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【初心者必見】展示会でのデジタルマーケティング活用方法

展示会におけるデジタルマーケティングの必要性

株式会社東京ビッグサイトのデータ(平成314月現在)によると、展示会の開催数に大きな変動がない中、展示会の来場者数は減少傾向にあり、伸び悩んでいます。

2013年に開催された展示会数は302件あり、その来場者数は1,512万人であるのに対し2017年には312件開催され、来場者数は1,442万人でした。このデータから分かる通り、一件の展示会に対しての来場者数の減少により、一人ひとりの来場者に対して適切なアプローチをかけ、顧客獲得率の向上を図る必要が出てきました。

本稿では上記事項を鑑み、展示会におけるデジタルマーケティングの必要性、さらにはその具体的な活用法を紹介いたします。 

この状況を改善するにあたり、デジタルマーケティングが有効な手段として考えられます。展示会に来場した人がその企業の顧客となるか、または今後顧客となっていくのかが主要論点ですが、これを推進する手段として最も有効だと思われるものがデジタルマーケティングだからです。

展示会への参加者の分類は下記グラフのようになっております。当然ですが、「今すぐ客」は展示会参加者の全体構成比から考えて人数が少なく、さらには展示会場で商談を取り付けられる可能性も高いため、展示会終了後に特別なアクションは必要になりません。

反対に、「これから客」・「まだまだ客」は展示会期間中にすぐ商談までつながる可能性は低いものの、展示会参加者の全体構成比から考えた人数は多くいるため、効果的なマーケティングを実行することで展示会の効果を大きく変化させることができます。したがって、本稿では「これから客」・「まだまだ客」を顧客化させて行くことに焦点を当てたデジタルマーケティングの活用法を述べていきます。

デジタルマーケティングの活用にあたり、獲得したリード(見込み顧客)がどの購買プロセスに位置しているのかを把握することが重要です。「今すぐ客」は③「検索」の求めている商品の比較検討段階、又は④「購買」の意思決定段階に位置し、「これから客」・「まだまだ客」は①「注意・認知」又は②「興味・関心」に位置しています。

デジタルマーケティングでは①②の段階に位置し、展示会で獲得するリード(見込み顧客)の割合が多い「これから客」・「まだまだ客」が情報提供などを通して③④の段階に進むことを促す必要があります。

 具体的な施策

展示会でのデジタルマーケティングのアプローチを時系列で分解して考えると、告知開始、開催直前、展示会期間、開催後に分けられます。

展示会において告知開始から展示会期間まではすべて、AISAS(購買決定プロセス)の中で①②に顧客を進ませることを目的としています。反対に、③④に進むことを促すには展示会開催後にどのようなアプローチ方法をとっていくかが重要となります。しかしながら、展示会開催後のみに注力してもそもそも①②まで進んでいる人がいなければ無意味なものとなってしまいます。したがって、展示会の告知開始から開催後までの流れに合わせた施策をWebサイト・メール等の活用によって全体設計していくことが求められます。

 告知開始

展示会を開催するにあたり、最初にマーケティング活動として行うアクションはリード(見込み顧客)に対する展示会の紹介メールです。

メールマガジンを定期的に配信している場合は、展示会のWebサイトが公開されるタイミングで会期や展示の見どころ紹介を、メールマガジンを通して行う事が可能です。

定期的なメールマガジンの配信がされていない場合は、事前に見込み顧客リストをクリーニング*1し、展示会の案内を配信停止(オプトアウト*2)の手順を添えたメールで送信する事で、配信側の安全性が担保された告知が可能となります。

告知メールをより活用する為のTipsになりますが、メールから主催社のWebサイトに直接誘導すると自社でコンバージョンを計測する事が難しくなってしまいます。従って、自社でコンバージョン計測したい際には、Webサイトにランディングページを用意し、主催者が設置した事前申し込みフォームへのリンククリックを計測する設定を行うことで告知メールがより活用の幅を広める施策になります。

*1リスト・クリーニング:不適格な名前をリストから削除するプロセス。不適格な名前には、住所や氏名が不正確なもの、リスト削除を希望したリスト、支払不能な購入客、クレジット会社が公表しているブラックリストなどメールリストからは削除する業務をリスト・クリーニングという。

*2オプトアウト:個人情報の第三者提供に関し、個人データの第三者への提供を本人の求めに応じて停止することである。 また、個人情報の第三者提供に当たり、予め以下の4項目を本人に通知するかまたは、本人が容易に知りえる状態に置いておくことをオプトアウト方式と呼ぶ。

開催直前

開催間近では、会期や会場を案内するリマインドメールの配信をすることで、来場者数のアップを促します。(会期中に無料相談会等のイベントを用意している場合は申し込みフォームに誘導することで、見込み度の判別に活用することも可能です。)

展示会期間

展示会は会期が2日以上に亘るケースが多く見受けられます。展示会の初日にブースの紹介記事などを交えて、会期中の来場を促すメールを配信することで、翌日以降の集客を強化する事が出来ます。(展示会期間中はマーケティング部門に時間的な余裕が少ないことが想定されるため、このメール文章等は事前に準備しておき、後は送るのみの状態にしておくことが望ましいです。)

開催後

ここからは展示会開催後の施策で、前述したように最も重要なパートとなります。開催後では、これまでに自社を認知した見込み顧客に興味関心を持たせることがミッションとなります。認知から興味関心に移らせるためには、繰り返し見込み顧客の目に触れ、よりリード(見込み顧客)の意識に自社を刷り込ませる必要があります。以下は上記ミッションを達成するための具体的施策です。

展示会後に行うべきことは、展示会開催期間中にリード(見込み顧客)から収集した名刺をデータ化し、来場のお礼メールを配信することです。メールに反応があり、来場者リストのメールアドレスと一致しないリード(見込み顧客)は別のセグメントで資料ダウンロードやセミナーの案内をメインとしたメールを配信することも留意すべきでしょう。

又、来場しなかったリード(見込み顧客)に対して有益な情報を提供することで、Webサイトへの再訪を促すことも重要となります。

上記は一つの展示会に対してのコミュニケーション設計ですが、年間で復数回の展示会に出展している場合、過去の展示会の来場履歴を活用したセグメンテーションも可能です。リード(見込み顧客)の購買プロセス上の状況(AISASのどこに顧客が位置するのか)を想定したメッセージを用意する事が求められます。

  • 名刺のデジタル化

実際に名刺をデジタル化する際には、どのリード(見込み顧客)が「これから客」なのか判断することは難しく、将来的に「まだまだ客」が「これから客」に移行することも考えられる為、展示会期間中に商談化まで到達した「今すぐ客」を除き、すべての名刺情報をリード(見込み顧客)としてデジタル化しておく事がポイントとなります。

(自社で名刺情報のデジタル化を行う際には、名刺スキャンアプリを使用する事が最もおすすめです。スマホさえあれば、誰でも簡単に名刺をデジタル化することが可能です。)

  • リードナーチャリング

リードナーチャリングとは簡単に言うとリード(見込み顧客)の育成です。展示会期間中に獲得した認知の段階にいるリード(見込み顧客)を育成することにより、興味関心の段階、ひいては商談の段階まで進ませることを目的とします。

労力をかけてリード(見込み顧客)の獲得・デジタル化を行い、いつでも一斉メール配信が可能になったリード(見込み顧客)に対し、来場お礼メールでコミュニケーションを終了としてしまうのは非常に勿体ない行為です。プラスで労力を必要としますが、来場お礼メール後も定期的に情報提供しコミュニケーションを取っていくことで、リードナーチャリングすることが重要です。

リード(見込み顧客)が求めている情報は購買プロセスのフェーズによって異なります。購買プロセスの初期フェーズにいるリード(見込み顧客)は、自社の技術課題に対する解決策を模索している情報収集段階です。業界情報、技術課題に対する解決策としてどのような技術があるのか、といったように、リード(見込み顧客)が情報収集したいと考えている内容にフォーカスしてコンテンツを企画する事が重要です。

(リードナーチャリングの具体的なコンテンツ制作に関しては、別記事で紹介いたします。)

  • スコアリング

スコアリングとは、リード(見込み顧客)を属性や行動によって評価し、自社との相性、お客様の関心領域の理解、そしてアプローチの優先順位を決めるための評価方法です。これにより、営業の効率を向上させる事が出来ます。

有効な手段としては、「これから客」に対し一斉メールでコンテンツを定期配信しながらスコアリングしていくことが考えられます。スコアがある程度溜まったリード(見込み顧客)から順番に、メール・電話等の手法でアプローチしていくことで、営業効率を上げていきます。

(スコアリングの具体的な施策に関しては、別記事で紹介いたします。)

まとめ

本記事で述べている通り、展示会においてデジタルマーケティングを活用することは非常に効果的な施策として考えられます。展示会前・展示会期間中にリードを獲得し、認知に至る数を増やすことも重要な取り組みではありますが、デジタルマーケティングの取り組みにおいては、特に展示会開催後のアプローチが最終的な商談化成功に深く関わってきます。

本記事を参考に展示会におけるデジタルマーケティングの活用を自社で行っていただけたら幸いです。まず、来場お礼メールで終わりにしていたコミュニケーションを継続させていくことからデジタルマーケティング活用の一歩を踏み始めてみてはいかがでしょうか。

 

【参考】

吉田暁壮

アーツアンドクラフツConsulting & Solution事業部/アナリスト。


5F, 1-3-18 Hiroo, Shibuya-ku, Tokyo
150-0012 Japan

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