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2021.10.04

【事例紹介】導入実例を用いたRPAの紹介

【はじめに】

本コラムは、RPAとは何か?どういった業務がRPAに適しているのか、を確認してみたい人向けに、具体的なRPAの種類や導入事例を紹介していきます。

近年コロナの影響などによりリモートで業務をこなすことも増えてきています。
紙媒体で行っていた業務を電子化する方針に移行している企業も多いかと思います。
そこで注目されているのがRPAとなります。

【RPAとは?】

RPAとは、「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の略です。
これまで人がパソコンで行っていた操作やデータの収集、統合・入力まで人間に代わって実施できるのがRPAの特徴となります。
少子高齢化による労働人口の減少などによりIT人材は常に人手不足に陥っています。そこでプログラミングが必要ではないRPAが注目されています。

【RPAの特徴】

RPAは大きく分けて大きくわけて「デスクトップ型」と「サーバー型」の、2種類があります。

・サーバー型の特徴

違いとしてはサーバー型がPCとサーバーを連携させることで自動操作を実施することが出来ます。
メリットとしてはサーバー上で運用することでロボットの一括管理することができ、導入範囲が大きくなっても対応できることにあります。
デメリットとしてはサーバー導入などネットワークの知識が必要になってくるためハードルが高いということがあげられます。

・デスクトップ型の特徴

デスクトップ型の特徴としては主にパソコンにソフトをインストールして行うものになります。
メリットとしてはサーバーやネットワーク構築の必要が無く気軽に導入することが出来ます。
デメリットとして端末ごとにライセンスを購入する形式が多く規模が拡大するとコストが高くなってくることにあります。

【RPAの種類】

RPAには様々な種類がありますがいくつか特徴についてご紹介します。

・WinActor
日本語に完全対応しており日本人の直感で操作しやすい
サーバー型
デスクトップ型

・BizRobo!
大規模な導入に向いている
サーバー型

・UiPath
直感的な操作が可能
無料トライアルが用意されている
サーバー型
デスクトップ型

【RPAの段階】

RPAの自動化レベルは3段階あると言われており業務の自動化進化の度合いにより下記3クラスに分けることが出来ます。

・クラス1:RPA(Robotic Process Automation)
KPMG Robotic Process Automation(RPA) 定型業務だけを自動化することができます。

・クラス2:EPA(Enhanced Process Automation)
AIと連携して一部の非定型業務を自動化することができます。

・クラス3:CA(Cognitive Automation)
より高度なAIと連携し、業務プロセスの自動化だけでなく意思決定まで自動化できます。
クラス3ではすでに学習機能や認知技術、自然言語解析技術により、不足している情報を補いながら実行するRPAが開発されています。

【RPA導入実例】

今回は導入実例として2つあげさせて頂きます。
どちらもプログラミングの知識は必要なく導入できる事例となっています。
今回導入対象となる会社はA社とB社であり、A社は大手通信会社の通信監視業務を行っている部署でだいぶ前から行っている手法からアップデートされておらず日々手作業でのデータ入力を行っています。
B社は監査業務を行っている会社でありこちらもA社同様に手法がアップデートされていない状態でした。
又、A社ではRPAの導入には試験的な意味もあり比較的簡単に導入できるデスクトップ型のRPAを採用しており、B社では本格的な導入と管理を目指している背景もありサーバー型のRPAを選択しています。

【独自プラットフォームへ工事情報を入力】

・大手通信会社
こちらは監視部門の業務です。工事情報が日々メールで送られてくるのでその内容を独自プラットフォームへと記載していく、これを元に通信障害が工事による影響か否かを確認している業務となっています。5人体制となっており毎月30時間以上消耗していました。

自動化前工程:

1,毎日メールでexcelが添付されてくる
2,添付されてきたファイルを所定のフォルダに移動
3,所定のフォルダにたまったファイルを開き1つ1つプラットフォームに入力していく
4.正しく入力されたか確認するためにスクリーンショットを保存し印刷

という内容でした。
こちら単純な作業ながらメールのチェック漏れ、プラットフォームのレスポンスの悪さから時間がかかる、と非常にミスや工数がかかる業務となっていました。

現場の声

「複数人がメールチェックしているのでファイルを移動しているか確認するのに手間がかかる」
「件数が多いと入力に時間がかかり他の業務に支障が出てしまう」

これを自動化し下記流れとしました。

自動化後工程:

1,RPAに条件を設定し条件に一致したメールに添付されたファイルを所定フォルダに移動
2,起動時刻になった場合所定フォルダにあるexcelファイルを独自プラットフォームへ自動入力する
3,登録した画面のスクリーンショットを保存し自動で印刷
4,人間が印刷したものを確認し登録漏れが無いかチェック

こうすることで人間が対応する箇所は4番の登録できたかの最終チェックのみになりました。
工数は一日1時間かかっていたのが10分となり、年間工数で304時間の効率化に成功しています。

現場の声

「プラットフォームの応答が遅く確認するストレスから解放された」
「単調な認力作業が無くなって非常に助かった!」

【アンケートメール送付と回答共有の自動化】

・監査業務会社
こちら監査部門での業務となっておりアンケート調査収集のためこの業務を毎日行っています。3人体制となっていて、毎月45時間ほど消耗していました。
内容として以前excelでアンケートを取っていた業務をRPAとgoogleプラットフォームを組み合わせることで自動化を行いました。

自動化前工程:

1,各クライアントのメールを作成しexcelアンケートを送付
2,Excelアンケートの回答を受領
3,所定のフォルダにexcelを格納
4,月に一度回答を回答をまとめる作業を実施
5,まとめた結果を関係者に配布

現場の声

「メールを送る際誤送信に気をつけねばならずチェックに時間がかかる」
「回答を送付してくるメール内容がばらばらでチェックしずらい」
「回答をまとめる際漏れが無いか確認するのが大変!」」

自動化後工程:

1,各クライアントにgoogleプラットフォームのURLが入ったメールを送付(メール作成から送付まで自動)
2.回答があった場合プラットフォームのデータベースへ蓄積
3,回答があったアンケートの内容を関係者に共有(毎日一度自動起動

こうすることで回答があった場合即座に共有が可能になりexcelの見落としやまとめに費やす工数が一気に削減可能となりました。
年間工数として486時間の工数削減となっています

現場の声

「回答が即座に共有されお客様とのやりとりが円滑に行えるようになった!」
「メールの送付とチェック作業が無くなってほかの業務に時間を費やすことが出来るようになった!」
「アンケートに関する問い合わせが減って非常にありがたい!」

【まとめ】

近年いろいろなコミュニケーションツールが増えてきていますがメールによるやりとり、ファイル添付などはまだまだ無くなってません。
ここから一気にやり方を一新するというのは非常に時間がかかると思いますがまずはRPAを導入し出来るところから自動化を進めて行くのも良い方法だと感じています。

山口 圭介

アーツアンドクラフツエンジニア/ITコンサルタント。6年間インフラ業務、RPA開発、導入業務を経験。Uipath、SynchRoid、WinActor、Automation Anywhereなど主流のRPAツールをマスター。現在はRPA開発、ITコンサルタントを担当