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デジタルマーケティングで成果を挙げるためには?

はじめに

 デジタルマーケティングで成果を挙げられない理由はなんでしょうか。
 株式会社富士通総研が、年商上位1万社のマーケティング担当者に行った「デジタル化への認識とデジタルマーケティングの実態調査」によると、デジタルマーケティングに取り組んでいる企業のうち「成果を挙げている」と回答した企業は、約37.0%に留まります。
 新型コロナウイルス感染症の影響もあり、ITツール・システムの活用は進んでいますが、期待した成果が得られず悩んでいるという方も多いのではないでしょうか。

 今回の記事では、デジタルマーケティングを導入する場合、導入したが成果がまだ見えてないと感じる場合に確認したい観点について、簡単にご紹介いたします。 

マーケティング施策の全体像を可視化する

 デジタルマーケティングを導入する際や、導入後に見直しを行う場合、まずは現在実施しているマーケティング施策を、以下の観点で網羅的に整理し、関係者間で全体像を共有することが有用です。

  • 施策の最終的な目的
  • ターゲット
  • アプローチ方法
  • アプローチ頻度、タイミング
  • 担当部署
  • アプローチごとの到達目標(KPI)、達成率
  • KPI設定、達成率評価のために収集・管理しているデータ
  • 予算規模

 この際、各項目について不明確・不適当な点がないか確認します。例えば、ターゲットが設定できていると思っている場合でも、認知前(潜在顧客)、認知後購入前(見込み客)、購入後(新規客/リピーター/ファン)といった段階別にわけて施策を実施する必要性はないか、なぜそのタイミングで施策を実施しているのか説明できるか、KPIを設定せずに実施している施策はないか、設定の仕方は適切か、などの見直し観点が考えられるでしょう。全体像を可視化することで、初めてマーケティングの課題も明確になるはずです。

 もちろん、デジタルマーケティング導入以前では、施策の効果を具体的に測定するのが容易でない場合も存在します。例えば、新聞や雑誌といったオフラインメディアへの広告出稿では、実際にどの程度、商品・サービスの認知・購買行動に結び付いたのか、掲載日当日以降の売上などからある程度の予想を立てるほかない場合がほとんどです。また、新商品発売のタイミングでは、複数の施策を同時に実施しており、どの施策が有効だったのか、判断するのが難しいということもありえます。その場合でも、きちんとターゲットを設定し、明確な戦略をもって実施しているか、KPIを設定しうる方法に変更することはできないか、などを振り返ります。

 そして現在の施策のうち、どの点を強化・補足していきたいのか、アプローチできていないターゲットはいないかなどを検討し、明確なKPIを設定した上でデジタルマーケティングを導入することが有用です。

 なお、KPI設定の際に留意点については、以下の記事をあわせてご覧ください。

 【基礎から】デジタルマーケティングにおけるKPIの設計方法

  このように、マーケティング施策の全体像を関係者全員が共有できるように可視化し、不明確、不適切な点を解消していくことが、デジタルマーケティングで成果を出すためのスタートとなります。
 
 こうした見直しを行う中で、KPIを適切に設定するために必要なデータが、十分に収集・管理できていないという課題が明らかになるかもしれません。実際、先に挙げた富士通総研の調査によると、デジタルマーケティングの成果が見えていない企業はKPIの設定割合が低く、KPI設定に不可欠な顧客データの統合、一元的なデータ整備も進んでいないことが分かります。

 デジタルマーケティング導入前には、どのようなデータを収集・管理すべきか、マーケティング施策の全体像と照らし合わせて考えることが有効であると言えるでしょう。導入後、成果が出ていないと感じる場合にも、現在保有しているデータから設定できるという理由でKPIを限定していないか、必要なKPIから考えて不足しているデータがないか見直すことが求められます。 

データの収集・管理

 デジタルマーケティングに必要なデータを収集・管理するにあたっても、留意すべき点があります。

  •  必要なデータを定義し、関係者が必要性を認識する
    データの収集はKPIを適切に設定し、施策の最終的な目的を達成するために行います。この前提を見失ってしまうと、膨大なデータを集めることが目的化してしまい、分析に不要なデータ収集に時間を割いてしまうことになりかねません。
    また、関係者がデータ収集の必要性を認識していない場合、データ入力がただ面倒な作業になり、結果として収集が捗らないという事態に陥ってしまうこともあります。
  •  一元的に管理する
    webサイトの管理は広報担当、広告運用はマーケティング担当、購買データは営業担当と、各部門が個別にデータを管理し、一元化されていないケースも少なくありません。保有しているデータの種類や形式を確認し、部署間でデータを共有できる形で管理することが必要です。場合によってはデータの形式統一、クレンジング、一元的管理のために、適当なツールを導入することも考えられます。
  •  データの更新
    情報が古いままのデータでは、マーケティングに活用することができません。常に最新のデータかどうか確認することが理想的です。

 以上を踏まえ、データの収集・管理を行います。必要なデータは、業界の特性や施策ごとの目的によって異なりますが、一般的には以下のようなデータが挙げられます。

  • 顧客の属性データ
    会員ID・氏名・住所・電話番号・メールアドレス・生年月日(年齢)・職業(勤務先)・学歴・年収(世帯年収)・家族構成・趣味嗜好・会員状態(会員/非会員など)・利用開始日・利用終了日などが考えられます。会員登録や利用申し込みのフォームで入力する情報、アンケートなどから収集します。
    顧客の属性データからは、商品・サービスがどのような層にヒットしているのか、ターゲットにきちんとアプローチできているかを分析することが可能です。
  • 購買データ
    会員ID・購入日・購入店舗(実店舗の場合)、購入商品、購入個数・購入金額・購入頻度・決済手段などが考えられます。実店舗のPOSデータやECサイトの注文・受注履歴などから収集します。
    購買データからは、顧客ニーズの分析や優良顧客の定義を行うことができるでしょう。
  • webサイトデータ
    来訪ユーザー数・ページ閲覧回数・閲覧時間・流入経路・行動の軌跡・問い合わせ数・資料ダウンロード数などが考えられます。アクセス解析ツールを利用して収集し、商品・サービスの認知度向上や購買につながる行動の分析に役立てることが可能です。

 ここで挙げたのはあくまで基礎的なデータであり、実際にはこれらのデータを正しく加工・分析することが必須となります。深い顧客理解のためには、定量データだけでなく、クレームをはじめとする顧客の声、SNSに投稿された文章など定性データを参照することが有用な場合もあります。また、自社保有データのみでなく、競合企業や市場に関するデータが必要になる場面も存在します。そうした場合でも「なぜそのデータが必要なのか」という観点から、データを収集・管理することを忘れてはなりません。 

おわりに

 デジタルマーケティング成功の要因として、マーケティング施策の全体像の可視化、KPIを設定するために必要なデータの収集・管理について簡単にご紹介いたしました。
 新型コロナウイルス感染症の影響などで急激なデジタルシフトが求められる中、新たな施策・ツールを導入しただけで成果を挙げることは困難です。デジタルマーケティング導入前後に関わらず、こうした基本的な振り返りを一度お試しいただいてはいかがでしょうか。 

【参考】

株式会社富士通総研「デジタル化への認識とデジタルマーケティングの実態調査」

株式会社北斗社「BtoBマーケティング施策を成功に導く!課題可視化の方法とは」

株式会社インプレス「デジタルマーケティング成功の鍵はツール導入の前段階にある」

GMOデジタルラボ株式会社「顧客属性の活用方法は?ターゲットを知って集客に役立てる!」

株式会社Magic Moment「なぜCRM内の顧客データを分析に使えないのか?データ活用を阻む8つの原因」

株式会社博報堂アイ・スタジオ「マーケティングにおける『データドリブン』の必要性」

株式会社ブレインパッド「顧客データの収集方法と活用術とは?種類・分析・管理も詳細解説」

東日本電信電話株式会社「なぜデジタルマーケティングは失敗するのか?」

田嶋美由紀

アーツアンドクラフツConsulting & Solution事業部/アナリスト


5F, 1-3-18 Hiroo, Shibuya-ku, Tokyo
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