AC社長ブログ「ともに、つくる」vol.95

ithなりのブランドの育て方

少し前の出来事ですが、あるジュエリーブランドの役員の方から、ithのアトリエを視察したいという依頼をいただきました。そのブランドは日本を代表すると言っても過言ではなく、申し出は光栄な思いでしたが、突然の依頼で私自身が立ち会うことが難しい状況だったため、当日はアトリエにいたMさんにご案内をお願いしました。

その役員の方と先日お会いした際、彼はithのアトリエやつくり手、そして接客のスタイルに非常に感動された様子でした。さらに、ithが商品ではなく顧客を中心にしたブランドであるという印象を受けたとの感想をいただきました。

 

顧客を中心にしたブランド???

なんだか、とっても素敵なお褒めの言葉をいただいたので、私もその意味を少し考えてみたいと思います。

 

確かにithは変なブランドかもしれません。その役員の方が商品ではなく顧客を・・と敢えて仰ったように、一般的にブランドといえば商品が顔です。それなのに、私たちは商品開発やデザイン、MDといった部署すら社内にありません。その代わり、アトリエのつくり手たちが日々お客様と共にオンリーワンの指輪を創造してます。

お客様へ納品する指輪の最終的な品質保証はつくり手が担っています。もちろん今では、私がithの唯一無二の生産体系を支える最も重要な要と呼んでいる生産管理が実質的にはQCDの責任者ですが、それでもアトリエのつくり手が最終納品をし且つ拒否権を持っているのは変わりません。そして、そんな権限をアトリエ(他社で言うなら店舗)サイドが有しているブランドを私は他に見たことがありません。

お客様が最初にithを発見されるのは、主にブログ、インスタグラム、ithのウェブサイト、および各種広告です。ここで掲載されるビジュアルやコピーなどのクリエイティブ表現の多くが、つくり手が書くブログや撮る写真から生まれているというのも他で聞いたことがない独自性です。

 

それは、つまりithというブランドの価値の大きな部分をアトリエで日々お客様と接するつくり手が創り上げているってことなんだと思います。顧客の接点であり、ブランドの最前線にいるつくり手がブランドを創っていることが、視察にいらっしゃった他ブランドの役員が感じた顧客を中心にしたブランドという印象なんでしょう。そう考え、私はとても誇らしい気分になりました。

 

「たくさんよりも、ひとつをたいせつに」という想いをブランドに関わる一人一人が本当に大切にしながら、その一人一人の日々の思いや頑張りがリアルにブランドを形作る仕組みがある。ithがithであり続ける為にも、それを私自身こうして日頃から思い起こして、大切にしていかないといけないなと改めて思いました。

さあ、年末から続く繁忙期はもう少し続きそうです。今週末の三連休も忙しいと思いますが、みんな、たくさんよりも、ひとつをたいせつに頑張って下さい。

 

宮﨑

「ともに、つくる」は主にインナーコミュニケーションを目的とした社長ブログです。

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宮﨑晋之介

アーツアンドクラフツ代表取締役社長。考えるよりも動く現場主義。創業以来一貫して事業の最前線に立ち様々なパートナーと価値をつくりあげる。