AC社長ブログ「ともに、つくる」vol.87

リモートワーク考

当社には接客やものづくりの現場から、マーケ、システム開発、管理部のようなバックエンド、クライアント業務に従事するコンサルまで多様な職種が存在します。その中の幾つかの職種にはリモートワークが導入されています。今回はこのリモートワークについて少し考えてみましょう。

 

アフターコロナのリモートワークについては、当社に限らず様々な業界、企業でその運用について活発に議論されています。最近の大きな流れで言えば、GAFAMやウォール街などはオフィス回帰を志向しているというニュースをよく目にしますし、日本の大企業が結構リモート環境を維持していこうとしているような話も聞きます。

これって、私にとっては意外というか、先入観としては先進的な欧米企業の方がリモートを推進し、旧態依然とした日本企業はオフィス勤務に戻ると思っていました。

 

まあ、まだ社会変化の途中段階ですので断定はできませんが、結局は超絶高い報酬をもらう欧米トップビジネスマンはギリギリまで働いて報酬に見合うアウトプットを出す為には自己管理だけでは足りず集団による切磋琢磨が必要だと考えられているのかな。それはそれで身も蓋もない気がしますが。。

一方で、元来それほど報酬に多くの差をつけない日本企業はリモートワークを時間の融通としてワークライフバランスのメリットとして捉えている感があるような気がします。リモートワークを語る際には、仕事の効率性や生産性をベースにされることが多いですが、今のところニュースで見聞きする大きな会社の動向に関する限り、特に日本では論点がそれだけではないような気もしますね。

 

効率性や生産性、はたまた企業の論理とか色々と視点はあるかと思いますが、私からは敢えてそれら定番を外したスタイルという概念を提唱したいと思います。

私は30代中盤まで以前働いていた会社でクライアント業務に従事していました。基本的に長時間労働、時には徹夜もありの環境で、逆に少しでも時間が空いたら同僚と刹那的に飲み明かす日々。そんな私がアーツアンドクラフツを創業する際に選んだ街が吉祥寺でした。その頃の吉祥寺はハード系ビジネスマンだった私にとって憧れの異世界で、それまで知り得なかったお店を営む自営業者さん、作家さん、職人さんのような職種の方々と生まれて初めて友人になりました。

 

私が、彼ら、彼女らから感じたのはスタイルです。

それまでの私は、プロジェクトの都合で朝も夜もない世界の中で、自分自身で毎日の時間を管理できていませんでした。

対して、私の出会った吉祥寺の住人たちの多くは習慣をとても大切にしてました。それは、同じ時間に起きたりお店に行ったりすることもそうですし、仕事の前や後に必ず行うルーチンのようなものがあったり、当時の私とは全く違う世界観で、私にとってそれらはとっても豊かに見えました。

スタイルを分かりやすく言うならば、仕事に振り回されない、自分で毎日をコントロールしている感じなのかな。

 

リモートワークを考える際に、そういったスタイルのような概念も取り入れられたら良いなと思います。

私としてはオフィスでの仕事、自宅での仕事、どちらかに肩入れする気はありません。各事業部、各部署の仕事内容において、それぞれ考えてもらえれば良いと思っています。

ただ、私が知り合ってきた吉祥寺の住人たちは、お店とか工房とか自宅とは別の場所にセカンドプレイスを設けること、なんなら加えて行きつけのカフェのようなサードプレイスまで持つことで日々を習慣にされている方が多かった気がします。場所の移動という行為はスタイルある日々にとって結構重要なんじゃないかな。

それに倣って、私も基本的に毎朝同じ時間に家を出るようにはしています。アフターコロナからは、加えて毎日スーツを着て気持ちスイッチ入れるようにしました。私の場合は、特に自己管理が苦手な方だったので、そうやって場所の移動や身なりの変化など、1日の中に多くのスイッチを組み込むことで習慣を作るように心がけてます。

 

もちろん仕事の効率を考えてリモートワークを取り入れるのは結構なことです。ただ、その中にも日々たとえばカフェで仕事する時間を作ったり、週に何度かはオフィスに来たり、自分なりのルーチンを確立することで、自分のスタイルって出来上がっていくんじゃないでしょうか。

あとは、これは特にクライアント業務とかでは大変難しいことだとは思いますが、仕事に時間を支配されるのではなく、可能な限り毎日を自分でコントロールする気持ちを持つこと。本質的には、リモート環境も、オフィス環境も、これを実現する為に、自分のスタイルに合わせて選んでいくべきものなのではないかな。

 

現在、特にC&S事業部では、生産性、自己責任、育成、リテンション、自由裁量など様々な視点からリモートorオフィス議論が語られていますが、時には肩の力を抜いて「あの人スタイルあるね〜」みたいな緩い視点も入れてもらえればと思います(笑)

 

宮﨑

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宮﨑晋之介

アーツアンドクラフツ代表取締役社長。考えるよりも動く現場主義。創業以来一貫して事業の最前線に立ち様々なパートナーと価値をつくりあげる。