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店舗のマーケティング力を高めるためのITツールとは?

近年、さまざまな業界でIoT化や業務効率化が叫ばれ、ツールや技術が開発されています。それは、小売業でも例外ではありません。本記事では、小売店舗のマーケティング力を高めるためのIoT/AIを用いたツール(画像解析マーケティングソリューション)について説明していきます。

小売業にけるIT/AI活用

IT化やAI化は様々な業界で叫ばれていますが、働き方改革や新型コロナウイルスによる非接触需要などにより、その重要度は高まっています。

小売業界におけるIT活用として、非接触型の決済方法やセルフレジの導入などが日本国内で浸透していますが、海外では完全無人のデジタル店舗(Amazon GO)が2016年12月からオープンする等、世界的に見てもIT化/AI化の需要が高い業界であると言えるでしょう。

https://www.showcase-gig.com/dig-in/amazongo

小売店舗における集客方法とその課題

小売店舗の集客力を高めるためにはオンラインでのマーケティング手法とオフラインでのマーケティング手法が存在します。本項では、その2つの手法における主な店舗マーケティングの手法について説明します。

オンラインでのマーケティング手法

オンラインでもマーケティング手法として主に以下の3つの方法により小売店舗の集客力をアップさせることができますが、それぞれの手法には課題が存在し、全ての小売店舗が対応できるわけではありません。

①店舗HP(ホームページ)・ブログの制作

店舗HPやブログを運営することで、顧客に商品・サービスの特徴を簡単に伝えることができ、店舗自体の集客や認知度の向上に大きく役に立ちます。しかし、定期的にコンテンツの更新を行い、HPのデザインを管理したり等、情報を絶えず新しくしていく必要があります。

②WEB広告の利用

HP(ホームページ)やブログが検索の上位に表示されると、高い集客効果を得られることができます。しかし、検索の上位に表示されるためには、SEO対策と呼ばれるノウハウが必要で、WEBに関するノウハウを持っていない店舗では難しいでしょう。

③SNS(Twitter、Instagram、Facebook)での広告

店舗がターゲットとしている性別や年齢層に対して、効果的にアプローチができます。ただし、店舗のターゲットがはっきりしていない場合、効果は薄く、費用も増してしまいます。また、継続的に情報を配信したり、動画や画像作成等のノウハウが必要となってくる等、店舗のリソースを多く消費してしまう可能性も存在します。

オフラインでのマーケティング手法

オフラインでのマーケティング手法はとして、主に以下の4つの手法が存在します。オフラインでのマーケティング手法はオンラインでのマーケティング手法に比べ、ノウハウや費用を抑えることができますが、全体として集客力が上がっているかや、顧客の購買意欲を高められているかが定量的に判断しづらい傾向があります。

①店前ポップ(看板や電子公告等)の掲示

②陳列棚・商品のレイアウトの改善

③接客サービスの向上

④来店者の属性(年齢・性別)に合わせた商品の採用

課題解決に向けた小売業界におけるAI/IoT活用

前述で説明したように、小売店舗にけるマーケティング手法としてオンライン型とオフライン型が存在しますが、オンライン型ではSNSやWEBに関するノウハウが必要であったり、オフライン型ではマーケティング手法としての効果を直接的に感じることができなかったり、といったデメリットが存在します。
このような課題を解決するAI/IoTツールとして、様々なツールが存在しますが、本記事ではオフライン型でのマーケティング手法を支援するAI/IoTツールである「店舗解析サービス」ついてご紹介します。

店舗解析サービスとは?

 

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店舗解析ツールとは、店舗に関連する下記のような様々なデータを画像解析技術やセンサーを利用し、集約・分析することで、店舗が実際に行ったマーケティング手法の効果を数値的なデータとして「見える化」が可能なサービスです。
店舗のデータが「見える化」されると、その店舗が行ったマーケティング手法の効果を定量的に分析することができ、個々の店舗に適切なマーケティング手法を確立することができます。

どのような店舗データを収集するのか?その活用方法は?

店舗解析サービスでは、様々な店舗データを画像解析技術やセンサーを用いて収集することができ、収集したデータを基に店舗に適した以下のような施策を実施することができます。個々の店舗に最適な施策やマーケティング手法を確立できるという点が、店舗解析サービスの最大のメリットと言えます。

①来店者数や来店者の属性(年代・性別)
来店者の数や年代、性別に関するデータを収集します。
そのデータを基に取扱う商品の色合いや種類を変更することで、来店者の購買意欲を高めることが可能となります。

②来店者の動線分析
来店者が店内でどのように移動したかを分析します。
来店者の動線が分かれば、商品棚のレイアウトや商品の陳列位置を変更し、来店者が全ての商品に目を向ける機会を生み出すことが可能となります。

③接客率や買上率
店舗スタッフが、来店者に接客対応を行った割合や接客に費やした時間のデータを収集します。また、来店者のうち何%が商品を購入したかを分析します。
この2つのデータの関連性をみることにより、店舗スタッフの接客力の強化の施策を策定することができます。

④店前通行量や入店率
店舗の前を通過した人数や、実際に入店を行った割合に関するデータを収集します。
店前POP(看板)のデザインや位置、向きを変更しながら、このデータを分析することにより、最適な店前POPを作成、配置することができます。

「店舗解析サービス」を使用するための課題

前述のように、店舗解析サービスを用いることで、店舗に最適なマーケティング施策を実施することが可能ですが、以下な導入に際したデメリットも存在します。

①導入コストがかかる
店舗解析サービスは、カメラやセンサーによりデータを収集するツールであるため、カメラやセンサーを設置する費用が必要となります。また、導入時のコストだけではなく、機器のメンテナンスや維持にも費用が生じます。

②収集したデータを効果的に活用/分析できない可能性
カメラやセンサーにより、多くのデータを収集したとしても、データの分析が行えていなかったり(「時間が無い」と後回しにしたり)、目的に則した分析を行えていなかったりすると、結果的に店舗の改善へと繋がらない可能性があるため注意が必要です。

③店舗に合ったシステムを選定するのに手間がかかる
店舗データを取得し、分析するようなシステムは、約20種類のシステムが存在することが分かっています。その中から、店舗のニーズに沿ったシステムを選定するためには、店舗への導入目的(最も改善したい店舗の問題点は何なのか)を的確に分析・把握し、各システムの特徴とのマッチ度を測る必要があります。

「店舗解析サービス」の各種製品とその概要

国内では、様々な店舗解析サービスが存在します。本章では、主な店舗解析サービスとその特徴についてご紹介します。

 

他にも多くの製品が存在しますが、各製品の特長やサポート体制は様々です。店舗に適した製品を選定する必要があります。

まとめ

小売業界で用いられる店舗解析サービスには多くの製品が存在しますが、その特徴も様々です。
各店舗の課題に沿った製品の選定や、マーケティング施策の立案、店舗データの分析手法にも労力がかかります。
店舗解析サービスを導入する際には、導入後のサポート体制を基準に導入を進めていくことで、個々の店舗に適したマーケティング施策を立案することができ、店舗の集客力の向上や、来店者の購買意欲を高めることができ、売上の向上につながるでしょう。

本記事が、小売店舗のマーケティングに悩む方の助けになれば幸いです。

 

【参考】

田中 勇輝

アーツアンドクラフツ Consulting & Solution事業部/アナリスト