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2021.01.14

ゼロ経験でも使えるのか:操作性を重視する後発RPAツールレビュー(二)

前回は「操作性」や「使いやすさ」を重視する後発RPAツールの一つ、「アシロボ」を紹介しました。UIの分かりやすさや学習コストの低さという点に関しては評価される一方、Web自動化操作や管理ツールという点には少し物足りない印象でした。今回はもう一つ「使いやすさ」を強調している「ロボオペレータ」、及び最近話題に上がっているクラウド方式RPACoopel」を紹介していきます。

 「使いやすさ」を極めたRPAツール:「ロボオペレータ

ロボオペレータは株式会社アシリレラによって開発された純国産RPAツールです。機能を重視する他社ツールより、元からITに詳しくない現場スタッフでも簡単操作できるように設計されているといわれています。この点に関して前回紹介した「アシロボ」と類似する部分はあるが、今回はこの二つの比較をしながら「ロボオペレータ」の紹介をします。

また、今回試したバージョンは1.4.1.4となります。

UIについて

上記画像がロボオペレータのメインUIになります。メインのアクションをカード式で並んで、「マウス」や「キーボード」など人間が操作する際に近い形で分類をしています。そしてアクションのネーミングも最もシンプルな言葉を使用し、専門用語などによる拒否反応はないといえるでしょう。この点について、アシロボと比べ、デザインなどは異なるが、とても近いイメージです。

画像認識操作

アシロボと同じく、デスクトップアプリを操作する際にいわゆる「オブジェクト認識」ができず、全て「画像認識」で操作する形になります。操作方法はとてもシンプルになっており、下記図のように①~③、三つのステップでクリックなどの操作ができるようになります。ここまではアシロボとさほど変わらないが、精度に関しては少し上の印象でした。アシロボは「色合」や「範囲指定」などこまめに調整しないとうまくいかなかったが、ロボオペレータは全く同じ動作を設定してみて、特に調整などが不要で正常稼働できて、50回繰り返しテストして特に問題なかったのです。

とはいえ、「画像認識」の場合、ツール問わず、とても回避しにくい弱点があるので、そこに関してもいくつか気になるところをテストしてみました。下記の図では「Before」は開発時の環境をしめしており、「After」は条件を変更した後の環境をしめしています。このように、実行の条件を変更して、正常実行するかを試してみました(基本オブジェクト認識の場合問題なく対応できるはず)。結果として、Windowsアップデートは予想通りクリアしました。そして色合い変更、類似画像のジャミング、隠されなどは予想通り失敗しました。意外だったのは、解像度変更して、問題なく実行できたことです。この場合数年前だと100%失敗になるが、画像認識の性能が上がったといえるでしょう。最後、ローカルアプリのポップアップテキスト認識に関して、画像認識のため、文字の読み取りはOCR以外不可能です。ロボオペレータの場合英数字のみOCR認識が可能のため、ここのテストも実際成功していないといえるでしょう。

Web操作

前回アシロボを紹介した際に、Web操作は「オブジェクト認識」が可能だが、実際操作する際に専用ブラウザから「Xpath」のコピーなどが必要で、とても手間がかかる印象でした。それに対して、ロボオペレータは同じくWebで「オブジェクト認識」が可能であり、しかも操作がとても簡単になっています。

下記図のように、四つのステップで操作すれば、サイトの指定箇所に文字入力という動作が実現できて、専用ブラウザ起動や「Xpath」のコピーなどは一切不要でした。ここに関して実際開発する際の手間が大幅に軽減され、学習コストもより低いでしょう。

全体感

アシロボに比べて、「設計理念は類似するが、完成度がより高いツール」という印象でした。とは言って、「月5万円2ライセンス」という安価なアシロボに比べて、ロボオペレータのフル機能版の月額は倍以上ということもあります。それ以外、ロボオペレータの専用管理ツール「ロボマネージャー」もあり、一定規模の管理はアシロボよりしやすいでしょう。二つのツールに関して、コスト重視か、機能/性能重視かの取捨選択になるでしょう。 

完全クラウド方式のRPAツール:「Coopel

今までのRPAツール、サーバー型にしてもクライアント型にしても、officeツールなどのように、一度PCにインストールしてからでないと使用できません。一方、Googleカレンダなどのような、インストールしなくてもブラウザから起動可能なクラウド方式のRPAツールも出始めています。今回はDeNAにより開発された完全クラウド方式RPAツール「Coopel」を紹介したいと思います。

完全クラウド方式:

Coopelの使用を開始するには、ブラウザからサイトにアクセスし、アカウントを作成して、ログインすれば使えるようになります。インストールなど不要でとても便利です。

そして、下記図のように、UIもシンプルで、専門用語がなく、一見「アシロボ」などと似たような感じはしますが、「クラウド方式」というところが一番大きい特徴といえるでしょう。

そして、「Coopel」の大きい特徴としては以下にまります:

  • 全ての操作はクラウド上で完結

ロボット作成時はWebで作成し、そして作成できたものもそのまま自分のアカウント内に保存されます。実行時はWebで実行操作すれば、Coopelのサーバー上で実行されるため、ローカルPCとは全く関係なく実行されています。ローカルPCのスペックに制限されないことや、実行時自分のPCを操作してもロボットの動作に干渉しないメリットある一方、ネットワークが必須や実行速度がやや遅い(サーバーの既定速度)というデメリットもあります。

  • ローカル操作に制限あり

Coopelには「ローカル実行」と「クラウド実行」モードがあります。クラウドで実行でロボットがファイルを生成される場合、自動でCoopelのサーバーに保存されて、必要な場合ユーザーが手動でダウンロードすることになります(下記図のように)。そして、ローカルファイルをインプルファイルとして使用したい場合、「ローカルエンジン」をインストールすれば他ツールとさほど変わらず使えるようになります。

ただし、ローカルにインストールされている会計ソフトなどを操作することができないというデメリットもあります。そのため、実施CoopelWebを操作するロボットしか開発できないという理解でもよいです。

  • 多種類のクラウドサービス対応

Google SpreadsheetMicrosoft OneDirveBoxSlackなどの連携機能は標準対応し、クラウド上にファイル保存やメッセージ転送など簡単にできる。下記図のように、指定OneDriveアカウントに生成したファイルを保存することはできて、さらにOneDriveをローカルPCに自動同期すれば、ある程度ローカルファイル操作できないデメリットの影響が軽減されるでしょう。また、Slackにメッセージ転送などの機能は他ツールより使いやすいです。 

親切なポップアップチュートリアル

チュートリアルやマニュアルはどのツールでもあるが、専用サイトに「チュートリアル」動画が用意されたり、マニュアルファイルがあったりすることは多いです。Coopelはそれと異なり、チュートリアルを完全にツール内に組み込まれています。

下記図がいくつかの事例になりますが、基本マウスを操作したいアクションに置くと、動画付きのポップアップ説明文が出現され、とても分かりやすく説明してくれます。こちらに関してはITに詳しくない現場スタッフでも簡単にわかるといえるでしょう。

全体感

Coopelは完全クラウド方式であり、Web操作やクラウドサービス連携に特化したツールというのが一番大きい感想です。当然現在のクラウド方式は強みもあれば弱みもあるので、要点をまとめると下記のようになります:

PC追加設置不要、操作がシンプルで学習コストが低い、1ライセンス5400円の月額費用が安いなどのメリットがあり、Web操作のみを対象とするロボット開発には向いているでしょう。

終わりに

2回に分けて代表的な後発RPAツールを紹介しましたが、大手のツールに比べて、使いやすさなどを強調し、費用が安い等の特徴があります。そしてクラウド方式など新しいものも出ていて、RPA自体はまだまだ進化していくでしょう。この文章がRPAツールを検討中の方に少し手も参考になれたら幸いです。

 

王 立云

アーツアンドクラフツ Consulting & Solution事業部/マネージャー
2016年上智大学大学院経営学部卒業、大手量販店入社。2018年当社入社、Consulting & Solution事業部にて戦略コンサルティング案件、BRP、RPAを始めた業務改善に伴うITコンサルティングなど、豊富な実績を有する。社内効率化のために、最適なソリューションをご提案いたします。