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みなさんはamazom、楽天市場などのオンラインコマース(以下、ECと表記)を利用したことはありますか?耳にしない人はいないというぐらい身近になったECですが、経産省によると、2018年のBtoC ECの市場規模は約18兆円、BtoB ECは約344兆円にもなります。
特に、BtoC ECのうち、スマホを利用した取引がおよそ40%となっていることから、取引の手軽さが浸透していき、さらにEC市場は伸びていくと予想できます。ほかにも、CtoC EC(フリマアプリなど)や越境EC(国を超えての取引)など、様々な形のECが存在します。また、今回の新型コロナウイルスの影響によって、外出自粛中の買い物手段としてECを利用していることから、ECが日常へ浸透しつつあります。このことから、afterコロナ/withコロナ時代は、これまで以上の速度で、ECが消費者の生活に浸透していく、と考えられます。
ECとは、Electronic Commerceという造語で、日本語に直すと電子商取引となります。商品やサービスをインターネット上で売買するビジネスモデルを指すもので、サイトを介して企業・消費者・外国人等、幅広い顧客に販売をすることができます。そのため、BtoB/CtoC /越境ECなどの様々なECが存在します。一方で、新しいビジネスであるために、転売や悪質な商品の販売などの問題も顕在化しているため、ECを利用する人のモラルや情報弱者を守る制度などが求められる、現代的なビジネスモデルです。
小売業界がECを導入することで影響が及んだのは、広報面をサポートする広告業、商品を購入する消費者、購入された商品を配送する配送業者の3つです。
広告業とは、購買データを基にしたやり取りが多く、購入履歴が残るECサイトの特徴を活かした関係を築けています。ECを小売業の発展と捉えると、小売業の発展により広告業は業績を伸ばすことができたとも言えます。ECを利用することで新たなビジネスモデルを生み出したと言えるのが、広告業への影響です。
消費者に向けては、類似商品との比較が容易になるなどの影響をまとめて、業界全体で購買に対する効率化ができた、ということが言えます。反対に、ECサイトには商品に対するレビューを書き込めるという仕組みを設けていることから、商品の品質アップに寄与してもらえるということが言えます。この二つより、小売と消費者は相乗効果を生み出す関係を築けていると言えます。
配送業者には、配送量の増加による雇用の創出、テクノロジーを駆使した業務効率化などの影響を与えました。逆にECに対しては、ラストワンマイルのサービスを担っていることから、小売側の立場で総合的なサービスの質を高めているということができます。そのため、配送業者とは一蓮托生という言葉が当てはまるほど関係が強いと言えます。
このように、ECは他業界に対しても消費者に対しても、業務の増加や改革などの進歩をもたらしました。
ここではECを利用した際のメリット/デメリットをご紹介します。
ECを導入することのメリットは、店舗を持たないことによるコストの削減、インターネットの普及に伴う顧客の拡大、購買データを利用した売上アップ、購入場所や時間を選ばない、商品やブランドなどを簡単に比較することができる、などが挙げられます。反対にデメリットは、購買体験が印象に残りにくい、特定の商品にたどり着くまで難しい、ブランドイメージが伝わりにくい、有名企業に比べて商品などの信頼が低いと売り上げを伸ばしにくい、などが挙げられます。以上をまとめると、ECは手軽さやコスト削減は魅力的だが購買につなげることは難しい、という特徴を持っていることになります。
このような特徴を持つECサイトには、メリットを生かしつつデメリットを減らす手段が存在します。手段として様々なものが考えられますが、本記事ではECサイトの構築方法、ECサイトの刷新の二つを取り上げます。
ECを導入するにあたり、ECサイトを保持するコストや構築方法ごとの長所などの把握が必要になります。以下の表は、ECサイトを保持する際にどんなコストがかかるか、また導入方法ごとにどんな特徴があるかをまとめたものになります。
ECモールとASPを例に出すと、以下のような比較ができます。
このように、作成方法ごとに差別化ポイントがあります。どの方法でECサイトを制作するかは、初期費用、ブランド力、カスタマイズの必要性など、社内の状況に合わせて選択する必要があります。
以上の情報に加えて、ECのメリットを活かすための参考事例を3つご紹介します。サイトに工夫を施して売上を伸ばした企業の事例を掲載しますので、サイト構築のイメージなどの参考にしてください。
一つ目は、アクシーズファム(AXES FEMME)の事例です。アクシーズファムは若い女性をターゲットとしたアパレルブランドで、ファンとのつながりを重視していることが特徴です。しかし、コロナの影響により休業をし、ファンとコミュニケーションを取る機会が減少しました。
そこでアクシーズファムは、ECサイトの刷新を行い三つの機能を追加しました。サイト利用者がコーディネートのアドバイスを受けられる「ファッションお悩み相談室」、社長へ直接メッセージを送れるコーナー、ファンのInstagram投稿をサイト上にピックアップする、といった三つの機能をサイトに盛り込みました。その結果、4月のサイト訪問数は先月比で85%増加し、25万セッションになりました。また、売上は前年同月比で87%増加となりました。
この事例からは、サイトを販売路線として利用するのではなく、顧客とのコミュニケーションを取るプラットフォームとして利用していることが読み取れます。アクシーズファムは、ファンのリアクションを取り入れることで、商品を売買するだけではない相互関係が生みました。つまり、技術の進歩によって人と人の距離を縮められるようになったことと同じで、ブランドに対しても近い距離感を求められる時代になってきたと考えられます。そのため、ブランドはECサイトを通じて顧客接点を作る仕掛けをすることが大切になると言えます。
https://shop.axesfemme.com/femme/brandtop/femme/
二つ目の事例は、ノーチェ(NOCE)という家具販売を行っているECサイトについてです。
ノーチェは北欧テイストの安価な家具の輸入販売を手掛けており、店舗名を検索してサイトへ訪れる人が多いです。トラッキングデータからは、ノーチェのアウトレットページを開いた後に、別のページに回遊する傾向を確認することができました。さらに、ノーチェのサイト訪問者は繰り返しアクセスする人が多い傾向がありました。
これらに目を付けて、ノーチェは以下のサイト内改善を行いました。
これらを実践したことで、NOCEは家具について調べている新規顧客を獲得することができ、昨年同月比売上を約2倍にできました。
この事例からは、サイトを訪問する顧客の特性をとらえるデータ分析と、分析から見える対策の大切さが見えます。ノーチェは、家具を購入検討している顧客には、何回も検討を繰り返すことで購入を決めるという特性がある、と気が付きました。そこで、購入の判断基準になりうる情報をサイト上で発信し続け、同ページ内に低価格で買いやすい商品のバナーを設置することで誘導しました。
こうした売上アップにつなげる戦略的な取り組みを行うためには、顧客がどんなページを見たか、どういう経路でサイトを見つけたか、などのトラッキングデータが必要です。そのため、ECサイトの運営などを行う際には、顧客のトラッキングデータの収集・分析に気を配ることが大切と言えます。
最後に紹介するのは、石けん百貨の事例です。石けん百貨は石けんを中心とする生活用品を販売しています。このサイトの特徴は、取扱商品に関する情報を詳しく解説する姉妹サイトがあることです。
より自社商品に詳しくなってもらうことで、石けん百貨の潜在顧客を顕在顧客にすることが可能になっています。この事例は単なるSEO対策ではなく、ユーザー目線を第一に考えたサイト作りの結果として生まれたものです。そのため、姉妹サイトの「石鹸百貨」「読んで美に効く基礎知識」からの流入数が、2011年と2014年の比で、それぞれ3.3倍と6.8倍となっており、集客効果がはっきり出ていることが分かります。
この事例からは、サイトのユーザーが何を求めているのか、どうしたら商品の魅力が伝わるかなどのユーザー目線が大切だということが学べます。
結果的にSEO対策となっていますが、それ以上にポイントとなるのは、情報発信元としての価値が生まれたことや、情報サイトをきっかけとした購買につながったことです。このポイントを押さえることで、ユーザーからのブランドや商品の印象がプラスになり、購買が起こります。そのため、顧客を引き寄せる行動は妥協しないことが、ECサイトを運営していくことの重要なポイントであると言えます。つまり、自分が何かを与えてもらおうという意識ではなく、自分から何かを与えようという意識を持つことが大切だと言えます。
https://www.live-science.co.jp/store/php/shop/
今後、すでに来ているECの時代に、どのように対応していくかがとても大切になってきます。もちろん、ECに参入した方がビジネスチャンスが広がりますので、ECを利用することは良いことだと思います。そのため、本記事では全体を通して、EC市場や参入方法を紹介し、EC導入のきっかけとなるような記事を書きました。
本記事の総括としては以下の通りです。
本記事や総括を参考に、ECの導入を考えてみてはいかがでしょうか。ECを利用する際には本記事の情報を役立ててください。
【参考】
アーツアンドクラフツConsulting & Solution事業部/アナリスト。