当社では、C&S事業部の新卒社員が入社して一年ほど経ったタイミングで、「登竜門プロジェクト」という取り組みを行っています。
C&Sの新卒社員は、一年目はどうしても調査やデータ分析、資料作成など、プロジェクトを支える仕事が中心になります。
もちろんそれらはコンサルタントとしての基礎をつくる上でとても大切な経験なのですが、本来コンサルという仕事は、用意された問いに答えたり、綺麗な資料をつくったりするだけの仕事ではありません。
エンドクライアントの担当者と直接話し、実際の現場へ入り、そもそも何が問題なのかを考え、仮説を立て、それを現場で確かめながら、最終的には何かを変えるところまで持っていく。
そうした、より上流から実証までの一連の仕事を若いうちに経験してもらうことを目的に始めたのが、登竜門プロジェクトです。
そして今年のお題は、ithのアトリエ業務の改善です。
アトリエの現場からは以前から「慢性的に忙しい」という声が上がっていました。
もちろん経営側も、接客が集中する週末が大変なことや、残業時間、日々どのような業務が発生しているのかはデータとして把握しています。
ただ、では実際に一週間ずっと現場にいて、誰が、いつ、何をして、それぞれにどれだけ時間がかかっているのかまで見たことがあるかと言えば、そこまでは出来ていませんでした。
そこで今回は、プロジェクトメンバーが事前に事業部長やマネージャーへのヒアリングを行い、いくつかの仮説を立てた上で、実際に一週間アトリエへ張り付くことにしました。
発生する業務を一つずつ確認し、時間を測り、つくり手のみんなにもヒアリングしながら、業務効率を上げたり、業務負荷を減らしたりする方法を考えていきます。
私も一緒に現場にいましたが、普段は事務所でPCに向かっていることの多いメンバーが、目の前で次々と起きることに驚きながら、つくり手に質問し、メモを取り、時には自分たちの想定と違うことに戸惑っている姿を見るのは、なかなか面白いものでした。
また、今回視察に入ったアトリエには、ブランド事業部の新卒二年目、つまり登竜門メンバーの同期がたまたま配属されていました。
同期という関係も活かしながら、普段の業務を細かく見せてもらったり、色々とヒアリングしたりしている姿も見られました。
事業部が違えば、入社して一年もすると見ている景色は随分と違ってきます。
同じ年に入った仲間が、一方はコンサルタントとして外から現場を見て、もう一方はブランドの中で実際にその仕事を経験しながら、お互いの仕事を通じて一つの課題を考えている。
二つの事業を持つ当社ならではの、なかなか良い光景だったと思います。
そして現場視察の最終日にプロジェクトメンバーと話をしてみると、「事前に思い描いていた現場と、実際の現場はかなり違っていた」「最初に考えていた改善案も、実際の膨大な業務を目の前にすると、そのまま実行できるのか怪しくなってきた」と言っていました。
一週間前には、それなりに見えていると思っていたものが、実際に現場へ入ってみると、むしろ分からないことが増えてしまった。
本人たちは色々と悩んでいるようでしたが、私はそれを聞いて少し嬉しくなりました。
コンサルの仕事って、本来そういうものなんだと思います。
机の上で綺麗に成立する仮説をつくることや、もっともらしい資料をつくることが目的ではありません。
現場に行けば、データには現れない事情もありますし、一つの業務をなくそうとすれば別のところに負荷がかかることもある。
効率だけを考えれば正しくても、お客様へのサービスを損ねてしまえば意味がありません。
だからこそ、見て、聞いて、考えて、一度つくった仮説を疑い、また考え直す。
その繰り返しの先に、本当に現場で使えるソリューションがあるのだと思います。
現場視察の一週間は終わりましたが、登竜門プロジェクトとしては、むしろここからが一番頭を使う時間です。
集めたデータと、一週間かけて理解した現場の実情を持ち帰り、では何を変えるべきなのか、何なら本当に実行できるのかをもう一度考え、最終的には役員全員へ提案します。
今のところ、まだ色々と悩んでいるようです。
一ヶ月後、最初に考えていたものとは随分違う提案になっているかもしれません。
でも、むしろその方が良いのでしょう。
私自身も今回一週間現場にいて、数字や報告を通じて分かっていたつもりのことと、実際にその場にいて一日の流れをずっと見ることには、やはり大きな違いがあると改めて感じました。
プロジェクトメンバーのみんな、そして一週間、日々の仕事をしながら色々な質問や計測に付き合ってくれたアトリエのみんな、本当におつかれさまでした。
あとは一ヶ月後、良い提案を楽しみにしています。
宮﨑
「ともに、つくる」は主にインナーコミュニケーションを目的とした社長ブログです。


アーツアンドクラフツ代表取締役社長。考えるよりも動く現場主義。創業以来一貫して事業の最前線に立ち様々なパートナーと価値をつくりあげる。