AC社長ブログ「ともに、つくる」vol.79

DIYな海外進出

前回、路地裏ブランドという私たちの独自性と海外挑戦の意味について書き記しましたが、今回もその続きです。

従来のブランドとは違ったビジネスモデルである路地裏ブランド。それを支えるのは、SNS・WEBマーケティング、顧客接点としてのアトリエづくり、独自の接客スタイルと教育体制、全ての顧客へオーダーメイドで対応するものづくりの仕組み、これら全てをつなぐ自社構築の基幹システムです。

いわゆるビジネスにおけるバリューチェーンの各ポイント毎に高い独自性を構築することで、従来の常識ではうまくいかないだろうと考えられていたことを可能にしています。

(路地裏ブランドって言っても、なんとなく一等地ではなく路地裏に出してます〜的な単純な話ではなく、紐解くと中には様々な創意工夫とみんなの努力が詰まっているってことですね♩)

 

そして当社の最大の特徴は、そのバリューチェーン全体を自分たちの手で作りたがるところじゃないかなと、私は思っています。

これまでの当社の歴史を振り返ってみると、一般的な会社だったら外注のプロに頼むだろうことも、必ずまず自分たちでつくろうとします。そして大抵うまくいかない(笑)、そんで創意工夫し出す。結果的に世間によくあるものとは違う独自のものが出来上がる。その繰り返しです。

独自性と言えばステキなんですが、毎回最初は必ずといってよいほど失敗して、そこから立て直し始めるので、コストと時間と労力は人一倍かかるのがネック。

(実はこれブランド事業部だけでなく、コンサルティングの事業部の方も同じなので、おそらくこの組織の随分と根深いところにある性格とか生き方のようなもんじゃないかな。あるいはArts & Craftsという社名にしたサガ。)

 

私はこのやり方をDIY経営とか、呼んでます。

実は、海外へ挑戦する際に、このDIY経営がとっても活きることを最近理解してきました!

 

一般的に中小企業の海外進出は、現地の代理店に丸投げするか、駐在員に丸投げするかの二択となることが多いようです。しかし、中小企業レベルで良い代理店に巡り合うのは稀ですし、また自社のトップ社員を海外という新規事業にアサインするのは困難であることが多いです。結果的に、この丸投げ路線はうまくいかない可能性が高くなってしまいがちです。

対して、私たちは今回の海外進出に際して、現地の代理店は一切挟まず、また現地管理者という立場の駐在員を置くことはしていません。

 

日本と同じマーケティングチームがシンガポール、台湾の集客をコントロールし、現地採用のスタッフに日本と同じ研修を日本からオンラインで施し、お客様からご成約いただけば日本と同じシステムで受注から生産管理まで行う。日本を起点に飛び回る事業部長は現地と常にオンラインで密なやり取りをする。

例えば福岡にアトリエを出すのと同じような感覚で、海外の都市にも出て行く。そんな海外への進出のイメージでやっています。もちろん、そんなに簡単ではないですし、トラブルは山盛りです。ただ、少なくとも関わるみんながが日本と同じやり方を信じて、自分たち自身の手で事業を進められることは、この上なく強いです。

 

なぜ、そんなことが出来るのか?

それは、全ての工程がDX化されているからです。集客は日本と同じSNS・WEBメディアを使うので管理画面は同じですしコツも一緒。研修は通訳を挟みますが、各マテリアルは現地の言葉に翻訳され、オンラインmtgツールで実施。基幹システムは翻訳ツールを組み込むことで文字ベースのコミュニケーションは言語を超えられる。今の時代、フリーのものを含め、デジタルツールをフル活用すれば、ローコストで海外へダイレクトにつながることが出来ます。

そして、その根底にあるのは、もともとDIYで全て自分たちで作ってきたからこそ、熟知する仕組みを速やかにDXすることが出来るという点です。これが借り物の仕組みだったり、自分が把握していないお仕着せの仕組みだと、そういう訳にはいきません。

 

先日、経産省の中小企業海外進出を支援するチームと意見交換をする機会がありましたが、このDIYだからこそ可能なDX化によるローコストな海外進出について、とても注目されていらっしゃいました。

路地裏ブランドとは、これまで欧米企業の独壇場であったグローバルなブランド市場における、日本発の一つの新しい可能性です。来期からは、この可能性を世界で戦えるモデルとして確立していきたいと考えています。その為の、C&S事業部とブランド事業部を跨ぐ新たな横断プロジェクトも発足、、、おっと、その辺の話は、また次回。

 

宮﨑

「ともに、つくる」は主にインナーコミュニケーションを目的とした社長ブログです。

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宮﨑晋之介

アーツアンドクラフツ代表取締役社長。考えるよりも動く現場主義。創業以来一貫して事業の最前線に立ち様々なパートナーと価値をつくりあげる。