AC社長ブログ「ともに、つくる」vol.77

入社式2023

本年はブランド事業部に3名、C&S事業部に2名、計5名の新卒社員が入社しました。アフターコロナを見越して大企業をはじめ多くの会社が採用数を増やした結果、この一年は人材獲得競争が激化してます。そんな環境下でも、アーツアンドクラフツを選び、入社してくれた若い5名の前途を洋々たるものにすべく私たち先輩も頑張りたいですね。

それでは、今年の入社式祝辞を共有します。

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新入社員の皆さん、アーツアンドクラフツへようこそ。入社おめでとうございます。

いきなりですが、皆さんが社会人となるこの2023年は、近い将来に働き方の一大転換期の始まりとして記されることになるかもしれません。

 

まずは私の新卒の頃の話を聞いてください。

私は皆さんがまさに生まれた頃、2001年に街の小さなイベント会社へ入社しました。初めの頃の私の仕事といえば、まずは電話の取り次ぎ。毎日膨大な電話がかかってくるのですが、それを取り次ぐことで先輩や取引先の名前を覚えたものです。

大変なのはなんと言ってもコピー。当時は会社に数台しかパソコンがなく、まだ手書きの書類も結構ありました。たいてい夜に翌日の会議の資料が出来上がるのですが、かなりの頻度でコピー機が紙詰まりし、泣く泣く朝までなんてのもありました。

そして、お使い。銀座へ会議資料を届け、帰りに赤坂で書類をピックアップてな感じで、上京者にとっては地下鉄の路線図がダンジョンマップでしたね。

 

えっ、皆さん、別にオジサンの平成昔話を聞きたい訳でないって?

いえいえ、私も思い出に浸りたいのではありません。ポイントは、この私の懐かしの仕事がその後の数年でこの世から消え去ったという事実です。

その後この会社は広告プロモーション分野におけるトップ企業に成長しましたが、今の新卒は入社して直ぐからインターネット使って調査し、パワーポイント使って企画書を作ってます。

 

そして、いま私たちの目の前に現れたのは、AIです。

AIが私たちの仕事へどんな影響を与えるのか。私なんかのレベルでは難しいことは良く分かりません。ただ私が知っているのは、若い頃にITという代物が生活や仕事にスーと侵入してきて、いつの間にか多くの業務が失くなったり、カタチを変えたという実体験です。

 

そこで、本日はこれから社会人になる皆さんへ私から「AIに負けない仕事術」のアドバイスを送りたいと思います。

それは、「結果よりも、過程を楽しもう」です。

 

皆さんは、これから社会人となるにあたり、「結果」という言葉を多く聞くことになるでしょう。

結果を出せ!

結果から逆算して考えろ!

 

結果はもちろん大切です。しかし、単純に結果から逆算して動いていては、AIに勝てるはずがありません。

私が考える「過程を楽しむ」というのは、仕事において自分をワクワク、ドキドキ、ヒリヒリ、ハラハラする環境に置くことです。

じゃあ、どうやってドキドキ、ハラハラするか?

それは、結果が見えないようにすること。結果の予測がつかない状況を作り出すことだと思います。

 

実は将棋の名人たちは既に似たような方法を使っていて、彼らがAIと対局する時は、定石では絶対に勝てません。そこで中盤に自分でも先が見えない、時に自分を敢えて不利に追い込むような無茶な一手を打つことで、ゲーム自体を分からなくする。そうして、結果の見えない過程をもがくことで、予測もしない展開を経て、AIに勝てる可能性が出てくるのだそうです。

 

そもそも皆さんは、結果なんて見えないよ〜って思ってますよね。もちろん、何もかも初めての皆さんにとってはどんな仕事でも結果が見えない過程であり、ドキドキ、ハラハラすることでしょう。

しかし、皆さんもこれから真面目に仕事へ取り組み、自分の専門とか強みとかを身につけていくと、結果の予測がちゃんとつくようになることでしょう。

例えば、接客においてお客様と数分話しただけでお客様の気持ちや考えが見えたり、コンサルにおいてクライアントの状況を少し聞いただけで課題と解決策のイメージが湧いてきたり、皆さんも必ずそうなっていきます。

それ自体は素晴らしい成長です。ただ、その時に少しだけ今日のアドバイスを思い出してみてください。

 

将棋の名人と同じように、少しだけ無茶してみる。もしくは無理してみる。そうすることで結果の見える予定調和の過程から、結果の見えないドキドキ、ヒリヒリする過程が蘇ります。そして、それを楽しむことが大切です。

無茶って、別の言い方をすると、過剰な気だと思ってます。気合いとか気迫とか、他にも例えばお客様を思う強い強い気持ちも過剰な気の一つです。そして無理って、非合理的なこと。仕事の過程にそんな人間特有の無茶や無理を突っ込むことが、過程を楽しいものとし、予測もつかない結果を生み出す秘訣なんだと思います。

 

13年前、ここにいる役員と共にこの会社をスタートした時に、今のこの状態を誰も想像すら出来ませんでした。

ただ先の見えないワクワク、ドキドキ、ヒリヒリ、ハラハラの連続の中、気づいたらこんな結果になり、そしてこうして皆さんとも出会えた訳です。

そして、これからの未来も、そんなワクワクやヒリヒリこそが、AIじゃ予測できない私たちの未来を生むのだと信じてます。皆さんと、共にそれを目指したいですね。

 

もう一つ、結果よりも過程を大事にする利点があります。

皆さんも、大人になればなるほど、結果よりも過程の方が愛おしく感じるようになるはずです。私も46歳になりますが、目覚めて愛おしい気持ちになるのはいつも、若い頃に仲間と無茶苦茶になっているような過程の夢を見た朝です。

結果はスキルであり、キャリアであり、それは皆さんの人生を広げるチャンスです。チャンスは大切です。ただ際限無くチャンスを追い求める先に果たして充足感はあるのか。昔の人は足るを知る者は富むと言ったものです。

対して、過程は思い出となり、皆さんの人生を愛おしくする財産になります。思い出はたくさんに越したことはありませんからね。

 

最後は、私の好きな言葉で締めたいと思います。

Carpe Diem

今を生きる。

Carpeはラテン語で花を摘むというようなニュアンスで、Diemは今日とか一日とかだそうです。

これから始まる社会人人生。皆さん、目の前の美しい今日という花を摘んでください。

 

宮﨑

「ともに、つくる」は主にインナーコミュニケーションを目的とした社長ブログです。

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宮﨑晋之介

アーツアンドクラフツ代表取締役社長。考えるよりも動く現場主義。創業以来一貫して事業の最前線に立ち様々なパートナーと価値をつくりあげる。