AC社長ブログ「ともに、つくる」vol.90

それとなく入ってくるもの

ithでは顧客接点に立ちブランドの顔となるつくり手の育成に並々ならぬ力を入れてますが、ここ半年ほど教育チームが特に注目しているのが先輩の接客を聞くことの素晴らしい効果です。

ithはお客様と担当となるつくり手の親密なコミュニケーションを大切にしています。それが故に、一般によくあるような担当以外の新人をその人の学びの為にお客様の接客に同席させるようなことをしてきませんでした。

ですので、新人がどれだけ先輩の接客を聞く機会を得られるかは、各アトリエ主任の判断と、そもそものアトリエの構造に依るところが大きいのかなと思ってます。尚、ここで言うアトリエの構造とは、小さいアトリエや、開放的なレイアウトのアトリエでは、新人が例えば一人でPC作業している場合にでも、意識せずとも隣で先輩が接客している様が自然に耳から入ってくるような環境があるという意味です。

 

よく先輩の接客を耳にしているつくり手の話を聞くと、いかに多くのことを学んでいるかが分かります。はじめの打ち解け方から始まり、ブランドの説明やカウンセリングの際にお客様へ投げかける言葉のニュアンス、リングを説明する際のコレクションブックには載っていないその人らしい表現、ロープレでは想定されてないお客様の反応への対応などなど・・・

教育チームでは、これまでもブックをはじめとする育成の為の様々なマテリアルを作ってきてますが、先輩の接客を聞いて得ることは、その数倍、いや数十倍はあります。

ただ、これは教育チームの努力を否定するものではありません。教育チームが作る基盤があり始めて耳から入ってくることが意味を成すのです。そう、例えるなら教育チームが作るのは箱で、その箱の中に先輩の言葉がどんどん入ることで充実していくようなイメージ。最初の箱がなければ、とっ散らかるだけです。

 

惜しいのは、自然に耳から入ってくる構造になってないアトリエでは、新人が意識して聴きにいかなければ、その豊穣な学びの泉に触れることが出来ないこと。今後は教育チームと各アトリエ主任で連携し、新人のその機会を増やすように努力してもらいたいと願っています。

それは、もちろん集中して聴く機会でも良いです。ただ私は「ながら聞き」の機会でも良いのではと思います。脳って不思議なもので、目の前の作業に集中しているつもりでも、周りの音から自分に必要な情報だけは敏感に反応したりするものです。つくり手がPC作業をしながら日常的に先輩の接客が耳から入っている状態で、ふと反応するものって例えば「自分らしい言い回しだな」とか「先週ちょうど困った対応だ」とか意外とその瞬間のその人にとって凄く重要なものだったりします。

大切なのは量。より多く接することだと思いますので、それぞれのアトリエの事情もあると思いますが、ぜひ工夫してみてください。

 

 

話題は変りますが、このそれとなく耳から入ってくることの有用性は、C&S事業部でも検証してみる価値があるのではと考えています。

コロナ以来、リモートワークが主であったC&S事業部は、各チーム毎に決められた日には全員出社という取り組みが始まっています。なぜ出社するのかって考えた時に、管理がし易いとか、従業員のコンディションをよく知る為とか、理由は色々とあるのかもしれませんが、私はこの人が集まることによる「それとなく効果」というものに一番期待しています。

 

米国のテック、コンサル、金融などでは経営サイドが出社の必要性を強く訴えているようです。彼ら経営陣もなんとなくでは出社を強いることはないでしょうから理由はあるのだと思いますが、それが単に管理し易いからのような陳腐な理由ではないと思います。

やはり彼らが見てるのは一人の限界と、集団によるシンジー効果なのではないでしょうか。一人で上げられる生産性の限界を超えるには集団による何らかの作用が必要であると考えているのでしょう。特に生産性(給与水準)が最も高い分野の企業から出社回帰しようとしている米国の状況を見ると、そう思わずにいられません。

「それとなく効果」もそんな集団によるシナジー効果の一つなのではないでしょうか。

 

ひるがえってC&S事業部の出社日の状況を見てると、一つの机に固まって座るように工夫していたり、好きなようにバラバラに座っていたり、その方針はチームによって分かれているようです。せっかく出社するのだったら、意識的に「それとなく効果」が発揮される環境を作ってみるのもアリではないでしょうか。まずは各チームで話し合ってみてください。

 

以上、最近気になっている「それとなく効果」の話でした。

 

宮﨑

「ともに、つくる」は主にインナーコミュニケーションを目的とした社長ブログです。

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宮﨑晋之介

アーツアンドクラフツ代表取締役社長。考えるよりも動く現場主義。創業以来一貫して事業の最前線に立ち様々なパートナーと価値をつくりあげる。