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【採用担当者必見】オウンドメディアリクルーティング~採用における「第三の矢」~

採用におけるオウンドメディアの必要性

厚生労働省が発表したデータ(20215)によると、20213月段階における全国の有効求人倍率は1.18倍であり、コロナ禍に陥る以前の2018年度の1.62倍と比較するとやや買い手市場に傾いている現状であることが伺えます。

相対的には採用しやすくなったと捉えられがちですが、理想人材を採用する難しさに大きな変化はなく依然として難しい状況です。また多額の採用コストを求人広告や人材紹介に費やしているにも関わらず、理想的な人材を確保することに苦戦している企業が多いことも事実です。この背景として、少子高齢化による労働人口の減少などの要因により、各企業が欲する理想的な人材獲得が難化していると考えられます。

 

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_18738.html

 

そんな中で、既存の採用手法として主に活用されてきたものが求人広告や人材紹介です。両者は「転職顕在層(=転職したいと思う層)」へのアプローチを主とした手法でしたが、先述の状況からこの既存手法だけでは採用充足は困難となっています。そんな中、近年メジャーになりつつ手法として「オウンドメディア」と呼ばれるものがあります。簡単に説明すると、給与・職務内容・勤務時間などの求人情報のみならず、その企業の魅力点や人材へのメッセージを記載しアクティブに情報発信して転職潜在層(=転職を考えていない層)」へのアプローチを図ることで、自社が転職先の候補として挙がるようにする手法です。また、既存の求人広告+オウンドメディアを組み合わせることで、理想的な人材採用の確率を上昇させる事も可能であると考えます。

今回は、先述した新たな採用手法である「オウンドメディア」にフォーカスを当てながらも既存手法の紹介も合わせて行い、より効果的・先進的な採用手法を紹介させていただきます。

主な採用手法

 

 求人広告

求人広告とは、企業が求人情報を掲載する際に利用するメディアであり、求職者が自発的にオンライン・電話で簡単に応募することが可能です。採用したい職種・雇用形態・年齢・経験・スキルなどに合わせてメディアを選定・利用することが主流で、例えば新卒採用であればマイナビやリクナビ、中途採用であればAMBIen転職、アルバイト採用ならタウンワーク・バイトル、といった形で各社が様々な求人広告を利用しています。

 

メリット:求職者からの高い認知度/担当営業と相談の上、原稿作成可能/原稿作成・入稿のプロセス不要(一部例外有り)

デメリット:求人広告は数多の企業が利用しているため採用競合が多く、募集条件によっては求職者からの応募数が少ない可能性あり/利用時には掲載料金が発生(媒体・プランに寄る)/掲載プランに応じて掲載できる情報量(文章量・写真枚数)に制限があるため、アピールポイントを掲載しきれない可能性あり

 人材紹介

人材紹介とは、企業から依頼を受けた求人内容に対して、その内容に沿った登録求職者を紹介するサービスで、マイナビエージェント・リクルートエージェント・DODAが有名です。求人広告との大きな違いは、企業と求職者の間に担当エージェント(キャリア/リクルーティングアドバイザー)が介入して企業・求職者双方へ綿密なヒアリングを実施して、希望に沿ったマッチングの手伝いを行う点で積極的にマッチングを促す傾向があり、企業・求職者双方へ条件に沿った紹介を行います。コストに関しては、求人情報掲載のみであれば基本的に料金は発生しませんが、マッチングが成立して採用をした場合、内定者の想定年収30-40%紹介料として発生します。

 

メリット:志望意欲が高く、かつ企業が求める人材からの応募が多く、他の採用手法に比べて精度の高い採用活動が可能/求職者への連絡などのやり取りをエージェントが代行

デメリット:他手法と比較して一人あたりの採用コストが高額/応募者への直接連絡は基本的に不可/求職者早期退職した場合企業が支払った紹介料が返還されない可能性あり(契約条件による)

 オウンドメディア(採用ホームページ

 オウンドメディアは、主に自社採用ホームページなどのインターネットサイトを指しますが、それらを活用して採用成功を実現させるためには、求職者に有力な転職先として認知されることが重要であり、認知に向けて積極的に情報発信を行う必要があります。採用ホームページを提供している代表的な企業・サービスとして、エンジャパンのengageやリクルートのジョブオプLight、アイデムのジョブギアなどが挙げられます。採用ホームページは、企業による管理・編集が前提となっているため基本的にコストは発生しませんが、その分検索時の表示順位は低くなっており採用ホームページ単体での集客力は決して強くはありません。そのため、「求人広告+採用ホームページ」など他の手法組み合わせて利用されることもあります。

 

メリット:基本料金無料/文字数・写真枚数の掲載上限が大きく、アピールポイントを余すこと無く掲載可能/プラットフォーム自体提供されるため、文章・写真を掲載するだけの簡単な操作性

デメリット:自社管理のため編集・管理などの手間が発生/求人に関する知識が必須/求人広告などの有料サービスに対してSEO貧弱

 

最適な採用手法

前項では主な採用手法の紹介を行いましたが、理想人材の採用に向けて我々が取るべき最適解とは一体何なのでしょうか。

採用に対する緊急度や企業が置かれている状況に寄りますが、結論として「様々な採用手法を掛け合わせること」が重要であると筆者は考えます。

採用手法を組み合わせる理由として、例えば、SEOは強いものの情報量(文字数・写真枚数)に制限がある求人広告と、SEOは弱いが情報量は多い採用HPを掛け合わせることで、相互に欠点をカバーしながら採用を推し進めることが可能です。

また、その他の理由の一つとして、「情報収集が容易になった」ことが挙げられます。スマートフォン・インターネットの普及により、24時間老若男女問わず気になった・知りたい情報を簡単に検索ができる時世となりました。そんな中、求人広告に掲載されている限られた情報だけで企業を理解し、就職先を選定する人材が減少していることは明白であり、より具体的な情報をリサーチしてから応募へ踏み切る求職者が増加していると考えられます。そういった求職者動向を鑑みた場合、少ない情報のみで自社の魅力を宣伝し応募に至らせることの難易度の高さは想像に難くありません。

更に、採用コスト削減といった観点でも上記手法は効果的であると考えます。通年で求人広告のみを利用した場合、何百万円といったコストがかかってしまうケースも珍しくありません。上記手法の活用により可能な限りでコストを抑えつつも、理想的な人材の確保を進めることが可能です。

人員採用の緊急性が著しく高い、他社よりも莫大なコストを求人広告に支払い続けられる余裕がある、などのケースであれば状況は異なりますが、可能な範囲で採用コストを削減させながらも理想人材の採用を行いたいという意見が大多数であり、コストパフォーマンスに優れた採用を実現させるためには、複数の手法を組み合わせることが重要であると考えます。

 

まとめ

本稿では、オウンドメディア(採用ホームページ)を軸にして一般的な求人サイトと組み合わせた手法を紹介しました。無論この手法がいかなる状況下においても万能というわけではなく、時期や募集職種、人数などの様々な要因に応じて最適な方法を模索・検証・実行する必要があります。そのため、より詳細な採用に関する情報などを、当ブログを通じて継続的に発信させていただければと思います。

本稿で紹介した情報がご覧いただいている皆様の採用活動の糧になれば幸いです。

是非ご活用くださいませ。

 

【参考】

髙木義万

アーツアンドクラフツConsulting & Solution事業部/アナリスト