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★コンサル事業部紹介★コンサルの誰しもが通る道「議事録作成」が上達する考え方のご紹介

筆者の紹介

筆者は、大須賀功(おおすかいさお)と申します。20204月に業界未経験の第2新卒社員として入社、現在はBrand Incubationという部門に所属し、弊社結婚指輪ブランド“ith”を更に飛躍させる一大事業をコンサルタントとして支援するお仕事をしております。

今となっては一人前のコンサルタントとして認めていただき、責任あるお仕事を任せていただけるようになりましたが、そんな筆者も入社12年目頃は下積みの時期があり、その時期に行っていた主要業務の一つが今回紹介する「議事録作成」でした。

議事録作成は新卒コンサルが“必ず”通る道

弊社にコンサルタントとして入社したら、殆どの方が「まずはこの会議の議事録を作ってくれ」と上長に言われると思います。現に筆者は入社してから12年の間で100本以上の議事録を作成しました。もちろんプロジェクトの性質上議事録が必要ない場合もありますが、筆者の同僚や後輩に議事録を作ったことがないという人はいないほど、新卒をはじめ入社間もない社員は議事録作成の業務を求められることが多く、この議事録作成ができてようやく一人前のコンサルタントになるスタートラインに立てると考えております。

今回は議事録作成の内容や、議事録作成を行う上で一番大事な「構造化」の考え方について紹介します。

 

コンサルタントが作る議事録とは?

議事録というと、会議のメモを想定される方が多いのではないかと思います。人によっては「大学の部活やサークル活動で議事録を作ったことあるし、そんなに難しいことないでしょ」と思うかもしれません。事実、私はその一人でした。ただ、今もし大学生のころに作っていたような議事録を上長に提出したら間違いなくこっぴどく叱られます(笑)。それだけコンサルタントに求められる議事録は一般的な議事録と違いがあります。

一般的な議事録との違いを一言で表すなら「内容が構造化されているか」です。コンサルタントが作る議事録も、確かに会議で話した内容の記録という意味では同じです。ただし一般的な議事録は発言者ごとの発言を時系列順に文面化した、いわゆる発言メモに近いものになりますが、このような議事録は全く構造化ができていません。構造化については後程詳しく説明しますが、この構造化という概念こそ議事録だけではなく、コンサルタント達の間で共通言語に近い形で用いられる考え方になります。裏を返せば、新卒社員の皆様には構造化の考え方をいち早く身に着けていただく必要があり、その訓練をするため入社当初は議事録作成を任されることが多くなります。

 

構造化とは?

構造化という用語をWebで検索すると“物事の全体を定義した上で「構成要素」と「構成要素間の関係」を整理する取り組み”という意味と教えてくれると思います。この説明だけだと少しわかりづらいと思いますので、筆者の解釈を加えて構造化を言い表すなら、「成すべきこと、ゴールに対して今やらねばならないことを順序立てて整理すること」です。

この構造化の考え方を用い、家でカレーを作って食べるうえでやるべきことを整理すると以下のようになります。

 

このように、日々何気なく行っていることも、構造化するとやるべきことが整理されて自分が今何をしているか、次に何をすべきかがわかりやすくなります。
コンサルタントは仕事をするうえで常にこのような構造化を行っており、ありとあらゆる業務やコミュニケーションにおいて欠かせない考え方になっております。

 

構造化された議事録とは?

先ほどは「成すべきこと、ゴールに対して今やらねばならないことを順序立てて整理すること」と構造化のことを定義しましたが、コンサルタントの議事録においてはどのように構造化が活かされているのでしょうか。

先ほどの例では自分一人が成すべきことを整理いたしましたが、会議は複数人の会話から成り立つもので、その記録をするための議事録に構造化の考え方って必要なの?と思われるかもしれません。

そう思われる方には、会議を行う目的から振り返ってみると構造化の必要性がわかるかと思います。会議の目的の殆どは、自分たちが次に何を成すべきかを皆で決めることです。決して話し合うという行為を行うことが目的ではありません。会議の後には参加者全員が成すべきこと、次に何をやるべきかをわかっている必要があります。そのため、議事録に記載すべきことはこの後何をするべきかであって、誰が何を発言したかではありません。

つまり、構造化された議事録は「会議の結果決定したゴール及び、次に会議参加者たちがやるべきことを順序立てて整理した文章」になります。

 

コンサルタントの議事録の書き方

これまではコンサルタントの議事録における考え方についてご説明いたしましたが、この後はどのようにコンサルタントが議事録を書いているかをご説明します。

議事録を作成するステップは、大きく分けると以下の4つになります。

①会議を録音・録画する

②会議中にメモを残す

③会議のメモを構造化する

④誤字脱字をチェックする

 

①会議を録音・録画する

初めのうちは、会議に参加しているその場で内容を全て記憶、理解することは非常に困難です。そのため、後で発言内容や会議で用いた資料を振り返ることができるように必ず録音・録画したデータを残すようにしましょう。特にオンライン会議の場合は、録画機能が使える場合が多いためそれらを活用するのが効果的です。しかし、機密保持の観点等から録音・録画を残してはいけない場合もあるため、必ず事前に録音・録画をしても良いかを上長に確認しましょう。

 

②会議中にメモを残す

会議に参加した際、発言を求められる等の手を動かせない状況を除き、何においてもメモを残すことを優先しましょう。会議の中で網羅的にメモを残せれば残せるほど議事録作成の速度は向上します。ただし、前述のとおり議事録は発言メモではないため、発言者の名前や雑談等の、やるべきことに直接関係しないことまでメモに残す必要はありません。
※注意:稀に発言者の名前を議事録に残さねばならない場合もあるので、その際は発言者含めメモしましょう。

メモを残す際、慣れないうちは会議における発言のすべてを書き起こすことをお勧めします。わかりやすくメモするため文章を加工しようとすると、それだけ会議の発言に集中できず聞き漏らしが発生するので、まずは内容をすべてメモすることに注力しましょう。会議中のメモ取りに慣れ、会議の内容に対する理解が深まると自ずとメモをきれいに残せるようになります。
これは私自身の体験ですが、話す速度が早かったりして発言の内容がどうしても聞き取れなかった場合は、会議開始から何分後の発言が聞き取れなかったのかをメモに記入しておくと振り返りが楽になります。

<上長から会議の録音・録画を共有された際のメモについて>
プロジェクトによっては、自身が直接会議に参加せず上長が出席した会議の音源を渡されて議事録を作成する場合があります。その際、わからないところがあるとついつい巻き戻して聞き直したくなると思いますが、これはなるべく行わないでください。
そもそも会議に参加している場合は一時停止、巻き戻しをすることができませんし、初めて聞いてわからないことも後の発言から理解できる場合もあるので、まずは音源を止めずにすべての発言を書き起こすことに集中しましょう。

 

③会議のメモを構造化する

会議が終わったら、まずは自分が書いたメモの構造化を行います。メモを構造化する際は以下の順に整理するとスムーズになります。

  1. メモの内容を会議のアジェンダ別にまとめる
  2. メモの内容をブレットで段落分けする

以下は、それぞれの手順で行うこと、及び気を付けるべきことになります。

1.メモの内容を会議のアジェンダ別にまとめる

会議では基本的に話したい内容をアジェンダとして準備しており、多くの会議では最初にアジェンダを述べたうえで議論を始めます。そして、会議自体も冒頭のアジェンダに沿って議論を展開することがセオリーです。

ただし、ここで注意すべきことは、あくまで上記の進め方はセオリーであって、全ての会議でこのように進行するわけではありません。例えば、議論の過程で準備していなかった新しいアジェンダが発生したり、3つ目のアジェンダについて議論している中、唐突にアジェンダ1の内容に立ち戻って議論したりする場合があります。

このようなときに最も気を付けるべきことこそ、メモの内容を会議のアジェンダ別にまとめることです。


皆で果物の皮を剥いて食べるかどうかの議論をすることになった場合を例に考えてみましょう(弊社の業務でこのような議論をすることはおそらくありませんが笑)。

会議のアジェンダは、

  • リンゴは皮を剥いて食べるか
  • ブドウは皮を剥いて食べるか
  • バナナは皮を剥いて食べるか

というものと仮定します。

例えば、最初のアジェンダである“リンゴは皮を剝いて食べるか”の議論の中で、唐突に誰かが「梨の皮は剥いた方がいい?」という発言をしたとしましょう。その場合、梨の話はリンゴの話の中に含めず別アジェンダとして記載しましょう。

また、“バナナは皮を剝いて食べるか“の議論をしている最中、誰かが”ブドウは皮を剝いて食べるか“に関する話に立ち戻ったとしましょう。その場合、たとえ議論の時系列が前後したとしても、議事録上では”ブドウは皮を剝いて食べるか“のアジェンダの中にまとめましょう。


2.メモの内容をブレットで段落分けする

ブレットとは、WordPowerPointにある“箇条書き”の機能です。Wordだとタスクバーのホームにありますね。

段落分けを行う際に抑えておくべきポイントは、

  • 議論の内容を要点と補足事項ごとに分ける
  • メインブレットとサブブレットを使い分ける

2つになります。

<議論の内容を要点と補足事項ごとに分ける>
議論は会話の中で進行するため、決定事項や次にやるべきこと等の要点と、要点が決まるまでの過程で話していた補足事項2つが入り混じることが度々発生します。
段落分けを行う際は、必ず要点が何か、補足事項がなにかをはっきりとわかるようにします。

<メインブレットとサブブレットを使い分ける>
上記の“要点”と捕捉事項“を段落分けするうえで用いるのがメインブレットサブブレットになります。メインブレットとは、箇条書きされた文章の中で1番左に位置するブレットで、サブブレットはメインブレットより右側に位置するブレット全てを指します。
議事録で段落分けする際は、メインブレットに要点のみ記載し、その要点に至るまでに発生した補足事項は全てサブブレットに記載しましょう。

これら2つを、先ほど例示した果物の皮を剥いて食べるかどうかの議論に沿って実践すると以下のようになります。

このように段落分けをすると、リンゴは皮を剥いて食べるかのアジェンダに対する議論の要点がメインブレットにまとめられ、メインブレットさえ読めばその会議できまったことがわかるようになります。
議事録が構造化されているかの判断基準は、メインブレットさえ読めば会議の要点が網羅的に把握できるかだと考えておりますので、実際に議事録を作成する際にはこちらを意識して構造化をするとよいでしょう。

 

④ 誤字脱字をチェックする

③まで終われば議事録を作成する工程は殆ど完了です。ただ、必ず最後に誤字脱字等のヒューマンエラーが発生していないかを確認しましょう。例えば、いわゆる“てにをは”と呼ばれる助詞、助動詞の使い方に誤りがあったり、文章の編集過程で文字の消し忘れや消しすぎがあったりと、細かなミスがしばしば発生します。
それらを防止するため、筆者は必ず文章を音読して確認しております。音読するとついつい流し読みしてしまうような細かいミスにも気づきやすくなるのでお勧めです。

 

コンサルタントを目指す皆様へ

今回は議事録作成を例に、コンサルタントの業務や考え方の一端を紹介いたしました。もちろん我々コンサルタントは他にも様々な仕事を行っており、日々新しい業務に頭を抱えながらも挑戦し続けています。
ただ、その中でも今回紹介した構造化の考え方は幅広い仕事の中で汎用的に活用できるので、もしも一緒に働く仲間になった暁には是非ともいち早く身に着けていただき、構造化に困った際はこちらの記事を振り返ってもらえると嬉しいです。(入社された際は大須賀に直接聞いていただいても大丈夫です、皆さんのご質問お待ちしています!)

また今後もコンサルティング事業部で実施している取り組みや弊社だから目指すことができるキャリアを随時発信してまいりますので、興味のある方は是非ご覧ください。
「こんな情報を紹介してほしい」「こういった視点の記事を読んでみたい」などの要望がありましたら、弊社問い合わせフォームよりリクエストを頂ければ幸いです。

大須賀功

アーツアンドクラフツConsulting & Solution事業部/コンサルタント/Brand Incubation室

酪農機械系商社での営業を経て2020年四月に入社。
カーボンニュートラル関連のプロジェクトを中心に、製造業やEC等の幅広い業界に対するコンサルティングに従事。
2023年からはBrand Incubation室に参画、弊社結婚指輪ブランド”ith”の事業拡大の支援を実施。