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「自社の業務改善にCRMを取り入れたいけど、どこから手を付ければいいかわからない…」そのように感じている方は多いのではないでしょうか。
本記事は、そのような各企業のマーケティング担当者様に向けて執筆させていただきました。
記事中では、CRMの中でも世界No.1のシェアを誇る「Salesforce」の導入時によくある失敗パターンを紹介したのち、各ツールの解説を実施しています。
この記事を「Salesforceのどのツール/機能が最も自社に必要なのか?」を検討する一助としていただければ幸いです。
Salesforceとは、CRM(顧客関係管理ツール)の1つで、見込み顧客との接点を作り出して強化し、商談~成約までの流れを一元管理することのできます。
導入件数は世界No.1であり、15万社以上での導入されています。
一見とても便利なツールに思えるSalesforceですが、ただやみくもに導入すればよいというものではありません。
Salesforceは機能が多いため、明確な目的のもと、計画を立てて導入しなければ、思うような効果が得られないことがあります。
ではまず、よくあるSalesforce導入失敗の3パターンを紹介します。
このパターンは、導入の担当者が、業務実施者の具体的な実施事項を考慮しなかった場合に起こります。具体的には、以下のような事例が頻繁に発生しています。
この失敗は、Salesforceの導入開始段階で、各部署の担当者が新しいシステムに順応できず、定着しなかったというケースです。
具体的には、以下のような事例が挙げられます。
このパターンは、Salesforceを導入し、なんとか運用してはいるものの、何らかの原因によって思うような効果を得ることができなかったというものです。
具体的には、以下のような事例が挙げられます。
以上です。いかがだったでしょうか。このようにSalesforce導入にはいくつかの失敗パターンがあります。
その原因のほとんどは「十分に社内にSalesforceのツールの機能/使い方を認知させることができなかったこと」或いは「自社に最適なツール/機能を導入できなかったこと」にあります。
次章では、実際にSalesforceにはどのようなツール/機能があるのか、実際の導入の成功事例を交えながら紹介していきたいと思います。
Sales Cloudは、Salesforceの中で最もポピュラーなツールです。
見込み顧客の情報や営業活動、与実管理などを管理提供して営業支援を行うSFA(営業支援)システムで、取引先の情報と案件の情報を管理して商談を可視化することができます。
商談の見極めから成約まで、一連の営業活動の効率化を図り、成約率向上をサポートしてくれます。
【主な活用シーン】
商談管理
【主な搭載機能】
顧客管理
案件管理
見込み客管理
販売店パートナー管理
売上予測
【導入事例】
M社は以前に一度CRMの導入に失敗した経験がありました。しかし、その経験を受け、Sales Cloudに取引先や取引先責任者、リードなどの情報を登録し、すべての商談・活動をそれらに紐づけて管理するようにしました。
Salesforce Inboxで記録した取引先とのメールでのやり取りや、インサイドセールスのコール内容も同様に管理するようにしました。名刺情報はSansan経由で登録し、顧客への贈り物や送付物などのアナログな接触はオブジェクトで管理するなど、顧客とのあらゆる接点の登録・管理を徹底しました。
そのような情報一元化が、結果として大幅な業務効率改善を成功させ、業績も前年比で130%という結果につながりました。
Service Cloudは、主に顧客とのやりとりを効率化させるためのツールです。
顧客からの問い合わせ情報を管理し、蓄積された社内情報(ナレッジ)をすぐに参照することで適切な回答を可能にします。
メール、電話、チャット、ビデオ通話など、各チャネルに対応しています。
【主な活用シーン】
コールセンターサービス
カスタマーサポートサービス
【主な搭載機能】
顧客問い合わせ対応
顧客自身での問題解決を支援
顧客に応じたカスタマーケア
【導入事例】
複合機などのハードウェアの提供からICTインフラやクラウドサービスの提供も手掛けるR社では、数年前まではコンタクトセンターで電話を受けるオペレーターが、製品・サービス別に構築された管理画面を操作していました。
そのためお客様からの問い合わせに即答することが難しく、結果としてカスタマーエンジニアの現地派遣をお待ちいただくケースも少なくありませんでした。
Service Cloudを導入したことでユーザーに提供中の製品・サービスをService Cloudの画面上で一元管理できるようになり、既存業務の精度とスピードを大きく改善することに成功しました。
また、Service Cloudを活用して、修理依頼を受け付けて手配するといった“受け身”の対応にとどまらず、オペレーターが顧客への積極的な働きかけも行うなど、よりお客様が快適になるようなサービスセンターの機能強化も進められています。
Salesforce Marketing Cloudは、セールスフォースのCRMに蓄積された顧客データを活用し、メール、SNS、Webといったマルチチャネル・デバイスを通し顧客と最適なコミュニケーションを行うことで、お客様一人一人に対するマーケティングの手助けを行うMA(マーケティング自動化)システムです。
特に比較的安価な食品や衣料品を扱う集客型のBtoCビジネスに適していると言われています。
【主な活用シーン】
各チャネルを駆使したB2Cマーケティング
【主な搭載機能】
【導入事例】
正社員からアルバイトまであらゆる求人をカバーしている、求人メディア系のR社では、求人の中でもリピーターが多い「派遣」の分野でユーザーと長期的な関係を築きたいと考えてSalesforce Marketing Cloudの導入に至りました。
導入後にはユーザー分析に取り組み、「初めて利用する人」と「リピーター」の2つのペルソナを作成しました。両方のカスタマージャーニーの中で重複し、モチベーションも高いユーザーを“仕事探し中”ユーザーと定義したうえで積極的にアプローチをしました。
また、ECサイトの鉄板施策“カート放棄”を派遣サービスに置き換え、Salesforce Marketing Cloudを用いた仮説構築とテストをスピーディーに繰り返し、従来の何倍ものコンバージョンを得ました。
さらに、メールテンプレート別の開封やメール内リンクのクリックといった様々な行動ログをユーザーごとに蓄積し、一人ひとりに異なる情報をメールで送信する施策も実施しました。
このような取り組みの結果、CVRを130%改善させることに成功しました。
Marketing Cloud Account Engagement(旧Salesforce Pardot)も、Marketing Cloudと同様、MAツールの一つです。
こちらはCookieの保存期間が10年と長く、顧客との細かいタッチポイントが可視化できることなどから、家や車などの比較的高額な商品を営業マンが提案しながら購買プロセスを進めていくような商談型のビジネスに向いていると言われています。
BtoBビジネスにおいても広くMarketing Cloud Account Engagementが採用されています。
【主な活用シーン】
【主な搭載機能】
【導入事例】
T社(人材・教育会社)は学生や社会人に向けて海外インターンを紹介する事業を行っているスタートアップ企業です。
オフラインイベントに参加した顧客に、Pardot上に設置したアンケートフォームから感想などを投稿してもらうことで、cookieの情報を利用してその後のWeb上の行動履歴が追えるようになりました。
Pardot導入まではオンライン経由で来た顧客の情報しか追えませんでしたが、オンラインとオフラインの両方から顧客の行動を把握することが可能になり、より広範囲でビジネス機会を創出することができるようになりました。
Salesforce Platformでは、Salesforce内で動作するアプリケーションの構築・実行・管理ができ、独自アプリケーションの開発も可能です。
Salesforce Platformは多数の開発プラットフォームの集まりになっており、プログラミングを行わずにマウス操作のみでのアプリ開発と、ApexやVisualforceといった開発環境を利用した複雑なアプリ開発の両方を行えます。そのため、自社に適した方法で開発を行うことができるという導入メリットがあります。
中でもHerokuは、Salesforce Platform内の開発プラットフォームの一つであり、Java、Ruby、Python、PHP、JavaScript、Go などのオープンソース言語で顧客向けのピクセル単位まで完璧なアプリケーションを開発することができる便利な機能を保有しています。
【主な活用シーン】
【主な搭載機能】
【導入事例】
操業当初は社員が3名ほどであったスタートアップ企業のM社(アプリ開発系)では、1年の開発期間で家計簿管理アプリをリリースし、アプリは4年間で100万ダウンロードを超えるヒットを収めました。このアプリを開発するときに使用したのがSalesforce Platform内のプラットフォームの“Heroku”です。
とにかく人手と時間が不足している中、“Heroku Postgres”というデータベースサービスを利用することで、フォロワーデータベースやセキュリティパッチなど自分で作成するのは難しい工程をHerokuに任せ、エンジニアの負担を大幅に減らすことができました。
本記事ではここまで、Salesforce導入の失敗事例のご紹介から、Salesforceのツールごとの搭載機能や導入の成功事例の紹介をしてきました。
本記事でご紹介したMAツール「Salesforce」に限らず、現在のITツールは、効果的に使うことができれば大きな成果をもたらすことが期待できる一方、機能が複雑すぎ、最適な導入の仕方を選択するのが難しくなっている場合が多々見受けられます。
アーツアンドクラフツ株式会社では、IT領域でのコンサルティングを提供しており、導入経験の豊富なコンサルタントが多数在籍しております。
もしITツール/システムの導入に悩まれている方がいらっしゃれば、こちらから気軽にご相談ください。
【参考】
アーツアンドクラフツConsulting & Solution事業部/アシスタント