今日は改めてなんですが、会社が創業以来ずっと大切にしていることをお話しします。
私たちが大切にしていること、それは「多様性」です。
私は、そもそも会社は多様な集団だと思ってます。
例えば私の休みの日の交流と言えば同じ出身地の同じ年の男性で今も集まることが多いです。
それに比べて100人程度のこの小さな会社でさえ、私がプライベートでは交流する機会さえないような幅広いジェネレーション、ジェンダー、ソーシャルバックグラウンドの人々がいます。
そんな多様な人たちとコミュニケーションできるだけでも、私は会社という多様な集団に属していることに有り難みを感じます。
実際、自分とは違う能力や価値観を持ったつくり手や職人、コンサル等と肩を並べて仕事が出来るのはとても刺激的ですし、若い方の話はいつも大変興味深く聞かせてもらってます。
そんな多様性を守り、更に深めていきたい。
それは、創業からずっと役員が思い続けていることです。
では、どうすれば多様な集団でいられるのか?
組織(会社)として、そこで働く一人ひとり(社員)として気にするべき三つのことがあります。
一つ目は、「自律性」です。
私たちは時に「プロフェッショナリズム」という言葉も使ってます。
多様な集団は別の役割を担う多くの人で構成されます。
ひらたく言えば、隣の部署がどんな仕事をしているか分からないような状況です。だからこそ、各自が自ら他者の信頼を得なければなりません。
その信頼の源泉となるのがプロフェッショナリズムです。
「この人はしっかりとしたプロフェッショナルだ。だから安心して背中を任せられる。」
この感覚が多様性のベースとなります。
また自律性とは、自ら考え、判断し、信じて実行するという意味もあります。
この「社長より」メールでも何度か出てきましたが、危機においても、平常時においても、自ら考え、判断し、信じて実行するのは、とても勇気ある社会人としての心構えだと思います。
二つ目は、「言論の自由」です。
多様な集団には当然のように沢山の価値観や意見があります。
中には自分の考えと合わないものもあるでしょう。しかし、それを潰してしまったら多様性は維持できません。
昔のフランスの哲学者ヴォルテールという人の有名な言葉があります。
「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」
この姿勢から正しいコミュニケーションが生まれます。
反対の意見を持つ人と、その立場を尊重しながらコミュニケーションするのは大変勇気のいることです。
私にとって直近では、まさに休業を決めた日の銀座アトリエでのつくり手たちとの対話がそれでした。
大切なのは、相手を大切にすること。多様な集団におけるコミュニケーションの基本だと思います。
三つ目、最後は「共通の思い」です。
これは目的とか、ビジョンとか、ゴールとか、コンセプトとか、色々言い換えられることがありますが、要はみんなで何かしら一つを共有しているかということです。
自律性ある個人が、各自の価値観に従い、それぞれ行動する。それだけでは組織として成り立ちません。
だからこそ、私たちは共通の思いを持っています。
それは、「たくさんよりも、ひとつをたいせつに」という思いだったり、
「お客様の為に最良のものづくりを」だったり、
「クライアントにとって最適なソリューションを」だったりします。
また、この危機においては、「みんなの生活基盤をみんなで守る」という共通の思いについて、何度も考えました。
これこそ、多様性を繋ぎ止める扇の要であり、その思いを共有することで会社という組織は成り立っています。
「プロフェッショナル達が、それぞれの価値観を大切に、共通の思いのもと活躍できる会社」
社員みんなでそんな会社にしたい。創業以来、役員が持ち続ける思いです。
先日、ithの新卒研修の際にある人がこう言ってくれました。
「入社以来、家にずっと居て不安だったけど、今は休むことも会社の役に立っているんだよ。という社長のメールの言葉で安心できました。」
この危機において、私たちがずっと大切にしてきた「多様性」をより深めることが少しでも出来たのなら、もっともっと良い会社になれる。そう思いました。
宮﨑
「ともに、つくる」は主にインナーコミュニケーションを目的とした社長ブログです。
アーツアンドクラフツ代表取締役社長。考えるよりも動く現場主義。創業以来一貫して事業の最前線に立ち様々なパートナーと価値をつくりあげる。