近年、『ノーコード開発』という言葉を耳にする機会が増えてきました。
『ノーコード開発』とは、Webサービスやアプリケーションなどのソフトウェアを、プログラミング言語を記述せずに開発する手段を指します。
専門的なITスキルを要さず、非エンジニアでも構築可能なことから、企業のDX(Digital Transformation)化を推進する上でも重要なソリューションとして注目されています。
当記事では、『ノーコード開発』のメリット及びデメリット、また『ノーコード開発』を実行するための代表的なツールと活用事例をご紹介致します。
『ノーコード開発』には、プログラミング開発と比べて大きく2つのメリットがあります。
1つ目のメリットは、非エンジニアを開発戦力化できることです。
『ノーコード開発』は基本的にはドラッグアンドドロップのみで直感的に開発ができるため、非エンジニアでも専門スキルを要さずソフトウェア開発が可能です。
近年はクラウド環境で複数名による開発作業が可能なノーコードツールも増えてきており、より多くの人材を開発戦力として投入できるようになっています。
2つ目のメリットは、開発スピードの向上が見込め、コストが削減できることです。
『ノーコード開発』は、プログラミングによる開発に必要な設計、言語の記述、テスト等の作業工程を必要としないため、開発期間を大幅に短縮することができ、通常であれば開発に数か月かかるWebサイトやアプリを数日~数週間で完成できる場合もあります。
また、作業工程の削減は、その分の開発コストの削減にも繋がるため、コストメリットの面も注目すべきでしょう。
代表的なノーコードツールを5つご紹介いたします。
BubbleはWebアプリなどを開発することができるノーコードツールです。エレメントと呼ばれる部品をドラッグ&ドロップすることで直感的な開発が可能です。
Bubbleはサービスの開始が2012年とノーコード開発ツールの中では歴史が長く、ユーザーは2017年時点で25万人にもなります。そのため、コミュニティが活発であり、ユーザー同士でノウハウを共有することができるため、情報を容易に取得することができます。
Bubbleで開発されたWebアプリの例としては、レストラン検索アプリ「AppDuJou」があります。アプリユーザーは無料で条件指定をしてレストランを検索できます。また、飲食店側は会費を支払うことで、利用者へレストランの情報やメニューなどを届けることができます。創設者のSharifaによると、開発当時コストや工数をかけずに開発する必要があったため、Bubbleを採用したとのことです。
ShopifyはECサイトを構築できるノーコードツールです。Shopifyを利用することで、自社のイメージに適したECサイトや多様なアプリと連携したサイトを構築できます。
Shopify では、Apple PayやGoogle Pay、PayPalなど様々な決済手段を利用することができます。まだ、その他にもSEO対策に優れており、ECの構築に特化したツールとなっております。
https://www.shopify.jp/blog/start-onlinestore
Shopifyで開発されたサイトの例としては、土屋鞄製造所のECサイトがあります。土屋鞄製造所は、ランドセルや大人向け鞄などを製造するメーカです。土屋鞄製造所はECサイトの構築に当たり、スピーディーに顧客の様々なニーズに応えるため、多様な決済手段やアプリが活用でき、拡張性に優れているShopifyで開発を行いました。土屋鞄製造所のECサイトでは、Instagram上で直接商品を購入したり、サイト上にInstagramのデータを表示したりすることが可能です。
AppSheetは、Google Sheets、Excelなどのデータソースから業務アプリを作成するノーコードツールです。社員名簿やカメラ撮影、電子署名などの様々なアプリを開発できます。
AppSheetは接続することでアプリが自動的に生成されるため、最低限の操作のみで開発ができます。また、様々なGoogleのサービスとの連携させることができます。
https://solutions.appsheet.com/how-to-create-an-app
https://www.appsheet.com/Template/mobilepreview?appId=10b108bd-6f99-4878-91fb-9e31ce31d07f
AppSheetでは、様々なサンプルアプリが公開されています。その一つに、位置情報アプリがあります。携帯のGPS機能からユーザーの位置情報を特定してアプリ内に保存し、地図上の該当位置にピンを配置して周囲の関連するデータをアプリに表示することができます。
Adaloは、ネイティブアプリケーションの開発に特化したノーコードツールです。ネイティブアプリケーションとはOSにアプリケーションストア経由でインストールして使うアプリのことです。
Adaloで開発したネイティブアプリケーションを配信するアプリストアの管理機能から、作成したアプリの各種統計を用いて利用状況を検証することができます。
Adaloで開発されたアプリの例としては、モバイルオーダーアプリであるSmartDishがあります。SmartDishは事前に注文してお店に着くとすぐに料理が出てくるサービスです。Adaloを用いて高速で検証と改善を繰り返すことで、SmartDishは開発スタートから、わずか2ヵ月でユーザー側と飲食店側のアプリをiOS版とAndroid版でリリースされています。
Uipathは、UiPath社が提供しているRPAツールです。RPAツールとは人間の代わりに業務をこなしてくれる自動化ツールです。数あるRPAツールの中でも操作性がよく、プログラミング知識を必要としないことが特徴です。
(RPAやUipathについて、詳しく知りたい方は【事例紹介】導入実例を用いたRPAの紹介 や【UiPath】開発未経験者がUiPathを学習する際、最初に躓くセレクターを解説 参照してください)
Uipathを導入した企業の例としては、株式会社ファミリーマートがあります。株式会社ファミリーマートはRPAツールの中でも、世界的に実績を持ち、開発も容易であるUipathを選びました。Uipathを導入した業務の中でも成果が出たのは売上分析業務でした。今までは、対象店舗リストの抽出等の作業にほぼ1日をかけていましたが、Uipath導入後は、1時間ほどで完了するようになりました。
『ノーコード開発』は非エンジニアでも実行でき、企業の規模や業界、エンジニア人材有無に関わらず、容易にノーコードツールを導入することができると言えます。
一方で、BubbleであればWebアプリ、ShopifyであればECサイトと、ツールごとに開発に適した分野が異なるため、ノーコードツールにより最終的に何を達成したいのか、目的を明確化させたうえでツールを選定することが重要です。
本記事が、ノーコードにご興味をお持ちの企業様にとって有意義な情報提供となれば幸いです。
当社はITコンサルタントとして、RPAを始めとしたITツールの導入を、対象業務の選定/業務設計からシステム導入までトータルサポートしております。
詳しくはこちらをご覧ください。
【参考】
No Code Japan News 「ノーコード開発とは?国内外の企業開発事例の他、ノーコードツールの最新の情報を徹底解説」
アーツアンドクラフツ Consulting & Solution事業部/アナリスト
2020年神奈川大学経営部卒業