ブライダルリングブランド「ith(イズ)」のアトリエでお客様を迎えるのは、
“つくり手”と呼ばれる専任スタッフです。
お客様のオーダーにしっかり耳を傾け、イメージを共有し、
工房と連携を図りながら、ご希望通りのリングをつくり出します。
お客様の夢と向き合う、つくり手の想いとは。3人のスタッフに聞きました。
—— 私たち“つくり手”は、お客様のご要望をうかがいながら、リングの仕様やデザインをまとめ、工房の職人に伝えるのがおもな役割です。
初回のお客様との打ち合わせは約2時間です。サンプルのリングを試しながらじっくり話し合い、ご希望のデザインをミリ単位で決めていきます。お客様の意図を把握するのは私たちの役目なので、責任は重大です。つくり手はお客様と工房をつなぐ存在なので、そこがいかにうまくできるかが、難しさであり、やりがいにもつながっていますね。
—— お客様の雰囲気やサンプルを見た時の反応から、お客様の意図をくみ取って、それが伝わった時はすごくうれしいですね。ithはオーダーメイドのブランドですから、まずはお客様が思い描く理想のリングをカタチに起こすことから始まります。その時のニュアンスもしっかりうかがってメモを残すのですが、最終的には自分で検品し、気になるところがあれば再度工房で対応してもらうこともよくあります。
—— お客様の希望通りのリングをつくるには、まずはお客様の本当の気持ちをしっかりと聞き出すことが大切です。私が心がけているのは、無意識にお客様が触っているサンプルのリングを覚えておくこと。自分で話している内容とは違うものに興味を抱くことは、誰でもありますよね。そんな時は、「こちらのデザインもお好きなんですか?」と少し話を変えてみて、本心を探ったりしますね。
—— 私は最初に質問をした後はあまりしゃべらずに、お客様の様子を見つめるというようなことをやります。一種の人間観察ですね。お客様が話している内容よりも、むしろ口調や目線などから本心を探ろうとしています。もともと行動心理などにも興味があったので、本で読んだことを実際の接客に取り入れながら、上手に好みが引き出せるように、いろいろ試したりしています。
—— モノづくりは、使う人のことをあれこれ考えながら進めていくところにひとつの面白さがあると思います。だからモノづくりは、つくる人の想いと使う人の想いをつなげることなのかもしれません。私たちつくり手は、実際に手を動かして何かをつくるというわけではないのですが、それでもお客様の想いを引き出し、工房に想いをつなげています。その部分ではこの会社が掲げるモノづくりにつながっているんだと思います。
—— 私はもともとは“モノよりコト”に興味があるタイプだったんです。そういう意味では、結婚指輪はリングというモノなのですが、結婚に込めた想いというコトの部分がとても大事だと考えています。ただ単にリングをつくっているのではなくて、お二人の特別な想いをカタチにしている。それはすごく意味のあるモノづくりですし、とても素敵なことだと思います。