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2020.10.08

バックオフィス業務効率化のカギ:事例から見るワークフローシステム活用

以前テレワークに必要なITツールを紹介した際に「ワークフローシステム」とは「電子承認システム」であり、電子化された申請書や通知書をあらかじめ決められた作業手順に従い、集配信し、決裁処理を行うことが可能で、場所に制限されず、PCやスマホで簡単に稟議などを申請し、承認することができることを紹介しました。今回はいくつかの事例で実際ワークフローシステムはどのようにバックオフィスの効率を改善するかを紹介します。

背景

 まず背景を説明するすると、ある社員数300名ほどの中堅不動産企業A社があり、経理、人事、総務、開発などの機能を集約する本社以外、全国各地に複数の営業所を所有している。ワークフローシステム導入する前に、全ての申請や稟議は紙のやり取りであり、効率はよくはなかったのです。そして、同企業はRPAを入れて自動化するのをきっかけに、ワークフローシステムも同時導入をしました。今回はこのA社の稟議書管理を例として、実際どのようにワークフローシステム活用していたかを紹介します。

A社の稟議書(申請書)管理

 A社の稟議書は全て紙となっていますが、流れ的には以下のようになっています:

 

ここで主に時間のかかる部分下記になります:

  • 異なる部署間の発送

異なる部署間で印鑑押しする際に、担当が各部署に持参し、行ったり来たりすることが多いです。緊急時は、「10分後に戻る」という場合はその場で印鑑もらうのを待機し、時間の無駄が発生します。

また、特に営業所から本部への稟議書は郵送という形のため、往復3日~1週間かかることは多々あるため、緊急時は社員が稟議書持参し、「印鑑押」のために地方から本社に行く場合が発生します。

  • 進捗状況確認

紙の稟議書になってため、現在どこまで進んでいるかは当然わからないのです。特に期限ギリギリになると、担当がどこまで進んでいるかを確認したくても、どの部署の誰に聞けばよいということも分からなく、その場合わかるまで全関連部署に電話で聞きます。実際A社の稟議書は遅れる傾向があり、この状況はよく発生するのです

  • 差し戻しによる再申請

情報の記載ミスや内容修正などによる差し戻しはよく発生するが、この場合関連部署から稟議書作成者に差し戻し、修正して、再度の提出となります。再度の作成は当然時間かかるが、一番最初から承認してもらわないといけなかったりするので、時間の無駄がおおいです。さらに①で言ったように、異なる拠点間の郵送などの場合、数日か無駄になるというケースもあります。また、たまに「届き先が違う」という現象が起きて、規定上A部署が承認すべきものがB部署に届いたりすることもために発生します。とくに同じ種類の稟議や申請でも条件により承認ルートが変わる場合、ミスがよく発生します。

  • 稟議書の管理

稟議書の承認が終わった後に、保管するために、全て総務部に行き、PDF化するようになっています。毎月数百~千の稟議書(他承認を含む)があるため、スキャンしてPDFをリネームして、最後各部署指定のファイルサーバに保存する一連の作業により、総務の毎月数十時間がかかっています。さらに、紙稟議書の保管に関して、総務から常に「場所が足りない」と困っています。

ワークフローシステムの活用

 以前「電子申請」はA社内で検討されたことはありましたが、各種原因で流され、今回はワークフローシステムの活用は元々総務が効率化したく、この業務は「RPAでどうにかできないか」というところからまた表にでました。

 ご存知のように、RPAはあくまでプログラムなので、紙種類のスキャンは当然できないのです。ただし、元から電子化されている申請書であれば、RPAがその後のリネーム、分類、指定箇所に保管するのが得意です。効率化するため、ワークフローシステムが必須だとA社は決断し、導入しました。結果、総務が元々「PDF化」にかけている数十時間が節約できただけではなく、元々あった問題①~④も多く改善されています。

 まず①関して、ワークフローシステムはPCやスマホ上で承認を行うため、物理的な空間制限がないので、理論上どこでもできますので、移動時間はほぼ無視可能です。

 ②に関して、システムの種類によりますが、ほぼ全てのワークフローシステムは承認の進捗状況すぐ確認できます。下記図はあるワークフローシステムのイメージですが、この申請はどの部署、どの担当者が承認する必要があり、現在どのステップまで進んでいるかは一目瞭然ですので、承認状況の確認したい場合でもすぐ担当者が特定できるので、効率がお幅に向上します。

 ③の場合、まず移動時間がなくなるところは①と同じが、承認先が事前にシステム上設定するため、「届き先が違う」ということがなくなります。下記図のように、条件によって申請ルートが異なっても、基本システム上で対応可能です。

 最後④に関して、こちらはRPAの力により、承認済の申請書は自動で振り分けられますが、仮にRPAがなくても時間の節約にはなります。A社の場合、元々PDF化作業の数十時間のうち6~7割がスキャン作業だったので、ワークフローシステムの導入により、不要になります。

最後に

 今回紹介したのはA社活用の一例に過ぎないが、ワークフローシステム導入により、A人事、営業、経理など各部署の効率向上につながっています。今後機会があればより多くの活用事例や主流ワークフローシステムの紹介などもしたいと思いますので、是非ご参考ください。

 

王 立云

アーツアンドクラフツ Consulting & Solution事業部/マネージャー
2016年上智大学大学院経営学部卒業、大手量販店入社。2018年当社入社、Consulting & Solution事業部にて戦略コンサルティング案件、BRP、RPAを始めた業務改善に伴うITコンサルティングなど、豊富な実績を有する。社内効率化のために、最適なソリューションをご提案いたします。