AC社長ブログ「ともに、つくる」vol.89

つくり手像

 

早いもので、10月もあと僅か。11月の半ばからはいよいよブライダルジュエリー業界の繁忙期に突入です。

毎年つくり手は4月から10月くらいまでを自己のレベル向上の期間に充て、繁忙期が始まるとそこから2月末くらいまでは、ひっきりなしにお客様対応の忙しい日々が続きます。

 

つくり手という呼称はith独特のものです。

元々、一人の職人であった高橋亜結が吉祥寺にひらいた小さなアトリエがithの起源。お客様と職人が膝を突き合わせて世界にたった一つの指輪をともにつくりあげていくのが私たちの理想です。

もちろん今のつくり手は高橋と違い職人ではありません。しかし、ithの理想を実現する存在です。そこに一般的なジュエリーの販売員と大きく異なるithのつくり手像があります。

 

第一に、つくり手にはものづくりの知識が必要です。

指輪は物理的なモノです。モノである以上、出来ることと出来ないことは必ずあります。例えば、石の大きさに対して幅や厚みが足りなければ当たり前ですが石留めできません。その実現可能性を見極めるのがものづくりの知識です。職人のようにスキルを極める必要まではありませんが、少なくとも何が出来て何が出来ないのか分からなければ、お客様のご要望に応えることはできないでしょう。

 

第二に、つくり手にはデザインの知識が必要です。

つくり手は、お客様のイメージを具現化していく存在ですが、それは単にお客様のご要望を丸ごと聞けば良いという訳ではありません。お客様の漠然としたイメージを優れた美観の指輪としてアウトプットする為には、デザインの知識は必須です。デザインとは感性ではなく、どれだけ法則を知り、どれだけ様々なデザインの指輪を見て触れたかで育まれます。

 

まず、ここまでの二つの特徴を見るだけでも、つくり手は単にコミュ力が高ければ務まる仕事ではないことが分かります。実際のところは、とにかく知識、知識、知識です。つくり手の知識のレベルによって、提案の質は大きく変わります。すべてのお客様が一生に一回である以上、これはとても大きな責任です。

 

それらに加えて第三に、つくり手にはもちろん高いコミュニケーションスキルも必要です。

ただ、つくり手に求められるコミュニケーションのスタイルは独特です。一般的にカッチリとした応対、言葉が良いとされる業界にあって、より等身大というか、形式張らない自分らしいスタイルが求められます。目指すのはお客様にアトリエという空間を満喫してもらうことです。形式がなく個人にその方法を委ねられているから新人の頃は難しいと感じたつくり手も多いようです。

 

こうやって書き連ねていくと、改めてつくり手は難しい仕事だな〜と感心してしまいます。

ただし知識とスキルは一日にて成るものではありません。理想のつくり手となるには継続的な努力が必要です。繁忙期まであと僅か、つくり手のみんなは、この一年で更に成長した自分でお客様をお迎えする為にも、学びの最後の追い込みを頑張りましょう!

 

宮﨑

「ともに、つくる」は主にインナーコミュニケーションを目的とした社長ブログです。

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宮﨑晋之介

アーツアンドクラフツ代表取締役社長。考えるよりも動く現場主義。創業以来一貫して事業の最前線に立ち様々なパートナーと価値をつくりあげる。