AC社長ブログ「ともに、つくる」vol.117

回復への目処

前回ブログの上期について、今週のブランド事業部マネージャー会議で、ここに至る経緯と、今後について共有しました。現在、様々な対策を講じていますが、それらは早速2月から結果に結びついてきており、回復への目処は一旦立ちました。

来週以降、みんなには私から直接、これまでの流れと今後フォーカスしていく施策についての共有を現場毎にしていきます。ここでは先立って概要の報告をします。(事前に読んでもらえれば、当日の話もより深く理解できるかと思います)

 

まず、話したいことはithの強みです。なぜ今さら強みかと言うと、ここを抑えておかないと現状が理解できないからです。少し長くなりますが、お付き合いください。

 

ithはジュエリー業界では、2010年代以降に誕生した最も成功したブランドと言われています。それはブライダル分野に留まらずファッションを含めてもそうですし、ith以降多くの類似アトリエブランドが生まれてますが、ithのような規模となったのは皆無です。

 

では、ithの何が特別だったのか?

従来のジュエリーブランドは販売のみを行い、その他の生産や集客といった機能を外注するのが普通でした。一部のオーダーメイドブランドは生産を内製してますが、ithのように集客→販売→生産、又それらをつなぐシステム開発まで社内で全ての機能を持つブランドはありません。

これらを可能としているが、それら様々な機能を担う豊富な人材とビジネススキルです。(当社がコンサルとブランドを両立していられるのも、この力に依るものです)

 

全ての機能を自ら持つことのメリットとは何か?

それこそ色々とありますが、ここではithの一番の特徴である「つくり手」という存在に絞って二つほど例をあげてみます。

アトリエの全員がお客様のオーダーメイドに対応するithのスタイルは他ブランドにはない強みです。これを支えているのが、独自の生産体系、そしてそれをアトリエとつなげるシステムです。それらを内製で作り上げたからこそ、ithの特別な接客スタイルは成り立っています。

集客を外注せず自分たちで行うことで、お客様は来店前にithを十分に理解していただけます。マーケティングチームは、コンテンツマーケティングという手法で日々お客様を事前にithファンとする努力を続けています。

 

そういったブランドの裏にある仕組みが優れているからこそ、ithは高い顧客満足を提供することが出来ますし、これまで成長してきました。

 

一方で、これら多くの機能を社内に持つことは他のブランドよりも多くのコストがかかります。

コロナ期間中に、業界全体が赤字に陥りました。現在はそこからの回復の過程ですが、このithの強みの源泉である社内の素晴らしい機能をフル活用すべく、売上を成長させていかなければいけないのが今です。そうした理由から、海外への進出、今期からの再出店と進んでいます。

 

その中で、今期二つの誤算がありました。

ひとつはマーケティング体制の引き継ぎがスムーズにいかなかったこと。従来、マーケティングチームを率いていた三浦役員が管理本部長専任となる段階で、ithの強みであるマーケティングがうまく回っていませんでした。これに関しては1月末より集中的に改善に努めており、2月の集客から以前の状態に回復しはじめています。

 

二つ目が、地金の高騰です。特にゴールドは前期から今期にかけて134%と異常な値動きとなっており、リングの原価が上がり続け利益を大きく圧迫しています。こちらは4月に向けて大きな改革に取り組んでおり、ようやく原価をコントロールする目処がついた段階です。

これら二つの問題が繁忙期を襲ったことにより、一時的に大きな打撃を受けましたが、現在は回復へ向かっています。

 

各現場、とくに顧客接点であるアトリエのつくり手には大変な心配をかけてしまいました。申し訳ありません。

来週以降、私から直接みんなへ状況を説明して回りますが、まずは良い状態に戻りつつあることを、とりいそぎ共有します。

その上で、今後より安定した運営ができるよう追加で取り組みをおこなっていきたく考えており、それについても当日お話しするつもりです。

 

独自性のあるブランドを創り上げていく過程においては、いろんな試練があります。今回もそのひとつだと思います。ただ、これまで同様みんなで一致団結して乗り越えていくことで、ithがより良いブランドとなります。引き続き、みんなの協力をよろしくお願いします。

宮﨑

「ともに、つくる」は主にインナーコミュニケーションを目的とした社長ブログです。

宮﨑晋之介

アーツアンドクラフツ代表取締役社長。考えるよりも動く現場主義。創業以来一貫して事業の最前線に立ち様々なパートナーと価値をつくりあげる。