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RE100とは?参加条件やメリットを解説!

エネルギー・環境問題に根ざした国際的な環境イニシアチブ「RE100」をご存知でしょうか。世界中で地球温暖化や、大気汚染等の環境問題が叫ばれる中、各国が未来の脱炭素社会に向けた目標を掲げています。同時に企業にとっても脱炭素化は大きな課題となっており、企業の脱炭素化への取り組みを促進させるために誕生したのがRE100です。この記事では、今後RE100への参加を考えている企業の担当者や経営者が知っておきたい、RE100への参加条件や、参加するメリット等をご紹介したいと思います。

RE100とは

RE100とは、「Renewable Energy 100%」の頭文字を取った言葉で、企業が自らの事業の使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアチブです。2014年に、イギリスを拠点に活動する国際環境NGOThe Climate Group(TCG)によって発足され、現在ではAppleGoogleNestleIKEAといった世界的な大企業もRE100の参加企業として名を連ねています。

RE100の参加条件

RE100の参加条件は、以下の項目を満たした企業です。

  1. 年間消費電⼒量が100GWh以上である企業

    • 日本企業に関しては、20209月に50GWh以上に要件が緩和されています。また、消費電力量が年間50GWh以下の場合、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)他3団体を協議会として発足した、「再エネ100宣言 RE Action」への参加を推奨されています。
  2. ⽬標年を宣⾔し、事業全体を通じた100%再エネ化にコミットする、もしくは既に100%再エネ化を達成していること。⽬標年の設定は以下の要件を満たすこと

    • 2050年までに100%、2040年までに90%、2030年までに60%と設定されています。
  3. GHGプロトコルで定義される、すべての電⼒に関連するスコープ2 及び発電に係るスコープ1を再エネ化すること

    • スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
    • スコープ2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出

RE100の参加企業数

2022317⽇時点では、国別では24カ国から参加があり、国別参加企業数では、⽇本はアメリカ93社に 次ぐ66社が参加しています。また、参加企業数も年々増加傾向にあり、世界全体で356社まで増加しています。

 

RE100に参加するメリット

続いては、RE100に参加するメリットを解説していきます。

  1. 電力価格高騰のリスク回避

    • 日本の電源構成の多くは石油、石炭、液化天然ガス(LNG)といった化石燃料による火力発電が占めており、その化石燃料のほとんどが中東からの輸入に依存しています。そのため、世界的な燃料費高騰による、電力価格高騰の影響を受ける可能性があります。一方で、再生可能エネルギーは、化石燃料に比べて発電量の安定性は低くなるものの、発電コストが急激に高騰するリスクはありません。
  2. ESG投資において、投資家からの評価が上がる

    • ESG投資とは、従来の財務情報だけでなく、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)という3つの要素も考慮した投資のことを指します。ESG評価の高い企業は事業の社会的意義、成長の持続性など優れた企業特性を持つと評価されるため、RE100への参加も企業としては投資家に対してアピールに繋がります。

RE100で認められている再エネ調達方法

調達方法には、概して以下の3種類があります。

  1. 自家発電

    • 自家発電とは、電気を使用する社屋や建物の敷地内に太陽光発電などの再エネ発電設備を所有し、その発電した電気を自社で使用する方法です。電力会社から買って使う電気から、自家発電の電気に変わることで、電気代が削減できます。一方で、初期投資がかかり、運用コスト・手間がかかる、また、どこでも発電できるとは限らないため、それらの条件が問題ないか事前に検討することが大事になるでしょう。
  2. 再エネ電力メニューの購入

    • こちらは、小売電気事業者等が提供する「再エネ電力メニュー」を購入する方法です。電気料金メニューの切り替えだけで始められ、設置コストや運用コスト・手間もかからないため手軽な調達方法といえます。具体的な例をあげますと、東京電力エネジーパートナーが提供している、水力100%の発電によって提供されるアクアプレミアムや、日本で初めて100%自然エネルギーの電力メニューを提供した、グリーナでんきのGREENa RE 100プラン等がそれにあたります。現在、各事業者はRE100に対応している電力メニューをHPに記載しているため、電力メニューを調達する際はそちらも確認すると良いでしょう。
  3. 再エネ電力証書の購入

    • 再エネ電力証書とは、再生可能エネルギーを利用して発電された電気の「環境価値」を証書として取引ができるようにしたものです。日本で取引されているのはグリーン電力証書、J-クレジット(再エネ)、非化石証書(再エネ指定)の3種類で、これらの再エネ電⼒証書を購入することで、再エネを使用したとみなす仕組みです。

RE100に参加している日本企業の動向

  1. リコー

    • リコーは、日本企業としてRE100に初めて参加した国です。他社に先駆けて、いち早く環境に配慮した経営を行っており、2050年までにバリューチェーン全体のGHG排出ゼロ、事業に必要な電力を100%再生可能エネルギーに切り替えを目標としています。徹底的な省エネと再生可能エネルギーの活用等による取り組みを行っております。
  2. イオン

    • イオンは、2030年までに日本国内の店舗で使用している年間 約71 kWh2020年度)のうち、50%を再生可能エネルギーに切り替える目標を定めています。店舗屋上などへの太陽光発電システムやPPAモデルの導入拡大、各地域での再エネ直接契約を推進し、2030年までに、イオンが国内で運営するショッピングセンターと総合スーパーで使用する電力については、100%再生エネルギー導入を掲げております。
  3. 花王

    • 花王は、2040年カーボンゼロ、2050年カーボンネガティブ実現に向けた活動をしています。具体的には、非化石証書の活用や、コーポレートPPAでの電力購入、自家消費用太陽光発電設備の導入等で電力の再生エネルギー化を進めています。また、国内のすべてのロジスティクス拠点において、使用電力の100%再生エネルギー化も実現しています。2050年カーボンネガティブに向けては、CO2を使用した原料の作成と、自社製品での活用に向けた技術開発に取り組んでいます。

RE100に参加する企業が増えることの意義

日本は、再エネの発電コストが年々低減しているものの、国際標準と比べて再エネの発電コストが高い状態にあります。理由は様々ありますが、そのうちの1つとしては日本の再エネの市場規模が小さいことが挙げられており、諸外国と比べて再エネに関連する産業に投資が回らず、産業の発展が遅れ、コストの高さにつながっています。そのため、RE100に関わらず、こういった環境イニシアチブへの参加企業増加に伴い、再エネ市場が活性化し、エネルギー技術の発達等が起こることで再エネの価格低下につながることは大いに考えられると思います。単に、地球にやさしい、対外的な企業へのアピールが出来るだけではなく、再エネ調達に取り組むということは、コストの面からも巡り巡って各企業に恩恵をもたらすことに繋がるのです。

おわりに

世界中で脱炭素が叫ばれる中、各企業は環境に配慮した経営というものが今後必須になっていきます。そのため、RE100は、今後ますます重要な枠組みになり、多くの企業がこのRE100への参加や取り組みに注力していくことでしょう。本記事が、貴社の環境経営に向けた取り組みの第一歩となれば幸いです。

【参考】

 

中里大帆

アーツアンドクラフツ Consulting & Solution事業部/コンサルタント
外資系企業の日本参入支援や新規事業策定支援等の経営戦略コンサルティング案件の実績を多数保有