前回のブログで、今後のC&S事業部によるブランド事業へのコンサル伴走支援について取り上げました。
その中で、ithのこの一年の現場の頑張りを、私はしっかり見ていると書きました。
そんな中、先日、あるつくり手から、こんなことを言われました。
「社長は、現場がどれだけ大変か理解していない。週末、お客様に限界まで向き合って、月曜は加工出しと会議。そして毎週、次から次へと上からおりてくる新たな取り組みへの対応。成約率が良い時は何の賞賛もないのに、悪くなると毎週問いただされる。現場は、精神的にも肉体的にもギリギリなんです。」
そして、こうも言われました。
「いちど、銀座のアトリエに一週間いていただければ、わかると思います。どうせ、やれないんでしょうけど。」
正直、安易に「見ている」「知っている」と言った自分を悔やみました。
そして同時に、昔のことを思い出しました。
私が新卒で入った会社は、街の小さなイベント会社でした。その後、会社が急激に大きくなったので、今では広告業界出身などとかっこをつけて言っていますが、20代の私は、それこそADとして、毎週のように現場で朝から晩まで過ごしていました。
入社して数年経った頃のことを、今でも覚えています。
その頃には、広告代理店との打ち合わせにも参加できる立場になっていました。一方で、現場にも出ていました。
ある夏、横浜の赤レンガ倉庫で、1日1万本の缶ドリンクをサンプリングする現場がありました。
早朝、現場に到着し、連休3日分、合計3万本の缶ドリンクを初めて目の当たりにした時は、本当に驚きました。人生で見た中で一番大きなトレーラーの横扉がウイング式に開くと、そこには千箱以上の段ボールが積まれていました。
私はアルバイトのみんなと一緒に、それを中間基地まで運び、開封し、カゴに入れ、20名のコンパニオンに届ける作業を、一日中繰り返していました。
とにかくがむしゃらにやって、1日の終わりには、段ボールで手は切り傷だらけ。血が流れていました。
その時、平日の会議室で、広告代理店とクライアントが話していた場面を思い出しました。
「この連休は、赤レンガで1日1万本配ります」
「それは、いいアイデアだね。決まりだ」
会議室では、たったそれだけで決まったことでした。
でも、その「1日1万本を配る」という一言の裏には、血と汗にまみれた現場がありました。
当時、たしかにそう感じていたはずでした。
でも、立場が変わり、会議で決める側に回る中で、いつの間にかその感覚を忘れていたのかもしれません。
今回、つくり手からの言葉で、そのことを思い出しました。
自分も若い頃、現場で朝から晩まで動き、その大変さをくぐり抜けてきた。
だから、現場のことは自分にもわかる。
どこかで、安易にそう思っていたのだと思います。
でも、それは過去の自分の現場であって、今のithのアトリエの現場ではありません。
今、アトリエで起きていること。
週末にお客様と向き合い、月曜に加工出しをし、会議に出て、新しい取り組みに対応し、成約率を問われながら、それでも毎日お客様の前に立っているつくり手たちの現実。
それを、私は本当の意味では見られていなかったのだと思います。
まずは一週間、銀座のアトリエに入らせてもらいたいと思います。
ただアトリエにいて、PCで別の作業してるのでは意味がありません。
朝から終日アトリエにいて、週末のお客様対応、平日の加工出しや会議、新しい取り組みへの対応まで、つくり手がどのような一週間を過ごしているのかを、できる限り同じ時間の中で見させてもらいます。
6月、7月は期替わりの時期でもあり、すでに動かせない予定が多くあります。
そのため、まず現実的に確保できる最初の一週間として、8月のお盆前後に、銀座のアトリエに行かせてもらうつもりです。
ちゃんと、現場を見させてください。
そして、そこで見たこと、感じたことをもとに、これからのアトリエ運営、現場支援、経営側の関わり方を、改めて考え直していきたいと思います。
宮﨑
「ともに、つくる」は主にインナーコミュニケーションを目的とした社長ブログです。


アーツアンドクラフツ代表取締役社長。考えるよりも動く現場主義。創業以来一貫して事業の最前線に立ち様々なパートナーと価値をつくりあげる。