そもそも、配食(中食)サービスとは何でしょうか?
配食サービスとは、食事(お弁当)を自宅まで配達してくれるサービスです。Uber Eatsや出前館のようなフードデリバリーサービスとは異なり、ほぼ毎日決まった時間(または毎週決まった曜日)にお弁当を配達してくれるサービスを一般的な配食(中食)サービスと呼んでいます。
配食(中食)サービスで配達されるお弁当は、管理栄養士によって考案された栄養バランスの良いお弁当であることが多く、若者から高齢者まで、多くの人が配食(中食)サービスを利用しています。従来では、体が不自由になり料理や買い物を自分で行うことができなくなってしまった高齢者(65歳以上)が配食(中食)サービスを利用する傾向にありましたが、近年では、新型コロナウイルスによるリモートワークの普及や、健康志向の高まりにより、若年層(15~34歳)や中年層(35~64歳)の中でも、配食(中食)サービスが普及してきています。
弊社では配食(中食)市場を顧客層ごとにセグメント化し「個人宅(高齢者: 65歳以上)」「個人宅(ビジネスパーソン)」「個人宅(子どものいる世帯)」「事業所」「学校/幼稚園/保育園」「老人・介護施設」「学習塾」の7グループに分類しています。「個人宅(高齢者)」「個人宅(ビジネスパーソン)」「個人宅(子どものいる世帯)」は、toCビジネスを展開している市場を指し、個人から注文を受け個人の自宅までお弁当を配達する一般的な配食(中食)サービスとなります。「事業所」については、長期で契約しているケース、チラシなどから単発的に申し込みを受けるケースの双方の配食(中食)サービスを含みます。「学校/幼稚園/保育園」「老人・介護施設」については、該当の学校・施設に食事を提供するサービスとなります。
「学習塾」については、学習塾に通う生徒向けにお弁当を届けるサービスを指します。近年では学習塾向けに配食(中食)サービスを展開しているプレイヤが登場しています。現時点では参入しているプレイヤは限られており、規模(後述)としても小さいですが、将来的にはポテンシャルを秘めていると考え、市場セグメントの一つとして追加しています。例として「FCN」というプレイヤが都内で同様の活動をしており、都内の中野区や世田谷区、調布市周辺の学習塾や学童の子どもたちに対してお弁当を届けています。1食あたり490~680円程度で子どもの成長を支える栄養素を多く盛り込んでおり、忙しい子育て世帯へ貢献しています。
上記の市場セグメント(ビジネスパーソン、子どものいる世帯以外)それぞれについて、弊社独自の調査により市場規模を算出しました。
「事業所」「老人・介護士施設」がそれぞれ2,000億円程度、「個人宅(高齢者)」が1,500億円程度であり、市場規模の観点から見ると、この3セグメントが有望であると言えます。「学校/幼稚園/保育園」については、予算が決まっていることから高単価に設定して売上を伸ばすことが難しく、toB市場の中では低い規模の1,000億円程度となりました。「老人・介護施設」についても予算上の兼ね合いで高単価に設定しての展開は難しいですが、1日複数回食事を提供することが可能なため、「学校/幼稚園/保育園」よりも大きな市場規模が見込めると考えています。また、「学習塾」については全国の学習塾数や生徒数、開校日が限られており求められる食数が他のセグメントと比較して少ないことから、490億円程度となりました。
では、実際に配食(中食)を提供している事業者(以下「配食(中食)プレイヤ」と記載)にはどのような特徴がみられるのでしょうか。従来の配食(中食)サービスでは、その日の朝に作られたお弁当を昼食に向けて、または午後作られたお弁当を夕食に向けて、常温で配達することが一般的でしたが、現在では消費者のニーズの変遷に合わせた多種多様な配食(中食)プレイヤが見られます。自治体から委託を受けてお弁当を配達する配食(中食)プレイヤや、自社で製造から販売まで行う民間の配食(中食)プレイヤ、近年ではコンビニ等の異業種からの参入も珍しくありません。配食(中食)プレイヤごとにコンセプトを掲げており、高齢者やダイエット向けの制限食や、有名シェフの監修を加えた商品、ボリューム満点の商品など、消費者は用途に合わせて利用することができます。
弊社では、分類したセグメントをベースに全国・地域プレイヤの動向を調査し、以下のように整理しています。
全国展開している配食(中食)プレイヤは単価が500円以上と、一部地域のみで展開している配食(中食)プレイヤよりも少し高い傾向にあります。また、商品のラインナップも豊富であり、スマホからの注文、複数食まとめての配送など、規模の小さい組織では展開が難しい「利便性」を追求した付加価値を強みとしている配食(中食)プレイヤが多く見受けられます。一方で、一部地域のみに根付いて活動している配食(中食)プレイヤについては、比較的安価な商品を展開しており、見守りサービスや顧客とのコミュニケーションなどといったアナログな対応を大切にしている傾向があります。
異業種からの参入により競争が激化している配食(中食)サービス業界では様々な課題を抱えている配食(中食)プレイヤが多くいると思います。お弁当で差別化を図るのが困難、顧客が継続的に利用してくれない、などが挙げられます。また、配達人員が必要で人件費が大きくかかってしまい、利益率が低くなってしまうというのも配食(中食)サービス市場の特徴であると言えます。
全国展開している配食(中食)プレイヤのシルバーライフでは、営業利益率を5.0%程度確保しています。調理スタッフや配達スタッフ、管理スタッフなど一つの事業で様々な部門の人材が必要になってしまう配食(中食)サービス事業ですが、シルバーライフでは正社員と正社員以外の従業員の比率を半々程度(2022年度時点の正社員数: 173名、正社員以外の従業員数: 139名)にすることや外注の配達人員を活用することで人件費を抑え、利益を創出していることが分かります。
直営(自社生産/配達)の配食(中食)サービスを展開する場合、損益分岐点のボーダーとして150~200食/日の販売が一つの目安とされています(単価設定や仕入高によって異なる)。配食(中食)サービスのスタートアップ時には配達先が遠い間隔で点在してしまい配達効率が悪く運送コストばかりかかってしまいます。そのため、いかにスピード感をもって配達先数を増やしていくかがカギとなり、1日150~200食あたりを安定的に配達できるようになるとようやく黒字計上と言われています。損益分岐点の観点から見ると、1回の配達で複数食配達することのできる事業所(従業員向け)や集合住宅は狙い目であると考えられます。
弊社では2023年に実施した消費者調査を中心に、配食(中食)サービスの利用経験がある消費者の購買実態について調査・分析しました。
「配食(中食)サービスを利用したきっかけは何ですか?(複数選択)」という質問を基に、消費者が配食(中食)サービスを利用し始めた目的を調査しました。
全体として「料理や買い物の手間を減らしたい」ため配食(中食)サービスの利用を始めたと回答した人が最も多いという結果となりました。セグメント別に見ると、ビジネスパーソンや子どものいる世帯は上記の理由に加えて、「メニューを考えるのが大変だから」と挙げる人も多く、手間の削減を目的として配食(中食)サービスを利用する傾向が見られます。
一方で、高齢者については「栄養の良い食事がしたいから」という回答が多く、「塩分や糖質を気にしているから」という回答も一定数見られることから、健康意識をきっかけとして、配食(中食)サービスを利用していることが分かります。
また、事業所においては「福利厚生」をきっかけとして、老人・介護施設においては「外注したほうが安いため」といった金銭や人的コストを削減する目的で配食(中食)サービスを利用する傾向が見られました。
「配食(中食)サービスを利用する際に重視することは何ですか?(各項目5段階評価)」という質問を基に、消費者が配食(中食)サービスに求めている要素を調査しました。
共通して「おいしさ」「メニューの豊富さ」を重視すると回答した人が多い結果となっていますが、セグメント別では違ったニーズの傾向があらわれます。
子どものいる世帯について見てみると、「子どもに栄養の良い食事を提供してあげたい」というような健康面のニーズが見受けられます。また、子どもの年代別で見ると、子どもが未就学児である場合は「配達・受取の利便性」「アプリやネットでの注文管理」などの回答が他のセグメントと比較して多く、家事の負担削減を求めて配食(中食)サービスを利用する傾向が見られます。一方で、小学生(低学年)の子どもを育てる世帯では、「価格を抑えたい」というニーズが最も高い回答となっています。子供が成長し小学生になると、学費などといった支出負担が大きくなることが背景にあると考えられます。
ビジネスパーソンではどうでしょうか?20代のビジネスパーソンでは、「配達・受取の利便性が高い」「快適である」などの回答が多く、ストレスフリーなサービスを好む傾向が見られます。一方50代のビジネスパーソンでは、それらを重視している人の割合は比較的少なく、「栄養バランスが良い」「健康的である」といった健康面を重視する回答が他の項目と比較して多く見られました。年齢を重ねていくにつれ会社の健康診断等で検査項目も増えていくため、「将来の罹患リスクを減らしたい」といったリスク予防のニーズが、配食(中食)サービスにも影響しているのではないでしょうか。
このように一口に配食(中食)サービスといっても、消費者の属性や置かれている環境によって多種多様なニーズが存在していることが分かります。
上記の重視度に関する質問に加え、「現在利用している配食(中食)サービスについてどの程度満足していますか?(各項目5段階評価)」という質問を基に、消費者が配食(中食)サービスを利用する際の重視点と実際の満足度のGAP(乖離)について調査しました(弊社ではこのGAPを参入余地の程度を攻略難易度と称し、戦略立案の際の一つの目安としています)。
青線が重視度のポイント、赤線が満足度のポイントを示しており、赤線(満足度)が青線(重視度)を上回っていれば満足している傾向にあり、反対に赤線(満足度)が青線(重視度)を下回っていると不満に感じている傾向にあることが分かります(満足度については、セグメントごとに市場シェアの高い配食(中食)サービスの利用者(セグメント)の意見を反映)。上図では「ビジネスパーソン(全年代)市場」を基に作成していますが、ほとんどの項目について満足度が低い傾向にあります。それらの点を克服する商品・サービスを展開することができるケイパビリティを自社で有していれば、ビジネスパーソンのニーズを満たす商品・サービスを展開できるということになります。
また高齢者層については全体的に重視度が高い傾向にあるという特徴が見られます。しかし、ビジネスパーソンと同じくほぼ全ての項目で満足度が下回るという結果となりました。理由として、高齢者向け配食(中食)の特徴が影響していると考えられます。高齢者向けの配食(中食)では、「栄養面」や「食べやすさ」を考慮して、味付けや食感、ボリュームが調整されていることが多く、それらのお弁当に満足できていない高齢者層が一定数存在しているのではないでしょうか。
最後に子どものいる世帯を見てみると、比較的重視度と満足度とのGAPは小さいという結果になりました。しかし、「価格」と「品質管理・衛生面」の点ではGAPが大きく生じており、子育て世帯特有の支出面や安全面のニーズが顕著に表れています。品質や衛生面といった安全面に透明性のある商品・サービスであれば、子どもにも安心して提供しやすいのではと考えられます。
「配食(中食)サービスの情報をどこで収集しましたか?決め手となった情報源は何ですか?」という質問を基に、消費者が現在利用している(していた)サービスについての情報入手経路を調査しました。
消費者が配食(中食)サービスの情報を収集する経路(媒体)としては、全体的にHP(ホームページ)、チラシ、身内(家族、友人、知人)が多い傾向にあります。
セグメント別に見ると、ビジネスパーソンや子どものいる世帯については、HPやインターネット広告など、スマホやネットといったデジタル媒体を情報収集経路としている傾向が見られます。そのうちビジネスパーソンのうち20代については、他の年代と比べてSNSを情報収集経路や決め手としている割合が高い傾向にある一方、個人ブログは情報入手経路としている人の割合は高いものの決め手としている人はいませんでした。個人ブログは情報収集経路としては有効的であるが、最終的にはHPやSNSなどを決め手としていることが分かります。
事業所や老人・介護施設については、情報収集経路や決め手となった「その他」の回答として、「訪問営業」や「FAX営業」、「他会社からの紹介」という回答が見られました。
一方で高齢者については、情報収集経路と決め手の両方について「チラシ」が最も多い回答となりました。加えて「新聞」と回答した人の割合も高く、若年層と比べてスマホやPCといったデジタル媒体に触れる機会の少ない高齢者についてはアナログ的な広告宣伝が効果的であると考えられます。しかし、将来的には高齢者層のITリテラシーも向上していくため、中長期的に見るとHPやインターネット広告といったデジタル媒体へとメインの情報収集経路が変遷していく可能性が高いと考えられます。また、「ケアマネジャー」と回答した人が一定数いるのも、高齢者層の特徴であると言えます。そのためにはサービスの「信頼感」が重要となるため、配食(中食)プレイヤは自治体から委託を受けて活動したり、メディアへの露出によってネームバリューを高めていく取組みが必要となってくるのではないでしょうか。
実際に配食(中食)プレイヤは様々な媒体を用いてプロモーションおよびネームバリューを高める取組みを行っています。その中でも「テレビ」媒体を用いて売上を伸ばしていった配食(中食)プレイヤの例として「ファンデリー」と「日清医療食品」が挙げられます。「ファンデリー」は、WBS(ワールド・ビジネス・サテライト)という経済情報番組に取り上げられた際に、外部のコールセンターでも対応が間に合わないほどの注文が殺到。また、「日清医療食品」は通販番組の合間のCMによって継続的な新規顧客を獲得する形式を確立しています。
「現在利用しているサービスについて継続する意向はありますか?(「利用したい」「別のサービスを検討中」「配食(中食)サービス自体を辞めることを検討中」「特に考えていない」)」という質問を基に、利用者の継続利用意向の程度を調査しました。
高齢者層や子どものいる世帯、事業所については「利用したい」と回答した人が他の項目よりも比較的割合が高く、継続利用意向が大きいことがわかります。一方ビジネスパーソンについては、「利用したい」と回答した人が最も多い点は高齢者層などと一緒ですが、「別のサービスを検討中」と回答した人も一定数いる結果となりました。背景としては利用者の「飽き」という感情が大きいと考えています。配食(中食)サービスはローテーションされやすく、「なんとなく味に飽きた」「メニューが変わり映えせずに飽きた」など、似たような味付けやラインナップに飽き、「他の配食(中食)サービスも試してみよう」という感情が生まれるのはごく自然であるといえます。特にビジネスパーソンは、日常的に様々な情報を取得することが多いため、その傾向が如実に表れているのではないでしょうか。
他にもスイッチ要因として「配達員との相性」が挙げられます。日々お弁当を届けてくれる配達員との関係性は、利用者の継続利用意向の程度に大きく影響すると考えられます。特に高齢者層にとっては「態度が横柄で気に入らない」「近所を通っても挨拶や声掛けをしてくれない」「清潔感や元気がない」など、配達員が気にくわないと感じた際にフェードアウトする傾向が見られます。
弊社で過去に支援させていただいた、配食(中食)サービス事業を営んでいるクライアント企業の新規事業およびブランドコンセプト立案戦略についてご紹介させていただきます。
(弊社HPにて、デジタルマーケティング支援の簡易的な手順について記載しておりますのでぜひご覧ください)
クライアント:
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本案件のクライアントは、配食(中食)サービス事業を営んでいるものの、顧客のほとんどを既存の高齢者が占めているため頭打ちの状態でした。そこで、顧客層の拡大、それに伴うブランドコンセプト・サービスの見直しの支援を目的として弊社が承りました。
新規事業およびブランドコンセプト立案のためには消費者の受容性の把握が必要不可欠です。消費者調査実施前に予め9つ程度のコンセプト案を思案・作成し、消費者調査にて「コンセプト案についてどの程度魅力を感じるか?(各コンセプト案4段階評価)」「コンセプト案についてどの程度利用したいか?(各コンセプト案4段階評価)」という質問を基に、各コンセプト案の魅力度と利用意向を調査しました。
「魅力度」「利用意向」をそれぞれ4段階評価してもらうことで、有望なコンセプト案を比較検討することが一目でわかります。今回の場合では、魅力度と利用意向とで差がでていなかったため、そのままコンセプト案①と⑧を有望コンセプトのベースとして進めていくことにしました。
商品・サービスをどの程度の価格帯で展開していくかについても消費者調査を通して、消費者の許容価格帯を把握することで検討することが可能です。
各コンセプト案において、「安すぎて品質が疑わしいと思う価格」「安いと思う価格」「高いと思う価格」「高すぎて買えないと思う価格」をそれぞれ回答してもらうことで、受容価格帯(消費者に受け入れられる価格帯)を把握できるため、新規(既存)事業における価格設定の参考にすることが可能となります。
以上を踏まえて、配食(中食)サービスにおける新規事業およびブランドコンセプトの概要書の作成を行いました。作成を進めていく上で特に意識しなければならない点は「ストーリー性」です。「何を提供するのか・誰に提供するのか・どのように提供するのか・どうやって商品・サービス開発するのか・なぜ提供するのか?」を踏まえて設計していくことで、自社が商品・サービスを提供する価値や意義を見出していきます。加えて、将来性や競合との差別化要素をつくることで強みを確立させます。
作成を進めるうえでもう一つ重要な点が「実現可能性」です。自社の資源(設備や人員、金額感など)で実現できるものなのか、本当にこのコンセプトでの活動によって売上があがるのか、そのような点を意識しながら設計する必要があります。もし、やりたい商品・サービスの展開が難しいようであれば、短期(1~3年程度)、中期(3~5年)、長期(5年以上~)など、段階的に設計してみるものいいと思います。
新規事業・ブランドコンセプト立案する際には企業がもともと持っているコンセプトや想いに反しないかどうかを確認する必要があります。企業の掲げているコンセプトはいろいろな人の思いが詰まっているため、その根底は維持しつつ新規事業やブランドコンセプト案を提案しなければなりません。また、既存コンセプトやイメージとあまりに乖離が大きすぎてしまうと、新規顧客が獲得できる一方で既存顧客が離れてしまう可能性も考えられます。そのため、企業のイメージと親和性の高い新規事業およびブランドコンセプトを立案していくことが求められます。
また、消費者調査を活用することで、ブランドコンセプトやイメージとの相関関係(○○の評価が高い人は○○の評価も高い傾向にある、など)を把握することが可能となります。
最後に、新規事業の展開を検討するにあたり弊社が実際に行ったアプローチ方法についてご紹介します。弊社では、以下をはじめとする複数のアプローチを活用して、様々な角度から情報を調査・取得・分析するノウハウを蓄積しております。
デスクリサーチとは、既に存在している文献や調査レポート等を用いて、市場の動向や消費者のニーズ・傾向などを把握する一般的な調査方法です。最初はデスクリサーチにて競合や市場といった環境動向や、消費者のニーズといった購買実態について仮説を立てていきます。
メリット:
手軽に情報を集めることが可能
注意点:
参照元によって信ぴょう性が低い可能性ある
会社の経営状態の把握や競合との比較をする際には損益計算書(P/L)の活用が効果的です。競合が上場している場合は、有価証券報告書を開示していることが一般的ですので、インターネットにてIRを検索し参照してみるのもいいでしょう。
メリット:
競合との比較により自社の経営状態を客観的に評価できる
注意点:
公開されている企業が限られている
財務情報だけでは数字以外の要素を考慮した分析は不可能
消費者調査とは、調査会社を通して一定数の消費者にアンケートをとり、購買実態を把握するための手法です。高いコストを支払うことになりますが、より精緻な消費者のニーズを把握して、立てた仮説を検証していくには必要不可欠です。ただし、調査用の質問を作成する際には少し工夫が必要です。そのひとつは、質問に「属性」「意識」「行動」を組み入れることです。「属性」は消費者の年代や性別、住居や世帯構成など、「意識」は特定のシーンでどのような感情やイメージを持っているのかなど、「行動」は特定のシーンでどのような行動や過ごし方をしているのかなど、です。それぞれの質問の回答を組み合わせることで「どのような属性を持つ消費者が、どのような意識をもって、どのような行動をとっているのか」を分析することが可能となります。言い換えると、これらの一つでも欠けてしまうと本当に得たい情報が得られない可能性が出てしまいます。
メリット:
デスクリサーチでは得られない消費者の生の声の取得が可能
注意点:
質問数によっては費用が高額となる
弊社の実際の配食(中食)サービスにおける新規事業及びブランドコンセプト立案の手法をご紹介しましたがいかがだったでしょうか。消費者調査の質問は少し工夫していじれば他の業界でも応用できると思いますのでぜひ参考にしていただければ幸いです。
アーツアンドクラフツConsulting & Solution事業部/アナリスト