AC社長ブログ「ともに、つくる」vol.26

生産管理という仕事

この2月をもってithの生産管理を担ってきたマネージャーの阿部さんがご家庭の事情から退職されることとなりました。今後も業務委託の形で状況が許す限りでithのお手伝いをしてもらいますが、生産グループは新たな体制となります。

阿部さんがithにいらっしゃったのは2018年のこと。当時、急激に受注数が伸びているにも関わらず、社内に工房はあれど生産管理という機能はありませんでした。私自身、ものづくりとは、職人がものをつくり納品するという認識しかなく、工房は常に大忙し、徹夜で明日の納品物を仕上げることも日常茶飯事でした。

生産とは予め計画し、その計画の通りに品質、スケジュール、コストを守り、また規模を拡大していくことだと私に教えてくれたのは阿部さんです。

阿部さんは国内最大手のジュエリーブランドの品質管理の責任者から当社へ参画し、今の生産管理機能をつくり上げてくれました。あの時に阿部さんとの出会いがなければ、それ以降のithの成長はなかったでしょう。

日頃からアトリエ、工房と協力工場、そして生産管理の現場を訪れ、それぞれの仕事を理解するにつけて、生産管理という仕事は難しいなとつくづく思います。

アトリエのつくり手はお客様と直接に対面する立場として、常にお客様の満足を追求しています。対して、職人はものと直接に対峙してつくる立場として、常にものの完成度を追求しています。もちろん、その人の中の納得の程度や基準に多少の違いはあれど、基本的に向き合う人やものがはっきり一つなのがつくり手や職人の仕事です。

しかし、その間に立つ生産管理という立場は、つくり手(お客様)と職人(商品)のまさに真ん中で様々な判断をしていかなければいけません。ましてや私たちのようにオーダーメイドで一点ずつものづくりを行うブランドにおいては、お客様と商品を繋ぐ生産管理の重要性は益々高まります。

では、そんな生産管理が判断するに際して寄って立つところは何なのか。私は、倫理観なんだろうと思います。お客様の要望と商品としての完成度を高いレベルで一つにまとめる。つくり手と職人の間で真摯に驕らず常にフラットで流されずに答えを探せる。そんな高い倫理観が求められる仕事なんだと思います。

阿部さんのつくった生産グループは今や11名の高い倫理観を持つチームとなりました。阿部さんには心からお礼を述べたいと思います。また後任は、前職でも阿部さんの右腕として活躍された三野さんを新たな責任者として迎えました。女性のマネージャーとして、阿部さんとはまた違った視点を加えながらチームづくりをしていただけるのではないかと期待しています。生産グループの更なる成長へ、私も共に尽くしていくつもりです。

宮﨑

「ともに、つくる」は主にインナーコミュニケーションを目的とした社長ブログです。

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宮﨑晋之介

アーツアンドクラフツ代表取締役社長。考えるよりも動く現場主義。創業以来一貫して事業の最前線に立ち様々なパートナーと価値をつくりあげる。