの設計は様々であると思いますが、本稿では設計例として、以下の3ステップを踏んで行う方法をご紹介いたします。

 

<step1>KGI/KPIの設定

まず、最初に着手するステップが「KGI/KPIの設定」です。

KGI/KPIとはそれぞれ、「重要目標達成指標」、「重要業績評価指標」といいます。KGI(重要目標達成指標)は、企業の目指す最終的な定量目標(=数値目標)を意味しており、KPI(重要業績評価指標)は、目標を達成するプロセスでの達成度合いを計測したり監視したりするために置く定量的な指標を意味します。KGIが最終目標となり、KPIKGIを売上・利益の最大化とおいて、ブレイクダウンしたものです。そのため、KGI1つ、KPI23つほど設定します。

KGI/KPIの設定を行わずにSNSマーケティングにおけるストーリー設計を行ってしまうと、何のための施策なのか、何のためにソリューションを提供するのかが不明確な状態でプロジェクトが進んでしまいます。具体的な評価指標があることで、事業戦略上の論点(注力ポイント)は何か、が明確になり、また次ステップについて考える際に、どうKPIに紐づくのかを考える事でそれは筋が良いのか、悪いのか立ち戻りながら考える事が可能となり、確実に成果を出すためにも重要な工程です。

したがって、まず初めに目標を定義し、打ち手がどの目的にどの程度効くのか明確化したうえで、プロジェクトを進められるようにしていきます。

 

<step2>課題の整理/構造化(現状分析)

2つ目のステップは、「課題の整理/構造化(現状分析)」です。

マーケティングコミュニケーションを全体最適で整理するため、企業の取組状況を整理していきます。整理方法の一つとして、2015年にIBMDACによって構築された「7つのC」というフレームワークが便利です。

7つの「C」は、組織外の観点と組織内の観点の2つに分けられます。組織外の観点は4つで、「どの顧客に対して(Customer)」、「どのチャネルを使って(Channel)」、「どういうクリエイティブやコンテンツで(Creative/Contents)」、「どのようにコミュニケーションを行うのか(Communication)」です。組織内の観点は3つで、「人(Collaboration)」最適な組織の検討、「モノ(Cloud)」システムの整備について検討、「お金(Cost)」費用対効果を整理していきます。

それぞれの分析を行う際の考え方は下記資料のようになります。

ここまでの、「KGIKPI」を定め「7つのC」で企業の状況を整理することで、マーケティングコミュニケーションにおいて「何を行うべきか」が明確になってくると思います。

 

<step3>施策の立案

3つ目のステップは「施策の立案」です。前の2ステップで明確化した「何を行うべきか」からストーリーを表現するためにどの時期にどのチャネルでどのような内容のプロモーション活動をするか計画立てます。

下記図はコスメの販売を行っている架空の企業のマーケティング施策例として簡易的に作成した図となります。

 

縦軸にチャネル、横軸に年月日をとり、どのタイミングで何のコンテンツを配信するか明確にしていきます。そのように流れを整理することで、マーケティング施策の中で連携ができていない箇所等がないか確認することができます。

 

以上の3ステップを踏んで全体最適のマーケティングを行うことで、認知から購買までスムーズな体験を顧客に提供することができ、企業にとっても望んだ効果を得られる可能性が高まります。

 

 

SNSマーケティングを行うためのチャネル

SNSによって利用しているユーザーや機能、文化が異なっており特色があるため、自社の運用目的やペルソナに合わせて最適なチャネルを選ぶ必要があります。本稿では、SNSマーケティングで主に活用されている人気のチャネルをご紹介いたします。

下記図は、各チャネルの特徴をまとめた図となります。

 

X(旧Twitter

日本国内における月間のアクティブユーザー数は約4,500万人でLINEに次いで利用者数が多い媒体です。また、世界全体では34000万人を超えています。ユーザーは若年層(1030代)がメインですが、40代の利用率も44.5%と高いといえます。

リアルタイム性に優れており、現在のニュースや話題が頻繁にユーザー間で飛び交っており、国内外問わずバズりやすいSNSとなります。拡散力を生かして、イベント告知やキャンペーン告知などする企業が多く見受けられます。また、ユーザーが匿名登録なこともあり、企業とコミュニケーションがとりやすいのも強みです。

 

Instagram

総務省の調査データ(令和4年度実施)によると、10代のInstagram利用率は70.0%20代の利用率は73.3%30代は63.7%40代は48.6%50代は40.7%と、若年層(10代~30代)の利用率が高く、年代が高くなるにつれて利用率は減少しています。若年層が多く利用しているSNSであるため、拡散力はかなり高いと考えられます。

フィード投稿はもちろんリール投稿(動画)やストーリーズなどといった投稿機能が多く、マーケッターは用途に合わせて使い分けることが可能となります。また、ECサイトへの導線ができる「ショッピング機能」があり、消費者に自社製品を直接販売することが可能であることから、to C向けの商品(アパレルや家具など)を提供している企業との相性がいいと思われます。

 

LINE

SNSの中で日本国内における月間アクティブユーザーが最も多く、約9,200万人ものユーザーが毎月利用しています。

個人チャットでユーザーとやり取りすることができるのが特徴ですが、ユーザー側が追加しなければやり取りを開始することはできないため、LINE登録まで繋げるための導線が他に必要となります。1回繋がれば直接やり取り(クローズドな環境)が可能なため、顧客接点は創出しやすいと考えられます。そのため、LINEを活用してメルマガを配信する企業が年々増加しています。

 

TikTok

Instagramと同じく10代~20代が主なユーザーとなりますが、完全動画ベースである点で異なります。レコメンド機能により、商品・サービスに興味のありそうなユーザーのオススメに、自動的に動画を流してくれるため、タグなどを工夫すれば関心の高い消費者に届きやすいというのが特徴です。

近年では業界問わず広告媒体として参入している企業が多く見受けられ、商品・サービスだけでなく会社自体の存在を知ってもらう機会としても有効であると考えられます。

現状では10代の利用率が圧倒的であるため、高年齢層の商品・サービスを提供している企業が活用していく場合には、利用者から親などへの紹介を促すことができるコンテンツを充実させていく必要があります。

 

Facebook

30代の利用率が最も多く約46.5%ですが、10代に関しては11.4%程度しか利用していないという結果となっており、比較的ビジネス向きのSNSとして利用されています。

実名登録制というのが特徴で、学歴や仕事、ライフステージ等の情報を基にターゲティングが可能となります。

また、日本国内では他のSNSと比べて利用者数は多いとは言えませんが、世界で見るとアクティブユーザーが最も多いSNSであることから、海外に販路拡大していきたい企業にとっては、ぜひとも活用したいSNSと言えます。

 

YouTube

LINEと同じく全年代を通して利用率が高い傾向にあります。

公式チャンネルを開設する企業も増えており、配信者(YouTuberやインフルエンサー)とのタイアップやコラボレーションしている動画も多数見受けられます。また、長時間の動画を配信可能なことから、商品・サービスの詳細まで伝えることができたり、会社・業界自体の情報を発信していくことも可能で、実際様々なコンテンツが発信されています。

 


例えば、レコメンド機能で興味のある消費者に届きやすいInstagramTikTokにてコンテンツを発信して認知・興味を向上させ、LINEの友達登録・HPの会員登録へと繋げ、実際に購入・体験してもらった顧客にInstagramX(旧Twitter)で口コミを投稿してもらい身近な人に紹介してもらうなど、、、こうした複数のSNSを連携させループさせることができれば、既存顧客を一定数担保しながら新規顧客を確保していくことが可能となります。

 

 

まとめ

これまで述べてきた通り、拡散力があり不特定多数の消費者にコンテンツを発信することのできるSNSは、昨今のマーケティングの中でも有効な手段となります。また、複数のチャネルを活用し、連携していくことで高い成果をあげることができる可能性を秘めています。

これからSNSマーケティングを実施する企業の方やマーケティング部門でお勤めの方々にとって有意義な情報となっていれば幸いです。

また、弊社では業界・業種問わずマーケティングのご支援をさせていただいておりますので、経営上の課題やお悩み等がございましたら、ぜひとも下記のフォームからお問い合わせください。

 

【参考】

桒原野々花

アーツアンドクラフツConsulting & Solution事業部/アナリスト

長崎裕斗

アーツアンドクラフツConsulting & Solution事業部/アナリスト