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代理店ビジネスにおけるマーケティング手法

メーカーと販売代理店を取り巻く環境

少子高齢化による労働人口の減少、情報技術の発展による消費嗜好の多様化、新興国の台頭による廉価製品の相次ぐリリースなど日本企業を取り巻く環境は大きな課題を抱えています。それらの課題に対応するために各メーカーは製品の高度化を進め、より一層消費者の購買行動に即した製品づくりを進めています。
他方、特定のメーカーと契約し、彼らに代わって顧客に商材を販売する代理店ビジネスにおいては、メーカー側からの製品・サービスの特徴や顧客が得られるメリット、販売方法の説明などの「製品関連情報」がタイムリーに得られず、顧客に具体的かつ効果的な提案ができない、そもそもマーケティングを含めた自社の営業能力が足りず、思うような収益があげられないなどの課題は、業界特有のテーマとしてよく挙げられるものです。
他業界の例に漏れず代理店ビジネスにおいても、デジタルマーケティングの重要性が高まってきています。
B2Cではスマートフォンやタブレットを媒介したモバイルアプリやSNS、B2Bではコーポレートサイトやオウンドメディアというように、多種多様なデジタルメディアを活用した集客がその最たるものです。
本記事では、販売代理店の収益を向上させるためのデジタルマーケティング手法を具体例とともにご紹介いたします。

代理店ビジネスの仕組み

そもそも代理店ビジネスとは、「代理店契約」を結んだ「メーカー」と、そのメーカーの商品やサービスを購入する「顧客」の間に立つ仲介役として商品を販売、コミッション(報酬)を得るビジネスモデルです。
サービスに関する営業活動から契約の手続き、そして受注後の顧客フォローまで一貫して請け負う事業のことを指します。
代表的な代理店ビジネスにおける類型のひとつとして、一般社団法人日本代理店協会が定めている下記の3つが挙げられています。

 

サプライ型

サプライ型の代理店は、「全国から問い合わせ・注文が安定して入る継続的なニーズがある商品・サービス」で作るビジネスモデルです。
自社の社員が全国に飛び回って対応することが難しく、支店・営業所にセールスマンを配置することが出来ない場合、代理店が注文や問い合わせに対応することで販売機会の最大化を目指せます。
例: 電子機器販売代理店(半導体・各種センサー等)

シェア型

シェア型の代理店は、「地域密着の営業・フォローが必要な商品・サービス」で作るビジネスモデルになります。
店頭で販売する場合など、本来であれば商圏が限られてしまうビジネスでは、一定数以上の顧客を獲得することが困難となり、事業拡大を目指すには代理店を募集して商圏を広げることが有用となります。
例: 保険代理店

マーケ型

上記2つに当てはまらないビジネスモデルをマーケ型(=市場開拓型)と呼びます。
サプライ型と異なり新規で顧客を開拓しなければならず、また、シェア型のような商圏がない場合です。既存顧客を紹介するだけのケース、集客を行いクロージングはメーカーが行なうケース、見込客を獲得しクロージングは代理店にメーカーが同行して行なうケースなど様々な形があります。
例: 格安SIM販売代理店

代理店ビジネスにおける集客・販売の課題

上記いずれの類型においても、販売代理店においてはメーカーが製造した商品を販売するための集客力x・販売力が必須となります。
代理店ビジネスでは、フランチャイズに比べて自由度が高い分、オーナーが自分で考えて経営をしていかなければなりません。

  • 価格設定
  •  販売・サービス提供方法
  •  特典やキャンペーン施策
  •  宣伝方法
  •  店舗の規格

これらの要素が自由に決められる分、販売する商材を最大限活用するための戦略を立案し集客が出来なければ、代理店自身の経営不振に陥ります。
契約メーカーの商材・サービスを販売するにあたり、製品情報のインプット、最適な販売手法を見極める必要がありますが、代理店営業においてはそれらを行うにあたり生じる課題があります。前段で述べていたビジネスモデルごとの課題として以下が挙げられます。

サプライ型

  • 商品・サービス自体のニーズが強い故に、明確な購買層を見極めず販売機会を逃している
  • 商品ライフサイクルに伴うニーズの衰退を見逃し、販売数の落ち込みの理由が分からないまま損失に繋がる

シェア型

  • 異なる商圏顧客の購買行動分析が不足しており、思うような集客があがらない
  • 商圏ごとの効果的な販売チャネルが分からず、販売機会を損失している

マーケ型

  • 見込客獲得後の効果的なアプローチが出来ず、売上に繋がらない
  • 商品・サービスの特性、販売データの蓄積・分析がなされておらず、新規顧客の開拓方法、効果的な販売チャネルが不明なため、売上最大化に繋がらない

 代理店ビジネスにおけるデジタルマーケティングの活用方法

先述の課題解決に向け、デジタルマーケティングの観点から代理店ビジネスを成功させるためのポイントを見ていきましょう。
デジタルマーケティングの機能として、主に①「複数チャネルを連動させた販売活動(オムニチャネル)」、②「データドリブンに基づく消費者へのアプローチ」が挙げられます。
①は、ECサイトのように顧客と企業の接点であるWeb上でのチャネルとリアル店舗とを分け隔てることなく、シームレスに統合されている顧客接点のことを指します。これによりWeb、リアル店舗双方での販売機会最大化を目的としています(詳しくは弊社記事の「オムニチャネル化の有用性について」をご覧ください)。
②は、勘や経験ではなく、データに基づいて消費者へのアプローチを行うことです。データを収集・分析・蓄積するためのデジタルツールの導入を行い、効果測定できる環境を整えて適切なKPIを設定し行うマーケティングです。
前項で述べていた課題解決に向けた支援策として、それぞれに効果的なデジタルツールをご紹介致します。

 アクセス解析

サプライ型のビジネスモデルにおいて、Webサイトなどで集客を行っている場合、

  • そのWebサイトがどれくらい見られているか
  • どのページが多く見られているか
  • どういう経路でアクセスされたか

といった観点での分析をもとに、サイトの改善を重ねていくことでお問い合わせ増加→販売数増加を狙います。
一見高度な分析のように見えますが、Googleアナリティクスなど手軽に始められる無料ツールを活用することで、専門スキルが無くても商品購買層の現状把握が可能です。また、アクセス数の推移から、商品としてのニーズの増減が分析できるというメリットがあります。

販売チャネル分析(オムニチャネル化)

店舗か、Webサイトか最適な販売チャネルを商圏ごとに選択していく必要があります。
リアルなマーケティングと同じようにオンライン上の各チャネルも、それぞれユーザーの年齢層、個性、志向性などが異なるため、マーケティングの目的に合わせた適切なチャネルを選択することが大切です。
シェア型代理店ビジネスのような地域密着の営業・フォローが必要な商品・サービスを展開する場合、見込客獲得に向けたチャネルの増設なども考慮し、既存チャネルの強みを活かしつつ集客増加を狙うことが重要となってきます。

リードナーチャリング

新規顧客を開拓し、かつ商圏が確立していないビジネスモデルの場合、潜在顧客を顕在化し売上に繋げることが求められます。その際に有効なのがリードナーチャリングです。
見込客を受注まで導くには、中長期的な関係構築が重要となります。このプロセスを「見える化」して効果的に進める手法がリードナーチャリングです。コンタクトから受注までを複数の段階に分け、それぞれの段階において決められたコミュニケーションを行って、徐々に購入意欲を高めていきます。
見込客が見たコンテンツや反応などのアクセスログを指標化し、見込客がどの段階にいるかを把握します。そして、段階が変わった際にメールを送るなどの新たなアクションを起こします。これはマーケティングオートメーションと呼ばれる、メールを自動的に配信する仕組みを使うと効率的に実施できます。

まとめ

代理店ビジネスにおける各ビジネスモデルの課題に対し、デジタルマーケティングを駆使した施策を見てきました。
従来のマーケティング手法にはなかった効果的なアプローチを行うためにも顧客の興味・関心、居住地域、年代・性別、職業や経済状況まで、様々な企業が提供するツールやソフトウェアを使用していく必要があります。
今回ご紹介した施策以外にも、当社では効果的なマーケティング戦略策定、豊富な実績に基づくコンサルティングサービスを行っております。
マーケティング戦略立案、事業計画策定などで課題を感じていることがありましたら是非お気軽にご相談ください。

【参考】

近藤 慧

アーツアンドクラフツConsulting & Solution事業部/アナリスト


5F, 1-3-18 Hiroo, Shibuya-ku, Tokyo
150-0012 Japan

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