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本記事では、採用面接でよくいただくご質問に所属社員が回答する形式で、弊社事業部についてご紹介しております。
改めまして、筆者は土谷香穂と申します。大学院卒業後、公立高校教員として日々の業務に従事していました。教員として学びの多い環境で仕事ができていたものの、ずっと学校の世界しか知らないままでいいのかという思いがあり、コンサルティング業界に挑戦することにしました。大幅なキャリアチェンジではありましたが、全く別の業界からの転職だったからこそ、未経験入社のリアルをできるだけ率直にお伝えできるのではと考え、この記事を執筆しました。
あくまで筆者個人の経験に基づく内容ではありますが、コンサルティング業界への転職を検討されている方にとって、具体的なイメージを持っていただくための一助となれば幸いです。
入社直後は、クライアントを思ったよりも近くに感じられないという点に、ギャップを感じました。
コンサルタントという職業に対して、多くの方は「クライアントに寄り添い、直接アドバイスをしたりサポートをしたりする仕事」というイメージをお持ちではないでしょうか。もちろんそれは正しいのですが、入社直後から一人前のコンサルタントとして前線に立てるわけではありません。
入社直後は、サポートメンバーとしてプロジェクトに参画します。この段階では、直接クライアントと接する機会はほとんどありません。会議に同席させていただくことはあっても、発言するのはプロジェクトマネージャーやメインメンバーの方々であり、サポートメンバーだった筆者はその後ろで議事録を取りながら会話の流れを追うことで精一杯という日々でした。
冷静に考えれば当然のことです。クライアントは相応の対価を支払って課題解決を依頼しているわけですから、業界未経験者がいきなり窓口に立つわけにはいきません。そのことを頭では理解していても、実際に経験すると「意外とクライアントを遠く感じるものだ」と感じたのが正直なところでした。
そこで意識するようにしたのが、上司・メインメンバーを「最初のクライアント」と捉えることです。作成した議事録や調査資料を上司に提出する際に、「これはクライアントへの提出物だ」という緊張感と責任感を持つことで、同じ作業でも自身の成長速度が変わると考えています。こういった姿勢でアウトプットを提出することを繰り返せば、クライアントにそのまま提出できるようなクオリティの成果物を徐々に作成できるようになっていきます。成果物のクオリティが向上すれば、任せていただける作業の分量が増え、それがゆくゆくは、当初想定していたような「クライアントと直接コミュニケーションをとりながら仕事をする」機会を得るチャンスにつながっていくのではないかと思っています。まずは目の前の仕事で、着実に価値を出すことに集中することが、未経験入社における最初の重要なステップといえます。
入社直後に筆者が経験した主な業務は、大きく分けて以下の4つです。
最初に任される業務の筆頭が、議事録作成です。「議事録であれば難しくないだろう」と思われる方もいるかもしれませんが、これが想像以上に奥深い作業です。
コンサルティングにおける議事録は、単に「会議で話されたことを記録する」ものではありません。「誰が何を発言したか」ではなく「何が決定し、何が宿題として残り、次にどう進むか」を整理して伝えることが求められます。会議中のやり取りをそのまま文章にするのではなく、情報を取捨選択し、論理的に構造化する能力が問われるのです。
最初のうちは「重要な点が抜けている」「構造がわかりにくい」といったフィードバックを繰り返し受けることになります。それでも毎回の会議で少しずつ改善を重ねることで、徐々に要点を押さえた議事録が書けるようになっていきます。調査項目然り、スライド然り、構造化をしないでアウトプットを作成することは、ないと言っても過言ではありません。議事録で構造化の訓練をすることが、後の資料作成やクライアント向け報告の土台になると実感しています。
議事録の書き方についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご参照ください。
★コンサル事業部紹介★コンサルの誰しもが通る道「議事録作成」が上達する考え方のご紹介
次に多いのが、競合の動向調査や先進事例のリサーチです。「〇〇業界における最新トレンドを調べてほしい」「この課題に対して他社はどのようなアプローチを取っているか整理してほしい」といった依頼が発生します。
最初の段階では、調査の観点や項目はメインメンバーが設定します。指示された切り口に沿って調査を進めることから始まりますが、経験を積むにつれて「自分で調査項目を設定してみてほしい」と求められるようになります。
ここで問われるのは、「何を、どの粒度で調べるか」を自分で判断する力です。詳細すぎても、あっさりしすぎても適切な価値は生まれません。「このプロジェクトで何が必要か」「この調査をすることで何を示したいのか」から逆算して調査を設計できるようになることが、一段階上のサポートメンバーとして認められるための重要なポイントです。
最初は与えられた項目を丁寧にこなしながら、「なぜこの切り口なのか」「より有効な視点はないか」を考え続けることが、調査力を高める近道となります。
調査した内容をクライアントに報告するためのスライドにまとめる作業も、サポートメンバーが担う重要な役割の一つです。
資料作成においてまず意識すべきは「体裁の整え方」です。フォントの統一、色使いのルール、オブジェクトの整列、余白の取り方——こうした基本的な見た目のルールを守るだけで、スライドの読みやすさは大きく変わります。内容や示唆の創出には難しさを感じる段階であっても、体裁を丁寧に整えることは経験の浅い段階から貢献できる領域です。弊社には、スキルシートという評価体系が存在し、6項目×3段階で社員のスキルがどこまで到達したかを可視化しています。このスキルシートにおいて、資料作成の項目の1段階目として、「体裁の基本ルールを守って資料を作成できる」という観点が設定されています。
一方、ある程度慣れてくると別の課題に直面します。「どのような内容にするか」に意識が向きすぎて、スライドとして伝えるべきメッセージが曖昧になるという問題です。
資料作成において最も重要なのは、「このスライドで何を伝えたいか」を明確にすることです。伝えるべきメッセージが定まれば、それを支える内容を選択するだけです。逆に、メッセージが定まらないまま情報を詰め込んでも、読み手には意図が伝わりません。「コンテンツを埋めること」ではなく「メッセージを届けること」を意識した資料作りが、コンサルティングの成果物として求められます。
前述のとおり、入社直後はクライアントと直接対話する機会は限られています。しかし社内ではプロジェクトの進捗を共有するための内部会議が定期的に開催されており、そこで調査結果や資料の内容を報告する機会が与えられます。
この場でも、上司やメインメンバーをクライアントだと思って報告することを意識していました。「どのような順序で話すと伝わりやすいか」「相手の反応を見ながら説明の内容や粒度を調整できるか」といったプレゼンテーションの基礎を、比較的安全な環境で実践できる場として積極的に活用することをお勧めします。
コンサルティングの難しさの一つが、ゴールを明確に設定しなければ青天井になるという点です。一般的な業務であれば、「この案件はここまで対応すれば完了」という明確な基準が設けられていることが多いかと思います。しかしコンサルティングの仕事は、深掘りしようと思えば際限なく追求できてしまいます。調査をすれば新たな課題が浮き彫りになり、提言をすれば新たな論点が生まれる。「さらに価値を提供できるはず」という姿勢自体は重要ですが、それがゴールを際限なく遠ざけることにもなりかねません。
だからこそ、プロジェクトの開始前にゴールを明確に設定することが不可欠です。
筆者が経験したプロジェクトの一例として、営業活動の実行支援があります。支援してきた営業活動の文脈でクライアントから初めて有償受注をいただくことができましたが、初回ということもあり、規模は比較的小さく、期間も短期間のプロジェクトでした。
このプロジェクトで最初に取り組んだのは、プロジェクト開始前にゴール設定の会議を設けることでした。「このプロジェクトで何を達成すれば成功といえるか」「クライアントがこのプロジェクトに求めていることは何か」を丁寧に言語化し、双方で合意形成をしてから着手しました。
こうして適切に期待値を設定し、その期待値を着実に超えることで、「次はより大きな規模で取り組みたい」という関係構築の土台が整っていくと思います。最初から大きな成果を狙うのではなく、設定したゴールを確実に達成し続けることが、長期的な信頼関係の形成につながると学びました。
プロジェクトの中で、会議が想定通りに進まない場面は決して珍しくありません。そういった意味では、日々失敗の繰り返しとも言えます。クライアントから期待した反応が得られなかったり、議論が予期せぬ方向に進んでしまったりする経験を積み重ねながら、試行錯誤を続けてきました。
こうした失敗の場面を振り返ると、共通してみられる原因があります。特に多いのは、「各関係者が異なる前提認識のもとで議論している」というケースです。こちらが「当然共有されているはず」と判断していた情報が、実は相手に届いていなかった。あるいは逆に、クライアントが「すでに合意済み」と認識している事柄が、こちら側に伝わっていなかった、ということが起きます。
もう一つ頻繁に経験したのは、「報告する情報の粒度がクライアントのニーズに合っていない」というケースです。詳細な分析を丁寧に説明しているにもかかわらず、クライアントが知りたいのはもっと大きな粒度での結論だった、という状況は、とくにクライアントの職位が高い場合に起こりやすい感覚があります。
重要なのは、会議での反応が芳しくなかった後に「何が問題だったか」を内省することです。「関係者それぞれがどのような認識のもとで発言しているか」「相手が今本当に必要としている情報は何か」を丁寧に整理することが、次の会議への改善につながります。
前職の経験が、思わぬ形で活きていると感じる場面も多くあります。筆者は前職では学校の教員を務めていました。コンサルと教員は、一見するとまったく異なる仕事のように映るかもしれませんが、教員時代の経験が現在の業務に活きているのでは、と感じられる場面があります。
教員として働いていたとき、「この生徒はなぜ今の答えにたどり着いたのだろうか」「正解にたどり着くためには、何が不足しているのだろうか」と考える機会が多々ありました。単に「これが正解だ」と教えるのではなく、生徒の思考プロセスを理解し、躓いているポイントを紐解くような説明をする経験を、教員の仕事を通して自然と積み重ねることができていました。
この経験が、会議での失敗を巻き返すための糸口につながっているような気がしています。「このクライアントは、どのような認識をもとに今の発言をしているのだろうか」「この議論がうまく進まないのは、どこに認識のずれがあるからだろうか」を考えることは、教員時代の考えるプロセスと似通った部分があるように感じています。
また、周囲を見渡しても、前職で経験した業界のプロジェクトに携わることで、クライアントの業務や課題を具体的にイメージしながら活躍している方もいます。コンサルタントとしての経験がなくても、それまでのキャリアで培った知識や経験が価値を発揮する場面は少なくありません。
このように、異業種からの転職であっても、これまでの経験が様々な形で活きることがあります。筆者自身、コンサルティング業界へのキャリアチェンジは全く異なる領域へのチャレンジで、一から勉強だというつもりで転職しました。このときの「一から勉強」は「未経験だから何も持っていない」とほぼ同義でしたが、そこまで悲観的にならなくてもよかったのかもしれないと今では思っています。どんなバックグラウンドであれ、身に着けたスキルや思考の枠組みが、自分を助けてくれることがあると実感しています。
未経験でコンサルティング業界に飛び込んでから、順風満帆とはいえない時期も経験してきました。議事録を何度も書き直す、調査項目の設計に試行錯誤する、作成した資料が白紙に戻る、クライアントに納得してもらえないまま会議が終わる、といったこともありました。
それでも、目の前のタスクを着実に達成していくことで、今ではクライアントの前に立って仕事ができるところまでたどり着いています。また、全く違う業界だと思っていた教員時代の経験が、今の仕事の助けになってくれる場面もあり、なんとかここまで続けることができました。
本記事が、未経験でコンサルティング業界に挑戦することに不安や迷いを抱えている方にとって、「自分もチャレンジできそう」と思っていただけるひとつのきっかけとなれば幸いです。
なお、弊社ブログ内には、他にも所属社員がそれぞれの体験をもとに執筆した記事がございますので、興味を持っていただけた方は、是非ご一読いただけますと幸いです。
アーツアンドクラフツConsulting & Solution事業部/アナリスト
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